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No.1

お久しぶりの方。こんにちはご無沙汰しております。はじめて私の作品を読んでくれる方。ありがとうございます。楽しんでいただけるよう書いていきたいと思います。

遅い更新となるでしょうが完結まで目指していきます。

それでははじまりはじまり。




 No.1




 『こんにちは、気分の方はどうですか?』


 某会社に勤める社会人。

 次の打ち合わせに時間ギリギリで走って、現場に向かっているその最中、一瞬の場面転換(早変わり)と言うように、気がつけば知らない場所にいた。

 「はあ!? ここどこ!?」と辺りを見回したところで、ポケットの中にあったスマホにメールの着信に気がつき。条件反射で画面を開き、確認する。

 するとメールの件名にはそんな始まりの文が書いてあった。


 『此度は私の都合上で皆さんを私の管理する世界にご招待せて頂きました。

 ああ、皆さんからの不平不満。罵詈雑言が聞こえてきます。まあ実際は聞こえてこないですけどね。

 ですので皆さんも私の言葉にいちいち突っ込みなど無駄なことはせずに、私の話を聞いてくださいな。

 私はこの世界を管理している『管理人』です。

 この世界には名前はまだありません。

 皆さん以外にもこの世界に住む住人は存在します。仲良くしてくださいね。

 ああそれと危険な動物とか。魔物もなんかもたくさんいます。メッチャいます。どえりゃあ多いからよぅ。きいつけぇなぁ。

 ええ、それで皆さんをお呼びした理由ですが、特に理由はありません。私の気まぐれです。

 はっはっはっ。心地よいほどの悪意が放たれてますなぁ。でも私のところまで届きませんけどね。ざ~んねんでした。

 ですから『帰せー!』とか。『戻せー!』とか訴えても無駄ですよ。

 まあでも、私もそこまで鬼じゃありませんし。無理矢理連れてきた手前。皆さんの要望には出来るだけ叶えていきたいと思います。

 そこで皆さんに朗報です!

 皆さんにはこの世界で暮らしてもらう上で、ある一定の条件を満たせば、皆さんの願いが叶えられることに致しましょう。

 もちろん。先着何名様とかはござぁせん。

 条件さえ満たせば幾人でもその願いを叶えられるでしょう。

 ですがその条件の達成方法は教えません。意地悪じゃありませんよ? 一人一人違うからお答えできないだけです。

 ただまあ、条件を満たすための手助けとなる力くらいは贈りましょう。ああなんて太っ腹な私……。

 誰だあッ!? いま私を太ってるって言った奴ッ! あとで放課後校舎裏に来いやあ! 告白してやるか! うひゃひゃひゃひゃー!』


 頭がおかしくなるようなふざけた文章を読んでいく。

 先ず始めに思ったことが、これを書いた奴に最低1発は殴ってやりたいと思ったこと。

 ここが何処だか分からないが、危険がある場所で相手は帰す気がないと言うことが分かることと。

 そして最後のもうひとつが、この『管理人』が言っている条件さえ満たせば、もしかしたら元の場所に帰れるのいかと言う淡い期待が。

 その期待を胸に、ページを更に下へとスクロールさせていく。


 『それでは皆さんにはちょっとした能力を与えます。いいですか? 1…2…3……はーい。与えました。

 ではその能力を使って条件を満たして、ご自分の願いを叶えてくださいな。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 【ステータス】

 【エクストラスキル】

 〇【???】〇【???】〇【???】

 〇【???】〇【???】〇【???】

 〇【???】〇【???】〇【???】

 〇【???】〇【???】〇【???】

 GP:1000

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 そうそう。この『GP』は皆さんが願いを叶えるための対価を支払う値だよ。

 うま~く使って、願いを叶えられるようにしようね。

 説明が大雑把? こまけぇことはいいんだよ。考えるな! 感じろ!

