410/521
ガラス細工 ◇
2021.4.6 に書いたものです。
壊れかけのガラス細工を
二つの手でそっと包むと
なぜだか分からないけれど
温かな何かを感じた気がして
その温もりの正体を知りたくて
あちらを見たり
こちらを見たり
覗き見たりしてみても
温もりの正体はまだ見つからない
壊れかけたガラス細工
二つの手のひらで包むと
理由なんて知らないけれど
温かな匂いを感じた気がした
気のせいかもしれない
それでもなお
その匂いの正体を見つけたくて
どうしても
どうしても
探さずにはいられない
見つけたくて仕方がなくて
けれども見つけられない
覗き見してみても
すんなり見つけることはできない




