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ギルドライバー“ハヅキ”  作者: 今井亜美
第二話 ダンジョンと“冒険者<ギルドライバー>”
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四章 女子高生、死ぬ


…… 時雨が気を失ったのと同時刻 ……

『東白百合高等学校 校門』




「なに……あれ……?」


 ダンジョンの反応を追って急いで学校に来た私は校門の前で足を止めた。


 学校全体を巨大な黒い渦が覆っている。

 辺りには強い風が吹き、油断していると吸い込まれそうになる。


「よ、妖精!? まさか、ダンジョンってあれ!? 台風の間違いじゃなくて!?」 

「うん! 絵のとおり、ちゃんと黒い渦になってるでしょ?」


 キミさ、よく絵が下手って言われないか?

 あんな可愛らしい物じゃなく大災害なんだが。


「これ……周りに影響があったりしないの?」


「大丈夫! この黒い渦はギルドライバーにしか見えないんだ。周りの人は今日なんか風強いなーくらいにしか思わないよ!」

「そっか……」


 ちょっと安心した。

 もし近くに時雨がいたとしても巻き込まれている可能性は低そう。


 ……まあ時雨が発生源って可能性はあるんだけどネ。


「それで、どうすればいい?」

「まずは中心に行こう! 発生させてる人がいる筈だよ」


 発生させてる人……お願いだから時雨じゃありませんよーに!

 私は祈りながら意を決して、校門をくぐった。




…… 五分後 ……

『東白百合高等学校 弓道場』




 不謹慎だけど。……不謹慎だけど!

 どーーーしても、これだけは言わせて欲しい!


「…………時雨じゃなくてよかった……!」


 もー弓道場が中心だと分かった時は心臓が止まるかと思ったよ!

 

 急いで中に入った私が見たのは弓道着を着た、女の子の姿。

 一瞬焦ったけど、髪が時雨と違ってショートカットだったから、別人だってすぐに分かった。


 彼女には悪いけれど、時雨が巻き込まれてなくてほっとしたよ。

 二度もこんな訳分かんない事で命を危険に晒す様な、そんな辛い思いはさせたくないからね。


「この子が原因だよね。ねえ、ちゃんと生きてるんだよね……?」


 ぐったりと倒れ込む目の前の少女はぴくりとも動かない。

 見てると段々不安になってくる。


「それは大丈夫! 命に関わる事は無いから」

「そっか……それで、どうすればいい?」



「ジョブパスをその子にかざして、心の中に入る事をイメージするんだ。そうすればダンジョンに“冒険<ギルドライブ>”出来る!」

「よく分かんないけど……やってみる!」


 私はしゃがんで女の子を抱きかかえる。

 ほんのり甘い香りが鼻腔をくすぐった。


 ジョブ・パスポートを女の子の胸に押し当てる。

 むにゅん、と柔らかい感触をカード越しに感じる。

 

 ……なんでだろう。凄い恥ずかしい。


「あーだめだめ集中……集中……! 心の中に入る感じで……えっと……“冒険<ギルドライブ>”!」


 私が叫びが弓道場に木霊する。

 その瞬間、私の身体は光に包まれて……そのまま、吸い込まれる様に、目の前の彼女の中に消えた。




…… 冒険<ギルドライブ> ……

『弓美春のダンジョン』




 う……うーん気持ち悪い……。

 今、一瞬確かに、身体がバラバラになって吸い込まれた様な気がするのは私の気のせいなのだろうか……?


「気のせいじゃないよ。肉体のままだと精神世界に入れないからね。高次元転換……つまり肉体をアストラル体に再構築したんだ。その際身体は原子分解されてるから……まあ言ってしまえば今のハヅキは“死んでる”みたいなものだね」


 へーそうなんだー。

 すごーい……。


「………………………し?」

「死」


「私、死んでる……?」

「うん」






「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!????????????????」


「良い反応だねえ(笑)」


「『良い反応だねえ(笑)』じゃなーい! 何を笑っとるか! こ、こ、この人殺し!」

「人殺しは酷いなあ(笑)」


「だ……騙されたんだ……。世界を救えとか言われて調子にのってたんだ……! ちょっと強くなれたからって知らない妖精の言葉を信じちゃ駄目だったんだー! うわーん! こんなにあっさり人生が終わるなんて想像してなかったよおおおお! ごめんねえええええお父さんお母さん! 葉月は親不孝ものですうううううう!」


「あはは! ハヅキは本当に面白いねー!」

「面白いじゃなーい! この腹黒め! なにが女神だ! 悪魔の間違いじゃないか! よくも騙してくれた! 返せ! 私の人生を返せ、悪魔!」


 私の必死の糾弾を聞いてなおニヤニヤ笑いを崩さない妖精。

 こいつマジで悪魔なんじゃなかろうか。

 

「大丈夫、大丈夫! 肉体なんてただの器にすぎない。ハヅキの情報は全部ジョブパスに集積されてるから、ここから出ることになったらちゃんと復元されるよ」


 何を言ってるんだろうね、この悪魔は。

 正直、話が難しすぎて全然理解出来ないんですけど……。


 お客様のどなたか、ネイティブの悪魔語翻訳家はいらっしゃいませんか? 葉月ちゃんの命がかかってます。


 ……ハッ!? 待てよ。まさか、こういう作戦か!? 

 小難しい事を言って煙に巻こうとする詐欺師特有の話術なのか!?


 おのれ、悪魔め! 私は騙されんぞ!

 そうだ! ここは一度騙されたふりをして、逆に隙を……。


「……ハヅキ、疑ってる?」

「いいい、いいや!? ぜ、ぜんっぜんそんな事ないんだからね!? いやー復元出来るのかー! 驚いたなー! これでもう安心だねーうんうん!」


 よし、完全にセーフだな。

 私の完璧な演技でこの悪魔はすっかり騙されたみたい。


 後は隙を見て羽を毟りとり二度と飛べない身体にしてやるぜ……ふっふっふ!


「言っとくけどボクの羽は別に飛ぶのに必要じゃないからね」

「そっかあじゃあ羽を毟るのはやめて………ハッ!?」


「ハヅキって本当に分かりやすいよねうん」

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