二章 女子高生、生まれてきた意味を考える
「えーなんで!? バナナに味噌をつけて焼いたらちょっと美味しそうでしょ!?」
「思わない……絶対不味い……」
いや、どんな会話!?
え、てか、違う! 嘘でしょ!?
なんで凛音さんも当たり前みたいに会話に参加してるわけ!?
凛音さんも知り合いだったの!? どんな繋がり!?
ジム? ジムなのか!? 最近の女子はみんなクライミングをやっているのか!?
「あはは……凛音は甘い物好きですからねー……」
「葉月……何度も言うけど、家事なら私に任せてくれればいいから」
「なにさ、なにさ! みんなして人を馬鹿にして!」
あー……なに? この……なんだ、これ?
私の前で、知り合いだった筈の女子、四人(知っているのは三人だが)が笑顔で会話している。
そう、知り合いだった、筈だ。さっきまでは。
なのに、どうしてだろう?
今は全く知っている人に感じない。
結局、私が知る彼女達など、些細な、上辺だけの、薄皮の様な物に過ぎなかったのだろうか。
いや、そもそも私の認識がおかしかったのかもしれない。私が感じていた親密さは彼女達には全くなくて、私などただの、『よく話す人』程度に思っていたのかもしれない。
彼女達に悪気はない。全ては勘違いした私が悪いのだ。
そうだ、思い上がってはいけない。
所詮は、私なんて地味な女。路傍の石ころ。モブキャラの一人。
誰かにとっての重要人物になんて、どうあがいてもなれない、人間の屑。
お父さん、お母さん。教えて下さい。私は何のために生まれてきたのでしょうか。
「────葉月、そろそろ行かないと。映画が始まっちゃう」
「あれ? もうそんな時間? じゃあ菫さん、凛音さんごめんね! そろそろ行かなきゃだから」
「あ、はい! お二人共、また明日!」
……あした?
「うん、明日の夏祭りでね!」
……夏祭り?
「花火楽しみですね! 先輩たち、浴衣着ますか?」
花火。浴衣。
私……私、聞いてない。
「時雨は着るんだよね?」
「うん。葉月も着るんなら、着付け手伝うけど……」
「凛音はどーする?」
「浴衣……持ってない」
「そーゆう時はレンタルもあるよ! この後一緒に見に行く?」
「……楽しそうですね」
「? ゆみみ、どーしたの?」
菫さんが不思議そうにこっちを向く。
本当に何も理解していなさそうな能天気な表情に、胸の奥から沸々と怒りが湧いてきた。
「楽しそうですね……夏祭り…………私のいない夏祭り……!」
「あれ? あー……そっか、ゆみみは誘って……あ! じゃあ、ゆみみも参加する?」
「馬鹿にしてるんですか!? 行きませんよっ! どーぞ皆さんで楽しんできて下さいね! 私、お邪魔みたいですし!? あっちであんみつ食べてるんで! それじゃ!」
ふんっ!
別に、悲しくなんてないし。私もみんなと一緒に浴衣着て花火見たいなんて思ってないし!
私みたいな女は一人であんみつ食べてるのがお似合いですものね。
だから、もうどんなに誘われたって……絶対に……ぜーーったいに夏祭りなんて参加しませんからっ!?
…… 翌日 ……
「あ! ゆみみいたー! 一番乗りだね! うんうん、浴衣似合ってるよー」
「うるさいっ! バカっ!」