 それといくら願いを叶えたいと言っても命は大事にするんだぞ。たったひとつしかない命。大事にな。『管理人』さんとの約束だぞ。絶対守れ。

 んじゃ! 願いを叶えるために皆さん! ガンバってねっと』




 最後まで読み終わると、書かれていた文章は消え。画面がホーム画面へと切り替わり。そこには【ステータス】と【???】。『GP1000』と書かれた文字だけとなった。が、新たに加わった文字もあった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 【ステータス】

 【名前】:神崎統真トウマ・カンザキ[自由民] 

 【種族】:人間族 (男) 

 【年齢】:29 【職業】:無職 


 【ユニークスキル】

 ◆【天地武神流・気功闘法術】:C+


 【エクストラスキル】

 〇【???】〇【???】〇【???】

 〇【???】〇【???】〇【???】

 〇【???】〇【???】〇【???】

 〇【???】〇【???】〇【???】


 GP:1000

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「天地武神流って昔習った気功術じゃないか。って言うか俺は無職じゃない! ちゃんと働いてた! アルバイトや派遣じゃないぞ。正社員でだ!」


 読み終わってから現れたステータスの部分に色々と突っ込みを入れる。

 兎に角ステータスに自分の名前、種族、年齢、職業が追加された。


 「自由民? 確か奴隷より上の階級じゃなかったか? もしかして奴隷とかいるのか? 種族が人間族? まあ人間ですが、変な表示の仕方ただな?


 そして次にユニークスキルと言うのが増えていた。

 その位置にある天地武神流と言うのは、その昔、俺まだ純真無垢な子供時代の時にあった。いや今なお健在している『竜の宝玉』と言う『冒険』『友情』『バトル』を題材としたアニメがある。

 その物語に登場する主人公が『気』と言う人体に宿る特殊なエネルギーを使い。戦う姿が描かれていた冒険ファンタジー。

 当時の子供達はその主人公のように自分にも『気』が扱えるんだと思い込み。必死に扱おうとしていた。

 各言う俺もその類に漏れず。『気』を扱おうとしたが、ここで俺は他の子供達より一歩、別な方法で扱おうとしていた。

 それは親に頼み『気』の修得がしたいから、どこかで習うところはないかと言う話をしたのだ。

 今思うと当時の親はそうとう困っただろう。いくら子供の為とは言え、絵空事を現実に扱う人なんて要るわけないと。親も必死に考えたことだろう。

 たまたま近所に住むじいさんが気功術を扱うと言う噂があった。

 親は子供の夢を叶えるために、そのじいさんに気功術を教えてもらえないかと頼んだのだ。

 そのじいさんも暇していたのだろう。来れば教えると言うと、俺はその日から毎日そのじいさんの家に通ったのだ。

 ワクワクした。

 これで俺もすぐにでも『気』が扱え。『竜の勾玉』の主人公の様に成れると。

 しかし現実は厳しかった。当たり前だがな。

 やってることと言えば太極拳のような緩やかな動きと呼吸法のみ。

 最初の内は『これが修行か!?』と驚き。

 『これはなんて流派!?』と、アニメの主人公にもあった流派の名前をじいさんに聞いた。

 じいさんはしばらく考えてから『天地武神流じゃ!』と、サムズアップで答えたのを覚えている。

 当時の俺は『カッケエー!』とはじゃぎ。俄然にやる気を出し。黙々とやっていた。

 これをやれば成れると更に思い込み。中学生に上がる頃まで通い続けた。

 ……ああ、うん。言いたいことはわかる。

 中学上がる頃まで信じ続けるなんて、どこまで純水(ピュア)なんだとか言いたいんだろう。

 でもな。家に行けば教えてくれるじいさんが喜ぶんだ。さすがに俺も途中から『これは違う』と思っても、無下にも出来なくてな。

 結局そのじいさんが亡くなるまで通い続け、やり続けた癖がついたのか、今もなお暇さえあれば呼吸法や体感運動はこなしている。

 まあそのお陰か、体はやたらと丈夫になり。病気知らずな体になったけどな。

 と言うのが天地武神流の話だ。


 「気功闘法術って言うのは確かにアニメの主人公の流派だよな。何で付いてんだ?」


 今も時たま『気』が使えるんじゃないかと。真似をしていることもあるが、そのせいか?


