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愛は呪い ◇
2020.8.26 に書いたものです。
愛は呪いね
いつか誰かがそう言ったこと
私は覚えている
今でも鮮明に思い出せる
懐かしい記憶を辿れば
幸せだった頃が蘇る
現在地が虚しければ虚しいほど
あの頃が色鮮やかになる気がして
触れ合う肌の温もりも
重なる唇の湿り気も
一夜の幻のような夢に過ぎず
気づけば露となり消え去ったもの
それでも
今でもまだ思い出せる
未練があるわけではない
そう思っているけれど
未練があるのかもしれない
そう考える晩もある
愛は呪いね
いつか誰かが言っていたこと
私は記憶している
今でも鮮やかに思い出せる
ただ
愛が呪いなのだとしたら
この命そのものも
呪いなのかもしれない