342/521
気づかないふり ◇
2020.12.5 に書いたものです。
苦しまぎれに放った言葉が
紅の飛沫を散らす
あなたの胸に突き刺さったこと
本当は気づいていた
死の直前に放った
負け惜しみのような言葉
鋭い先端をもって
あなたの胸に命中する
でもわたしは気づかない
きっともう気づかない
いつまでも
いつまでも
気づかないふりを続ける
苦しまぎれに放った言葉が
あなたの胸を貫く
けれどもわたしは知らない
あなたを見ない
あなたに心を向けない
わたしはただ放ち続ける
この命の果てを見つめながら
真実に気づかぬまま
わたしは言葉という矢を放つ