 兎に角も理由は分からないが、今はこのスマホに書かれているものが、自分の命と元の世界に帰るための手段でかもしれないと思い。


 「どうすればいいんだ? いくらかの説明くらいはして欲しいところなんだが……」


 タンッ。タンッ。タンッと、画面をかるくタップしていると職業の部分が変化した。


 「おっ、変わった。……ええっと村人?」


 タップして切り替わった画面には村人と言う文字がひとつしか書いてなかった。

 取り合えず無職のままは何となく嫌だなと思い。村人を少し長押しでタップすると、更に画面が切り替わった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 【村人】Lv:1


 【ステータス上昇率】

 体力:F- 筋力:F- 耐久:F- 知力:F- 

 精神:F- 敏捷:F- 器用:F- 感応:F-


 【スキル】:なし


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 「おおっ!? なんか出てきたぞ」


 薄々感じていたことだが、もしかしてこの世界はゲームのような世界観の世界なんだろうか。

 でなければステータスと言ったものは出てこないと思う。

 そう思うと、これからの不安感や恐怖感よりも年甲斐もなく。ワクワクとした期待感と冒険心が膨れ上がってきた。

 そんな気持ちを抱きながらあちこちいずくり回していると。職業の欄のところを無職から村人へと変えることができた。


 「おお! これでもう無職と言わせない!」


 そう言うことではないんだろうが、何となくそう言ってしまった。

 そしてそれ以外にも変化があったのはエクストラスキル欄のところである。


 「んん? 戦技。魔技。教技。特技。その他。なんだこれ?」


 出てきたものを一つ一つ確かめるようにタップする。


 「ほうほう。戦技は武術系ってやつだな。剣術の才能。槍術の才能。弓術の才能と」


 つらつらつらと見ていくと。〇〇の才能と言う列から別の物へと変わっていく。


 「ん? こっからは流派か? アルタイル流剣術。エルボルタ式剣術。ガラナ流剣術……。武器を扱う系統か。かなりあるな」


 どれか選ぶと言うことはせずに、次の項目へと進む。


 「次は魔技だな。戦技が武術系なら魔技は魔法系だよな」


 ファンタジー系の世界のようなので、お約束のように魔法と言う存在があるだろうと思い、選んでみる。


 「やっぱりあった!」


 予想通りに魔技は魔法系であった。

 こちらも戦技と同じように初めの内は〇〇の才能と言うように出ていた。


 「うーん。これを取らないと魔法が使えないのだろうか? 取ってみたい。しかしひとつでどれ程の『GP』を使うのかがわからないから、慎重にも選びたい」


 悩んだ末。今は選ばず。すべて見終わってから改めて悩むことに決めた。

 そして次の教技は生産系のもので。続いては特技は、前者になかった系統のものであった。


 「よし。最後。その他だな。その他……一体どんな系統だ? 武術系、魔法系、生産系、それ以外と来てるからな。予想がつかない」


 選んでみる。

 そして出てきたものを見て。「ああ、なるほどな」と、納得できるものであった。


 「言語系か。確かにここは日本じゃなさそうだから、日本語じゃ相手に伝わらないよな」


 納得できたが、その言語の多さにうんざりする程あった。


 「一体いくつあるんだ? 百は確実にあるだろう」


 地球でも百以上の言語があると聞いたことがあるが、どれが主要言語なのかくらいは書いて貰いたいものだった。

 言語の方はアブラクト言語から始まり。イザベ言語。ウア言語。エルメド言語。オーザ言語と、あいうえお順で並んでいるようであった。


 「話せないと不味いだろうけど、一体どれがこの辺で使われている言語なんだ? ん? んんッ!?」


 更に下へとスクロールさせていると、とんでもないものを発見した。


 「オプション!? ゲート!? 鑑定!? デメンジョンホール!? こ、これはもしかして!?」


 明らかに今まで見てきた系統と異なるのは明白であった。

 そして出てきたどれもが、ファンタジー物語にはよく出てくる。絶対に持っていて損はないと言うものばかりである。


 「……これは、ここから先ず選ばないと駄目だろう。多分前の系統で出たやつも、チート的なものなんだろうけど。ここに出てくるものは更にその上を行くやつじゃないのか!?」


