243/521
望みを叶えるために ◇
2020.8.25 に書いていたものです。
ねぇ
もしも君が望みを叶えるために
大切な人の最期を
見なくてはならないとしたら
君はそれでも
その望みを叶えようとする?
あれはもう十年も前のこと
けれども私は
まるで昨日のことのように思い出せるわ
十年前の春の日に
風のように目の前に現れた貴方は
私の心を掴んで離さない
不思議という言葉が似合う人だった
時が過ぎた今でも
貴方のことを思い出すたび
なぜだか分からないけど
この胸が痛むような気がするの
ただ
私は望みを叶えた
大切な人の最期を
この手で生み出して
だからこそ
あの時の貴方の問いは
今でも重くのしかかる
時にそんな気がするの
けれども私は望みを叶えたわ
貴方の言う通りになったけれど
それでも曲げずに
私は私の道をここまで歩いてきた
その過去を悔やむつもりはない
もうあの頃の私ではないの
だから歩いてゆける
たとえ
この手を汚すことになったとしても