第1話
あ、あれ?
ここはどこだ...??
気づいた時には道の分岐点に立っていた。
うっすらとだが事故に巻き込まれたことは思い出してきた。
そして気づいた、自分は死んだのだと...。
それにしても死んでも自我ってものや、体は残ってるんだな。
フト、、後ろを振り返ってみると火の玉がたくさん並んでい、、た。
へ、、、???
おちつけおちつけ...、ん?看板になんか書いてある。
<看板>
足ある奴は右へ。それ以外は左ね。
うん、、足は、あるね。
いうまでもなく後ろに並んでいた火の玉たちは、みなさん揃って足がなかった。
よし俺は右だ!!と勢いよく右の道へ足を踏み入れた瞬間、巨大な穴が足元にでき俺はなすすべなく穴に落ちていった。
なんで俺はこんなに災難続きなんだぁ~っ!!?
イデッ!!
落ちた先には一つの扉があった。
う~ん、、このまま進まないって言うてもあるけど、このままはちょっとなぁ~。
なんて思いながらドアノブに手をかけ扉を開けた。
「来んのが遅いのよバカ兄貴!!」
えっ、、、なんで理華がここに??
「さぁ、あなたの来世を教えてあげる!それは..」
ゴクッ。
そ、それは??
「喜びなさい、サルよ!!よかったわね、前世と同じ生まれ変わりで。前世は始めから飼われていたけど、今回は野生からの人生ならぬ、サル生の始まりよ!!」
「全然うれしくないですよ??!第一前世サルじゃないわ!!!」
「えっ、こんなクズでも前世では知りあいだったから本当は人間に生まれかわるところを勉強もしなくていいただのサルに生まれ変わらしてやるって言ってんのにあなた何様のつもり!!?」
「なんでおれキレられてるの!??お前いい加減にしろよ!?第一ここはどこで、なんで唐突にお前から俺の来世の話を聞かされなくちゃならないんだよ!??」
「そうね、冗談はここまでにしといてまじめな話をしましょうか」
「ああ...。」
よかった、、冗談で、ほんと、、、切実に。
「おまえ、本当に理華なのか?」
「ええ、そうよ。」
滝元 理華
俺たちの会話を聞いての通り、か弱き俺を罵倒しまくる一つ下の妹である。
けど実際は面倒見のいい妹で、寝坊してるときは起こしに来てくれるしなんだかんだ言って俺のことを気にかけてくれる。
こんなこと本人の前で口に出したものなら、俺は言い返す暇もなく永遠に感じるほどの罵倒を浴びせられることだろう。
「それでお前はなんでここにいるんだ?死んだのか??もしそうならどうして...。」
「いまはひ・み・つ。きゃははは♡ あーでも実際にあたしたちが暮らしていた世界でのあたしは死んだことになっているわ」
結局死んでるってことじゃん!?
「それでおまえはこれからどうするんだ?」
「うーんと、その前にあたしの質問に真剣に答えてくれたら教えてあげる」
「じゃあ質問するね。お兄ちゃんの好きな女性のタイプは?」
この妹さんは何を聞いてきているのかね??
いや待て、慎重に考えてみよう、、、うん、、
「お前絶対俺のことからかってるよね!!?」
「あ、ばれた?意外に真剣に考えてくれたみたいだからもしかしたら聞き出せると思ったんだけどなぁ」
ハハハ、、、ハァ。
もう少しで騙されるところだった...。
「それじゃあここからはまじめな質問ね。あたしと一緒に別の世界へ転移する気はない?」
「転移?生まれ変わるとかじゃなくてか。その世界はどんなところなんだ?」
理華いわく、そこは魔法の使える世界らしい。
これだけ聞くと行きたいように思うかもしれないが、、ここは魔物も多く住み着いているらしい。
この世界の魔物は脅威的なものも多く、魔物発生時からわずか数年で数十ヵ国とあった国が激減し、今となってはわずか三か国である。
発生時から魔物によって滅ぼされた国もあれば国同士で統合したところもあるため人の住める範囲がそれほど狭いというわけでもないが人口が減ったのは明らかな状況だった。
「あたしは、この世界に住む人々の危機を救うために行かなくちゃならない。でもそれは決してお兄ちゃんと一緒に行かなくちゃいけないというわけでもない。要するに一緒に来ても来なくてもどっちでもいいってこと!こっちの世界に来たらなるべくサポートはするけど命の危険にさらされる可能性は十分ある。それもふまえてよく考えてみて」
ん~、、うん!なら俺の答えは決まった!!
「一緒に行くよ!やっぱり理華と一緒にいたほうが楽しいしね」
「早くない!?というか理由そんなことでいいの??そっか~、そんなにあたしに罵倒されたいんだねバカ兄貴♡」
「そういうわけじゃねぇよ!!?」
(ありがとう、、お兄ちゃん。)
「それで理華?どうやってその世界に転移するんだ?」
「あ~、それはねー」
ピカッ!!
理華の近くで光が発生し一振りの剣が現れた。
「それをどうするんだ?」
「先に行っとく、ごめんね♡」
グサ!!
はぁ!!?
剣は刺された、、俺の胸に...!!
辺り一面は俺の血で赤く染まり始め、血が止まる気配もない。
イッテェーーー!!!
そしてまた俺は死んだ?のか深い闇の中に意識がおちていった。