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失われたもの ◇
2020.5.15 に書いたものです。
暗幕を張ったような夜空を
駆けていく星を見た
どうしてあの星は駆け続けるのだろうと
ふと思ったりした
それは懐かしい記憶
大人になった今はもう
そんな純粋な疑問を抱くことはない
あの美しい星はどこへ行くのか
たった一つの星は
一体どこへたどり着こうとしているのか
子どもの頃は疑問が多い
小さなことでも不思議で仕方がなく
色々と考えてしまうもの
でもそれは
純粋ゆえの幸せでもあったのだといつかは気づく
追いかけたい
捕まえたい
そんな考えをした昔の私は
愚かだっただろうか
確かに
そうかもしれない
馬鹿げていたかもしれない
けれども
疑問を抱き自由に考えられることは
きっと幸せだったのだろう
暗幕を張ったような夜空を
駆けていく星を見る
どうしてあの星は駆け続けるのだろうと
今はもう思わない