 そこから先は目を皿のようにして画面を見る。

 こう言う初期設定があるものには必ず、かどうかは分からないが、()()()()がある筈だと。それを探し続けた。

 〇〇力~~%倍増。〇〇効果~~%増加/減少。パーティー効果。セカンドジョブ。エクストラスキル枠+1。特典武具などと言ったものはあるのだがーーー。


 「くっ! それらしいものがオプションとエクスチェンジの二つしか見当たらない! とにかくどこかにある筈なんだが、必ずステータス再設定と言ったものが!」


 しかしやはりいくら見直しても、それらしいものは見当たらなかった。


 「どうする? この二つに賭けるか? でもな、どれくらい支払うのかわからないのに、選びたくないと言うのもあるんだよな」


 うだうだと悩む自分。

 こうなると長い。即断する時は即決に決められるのに、変に悩みだすと長くなるのだ。

 そうして悩むこと十分ほど。俺はあることに気がついた。


 「別にこれって、一度決めたら取戻しが出来ないって言ってないよな……」


 そう考えに至ったらあとは即決だった。

 迷ったオプションとエクスチェンジを取る。

 『GP』は共に『100』ずつ減った。

 そしてキャンセルが効くかすぐ試すと出来たので、この2つを残したまま。今度は他のを選ぶことにした。


 「よし。他のものはどんな感じだ? 先ず戦技の才能系からは、『1』だな。ん? 文字の後ろに英文字出てるな。これ天地武神流の後ろにあるやつと同じか?」



 【剣術の才能】:F-



 と言った感じに出ていた。しかも更にタップすると『F-』が『F』へと変化した。

 『GP』は更に『1』減った。


 「おお! レベルアップと言うやつか? どこまで行けるんだ?」


 『F+』になると『GP』は『2』減り。『E-』の時には『4』減ったので倍々になっていくのだと思った。

 そして予想通りに残っている『GP』を使って試したところ。『C-』までいけた。

 『F』『E』『D』『C』と来ているので、最終的には『A』。もしくはその上に『S』があるのかもしれないと思う。

 更に試してわかったことは〇〇の才能系は全て『1』から始まる。

 流派の場合は『10』から始まった。

 魔技。教技。特技の場合でも同じように減っていくことがわかった。


 「これは『GP』の減り具合から見ても。その他がかなり重要なエクストラスキルだと言うことが伺えるな」


 自分で段々と楽しくなっているのが分かる。

 こう言うのは嫌いじゃない。

 年をとってから多少離れているとは言え、ファンタジーアニメとかゲームとか大好きなオタクだ。

 こう言うのは大好物だ。

 そこからは楽しみながら悩み。最終的には『GP』を少し余らせた。

 そして選んだものがこちらだ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 【ステータス】

 【名前】:神崎統真トウマ・カンザキ[自由民]

 【種族】:人間族 (男) 

 【年齢】:29 【職業】:村人Lv:1


 【ユニークスキル】

 ◆【天地武神流・気功闘法術】:C+


 【エクストラスキル】

 ◆【オプション】 ◆【エクスチェンジ】 ◆【鑑定】

 ◆【アブラクト言語】 ◆【治療の才能】:D+ ◆【体術の才能】:E+

 〇【???】〇【???】〇【???】

 〇【???】〇【???】〇【???】


 GP:24

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 鑑定。アブラクト言語が英数字とか出なくてよかったと思う。出ていたら更に悩んでいだ。

 鑑定を選んだのはファンタジー系ではお約束だろうと言うことで。

 言語のアブラクト言語にしたのは、どれを選んでいいのかわからないから、一番上にあったやつを選んだ。と言う理由なだけだ。

 あと魔法が使いたいなあと思ったので、何が良いかと悩み。回復魔法がいいんじゃないかと考えた。

 ほらこの世界の医療技術レベルがわからないから。

 それでそれらしいものが、この治療の才能だったので選んだ。

 で、あとは出来る限り上げて。残りをどうするかと悩み。武術系統にするかと答えが出てから、武器を持ってないから武器を使わなくて済むものと言うことで、体術の才能を選んだ。

 『GP』を余らせたのは、もしも何かあった時の保険と言う訳だ。


 「よし。これで取り合えずオーケイだ」


 俺がそう言うと画面上に。


 『最終意思確認。以上の設定でよろしいですか?』


 と、出てきた。

 『OK』ボタンの方を押すと更に。


 『以降はステータスの変更できませんので、それでもよろしいですか?』


 の、文字が。

 これが出てきた時にやはりこの手のモノかと思った。


 「あとはオプションか。エクスチェンジが働いてくれることを祈るのみだな」


 再度『OK』ボタンを押す。画面には。


 『それではあなたが願う叶えたい願いのため。この世界でこの力を使い。生きてください』


 そう、記され。最後にはスマホの画面にヒビが入り。跡形もなく砕け散った。


 「ぬなあああああああ!? 俺のスマホがあああああああ!!」


 今までの事がどうでもよくなるほどの叫び声をあげる。

 もうすぐ三十路になる男の叫び声が、新たに誕生した赤子の産声の様に世界へと響き渡った。














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