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KAKUYO2  作者: 四季
132/521

消しゴム ◇

2020.5.22 に書いたものです。

ねぇあなたは消しゴムって知ってる?


きっと知ってるよね

だって子どものころ学校で使うもの


ねぇあなたは消しゴムって知ってる?


知らないふりをしても無駄よ

だって子どものころ学校で使ったはずだもの


わたしはね

消しゴムなの


文字 数字 記号 机の隅の落書き


何だって消したわ

持ち主に忠実に


愛 約束 恋人 記憶


そんなものだって消したわ

指示に従って


それなのに

わたしの主人は言い出したのよ


「何でも消してしまうお前は悪いやつだ」


何よそれ

どうしてそんなこと言うのよ


言いたかったわ

言ってやりたかったわ


聞いて聞いて

わたしの主人はこんなこと言うのよ


「何でも消してしまうお前は罪深いやつだ」


何なのよ

どうしてそんなに冷たいのよ


言おうとしたわ

言いかけたわ


でもわたしは黙って謝った


だって知っていたから……


あの人が毎晩泣いてること……


人は弱った時

きっと誰かを責めたくなるのね

背負えない罪は

きっと誰かに押し付けたくなるのね


だからわたし我慢するわ


あの人の悲しみも

いつか消してしまうわ


これまでも


何だって消してきたんだもの

消しゴムは一つの部屋にいくつか置いてあります。

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