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赤い花 ◇
2020.6.21 に書いたものです。
今朝咲いた赤い花は
日が沈むのに合わせて頭を垂らしてゆく
今朝咲いたばかりのその花は
日が沈みゆくにつれて傾いてしまう
その命はあまりに儚く
その生はあまりに悲しい
手の内で咲いた赤い花は
今日が終わるのに合わせて頭を下げてゆく
手の内で咲いたばかりのその花は
今日が終わりゆくにつれて萎れていってしまう
その命はあまりに短く
その生はあまりに切なかった
ただ一日だけの命に
ただ一日だけの生に
人は何を想うのだろう
その花は悲しく その花は儚く けれども だからこそ美しい
触れれば枯れてしまうほどに
触れる暇さえないほどに
束の間の夢の中で咲く
それが
一輪の赤い花
今朝
この手の内で散った花