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隣の家のおじさま ◇
2020.8.24 に書いたものです。
隣の家のおじさまは
いつもつるつるの頭部だった
出会った頃から
ずっとつるつるの頭部だった
耳を澄ましたくなるような
穏やかな頭部
心を研ぎ澄ますような
柔らかな頭部
小さい頃に聞いたことがある
どうしてつるりとしてるのかと
するとおじさまは答えた
心を磨いているからなのだと
愛を歌う時には
頭を鳴らす
愛を伝える時には
頭を擦る
隣の家のおじさまは
いつも心と頭頂部を磨いていた
可憐な笑顔を振りまきながら
いつだって
どんな時だって
いつも心と頭頂部を磨いていた
おじさまの聖域。