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好きと愛と ◇
2021.2.11 に書いたものです。
好きという想いも
愛という言葉も
小さな火が灯る蝋燭でしかなくて
ほんの少し風に吹かれたり
ほんの少し雨に降られれば
最初から何もなかったかのように
静かに消えてしまう
悲しみのその先にある物語を
聞きたいかと尋ねられたら
多くの人が
聞きたいと言うのでしょう
けれどももし
それが己の生に重なるものと知ったなら
聞きたくないと
耳を塞ぐ者もいるのでしょう
好きという想いも
愛という言葉も
耳ざわりは良くとも
消えかけの火でしかない
好きという想いも
愛という言葉も
結局は……




