表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/47

3

始業式が終わると、雫ちゃんと共にクラスへと向かう。朝河さん、と呼んだら「私のことも雫って呼んで?」と言われたので名前で呼ぶことになった。単純に嬉しい。


残念なことに、雫ちゃんと俺は別のクラスだった。雫ちゃんは1-Aで、俺は1-E。少し離れているが、お昼は一緒に食べようと誘われたので心の中で小躍りどころかフロアを沸かすほどのキレッキレなブレイクダンスを踊った。


そういえば、雫ちゃんといえばよくある平凡(?)主人公であるが、どうやって外部入学したんだっけ?すっげー頭良いとか?ふとそんな事を考えていたら遠くから叫び声が聞こえた。


俺と雫ちゃんは声の方向へと顔を向ける。

……そうだった、あいつ。

理事長の息子、”天逢坂昴(てんおうざかすばる)”!!!


雫ちゃんの幼馴染であり、最初から好感度が高めに設定されている。BLOOMの中で、最も攻略しやすく初心者向けのキャラクターだ。

雫ちゃんをこの学校に入学させたのはアイツだったっけ。何で高等部からなのかは分からないが。


天逢坂は遥か遠くに居たが、長い脚でこちらへと歩みを進めてきた。サラッとした黒髪に切れ長の目、ツンと尖った鼻は隙が無い。繊細そうというよりはもっと大胆で、王様のような気品があった。男の俺ですら近くで見たらふえぇ、怖いよぉと内股になりそうなオーラだ。


良い声なのにバカデカい声量の男は「雫!!!」と叫びながらこちらへやってくる。廊下に居る人達は、視線の先に居る雫ちゃんを見るわクラスのドアや窓から色んな人が覗き込むわで雫ちゃんの顔がみるみるうちに真っ赤に染まっていった。


なんてデリカシーの無い男だ。万死に値する。

だがしかし、雫ちゃんが顔を真っ赤にしているのはかなり可愛いのでグッジョブでもある。

俺は隣にいる雫ちゃんをこれでもかと言わんばかりに目をかっぴらいて凝視する。頬を手で覆いながら恥ずかしがっている雫ちゃんを脳内メモリーに保管した。



とうとうこちらにやってきた天逢坂を見て思う。

……デッカ!!!!!

おま、絶対180後半くらいあるだろ!?俺なんて現実では173cmしか無かったぞ!

そんな俺を余所に天逢坂は仁王立ちで言い放った。


「雫、始業式が終わったら待っていろと言っただろ。勝手にどこかへ行くな」



そう命令口調で言う天逢坂はとんでもなく偉そうだ。心なしかふんぞり返っている様にも見えるのは何故だろう。

雫ちゃんは、そんな天逢坂を頬を膨らませて(きっと睨んでいるつもり)見つめている。


「昴!大きな声で私を呼ばないでって、何度も言ってるでしょ!」


少し涙目になっているのか、声に覇気がない。この状況で強くは出れないだろうな~。

そうなると、相手の天逢坂も反省しない。


「何が悪い、ただ名前を呼んだだけだぞ」


「そういうことじゃないの!恥ずかしいから止めてよ……」


本気で分からない、という顔をしている天逢坂。

きっと、注目される事に慣れているこいつからすると本当に何ともない事なのだろう。

雫ちゃんが本気で怒っているってのも、多分ピンと来てないんだろうな。


天逢坂はハァ、と溜息をつくと腕を組みながら雫ちゃんを見下ろし


「そもそも俺に黙って勝手に居なくなるなよ。どうせ校舎内で迷うんだから」


と言った。ついでにフンッと鼻で笑った。


……え?何こいつ。ちょっとどころかスゲームカつくんだけど。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