114/521
路上の猫 ◇
2020.5.10 に書いたものです。
マンションを出て
道を渡ると
いつも聞こえてくる
甘い鳴き声
あぁ あなたも一人なのね
そんな風に
語りかけたくなる
午後も
かつては存在していた
朝日浴びながら
気ままに暮らす
あなたが羨ましくて
漏れてしまう泣き声
あぁ わたしはもう一人よ
誰にも
語りかけられはしない
午前に
頬が濡れるの
柔らかな手足を
優雅に伸ばしつつ歩く
そして放つのは
甘い鳴き声
あなたは強いのね
何も恐れはしない
意味もなく
そう語りかけるのは
夕立ちに降られた
薄暗い夕暮れ時だったわ
誰もが皆
あなたたちのように
強くあれたなら
幸せだっただろうに
ふと
そんなことを思い
ふと
切なさを覚える