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炭酸系生活  作者: 萩姫
2/2

朝。4月10日

朝ごはんに食べようとあけた冷蔵庫。納豆は賞味期限が2日過ぎている。

俺が料理にドップリはまったきっかけは、高校生になってから妹と二人暮らしし始めてからだ。


父の坂田 健二郎は東京で大手企業の社長を勤めている。仕送りとして毎月送られる20万円は全て生活費へ使う。

母の坂田 美紀は妹を産んだすぐあと、父に子育てを任せてアメリカへ。通訳者をしているため、忙しかったのだろう。


なので、妹は母親の顔を15歳になった今でも見たことがない。


父母を思い出しながら毎朝作る朝ごはんと夜ご飯。俺は一人で作っていく間に職人級の技を身につけた。

至って40代専業主婦並だけどな…


今日は納豆がないので、トーストにするか。


パンを戸棚から出そうとしたら、タイミング良く妹が起きてきた。


「兄貴、おはよう」


消え入るような、か細い声で目を擦りながら言う。淡い栗色のショートボブの毛先があちこちに向いている。


妹、つきみだ。


俺は「おはよう、つきみ。さっさと顔洗ってこいよ〜。もう7時だぞ〜」と言いながら、バターを塗ったトースト2枚をオーブンに入れる。


つきみはのろのろと洗面所へ向かった。



3分後、歯磨きと洗顔を終えたつきみが戻ってきた。3分前とは違い、少しいつもの丸い目がひらいてきたようだ。


トーストを皿に移し、昨夜コンビニで買ってきたポテトサラダを添えてつきみの前に出す。

俺も早く食べないとな。


いただきます、と二人揃えて言い、トーストをかじる。

テレビをつけると『14歳少年、行方不明』とのニュースがあった。しかもこの近くの場所のようだ。

全く、犯人は何を考えているのだろうか。もし、つきみがこんな事になったら…と考え、ふとつきみを見る。


つきみはニュースをチラッとも見ずに、トーストを左手で持ち食べながら右手ではスマホゲームをしている。


ちょっとは考えてくれよな…

パズドラよりもこんな事件が近くで起こっていることを…


トーストを食べ終わり、二人分の洗い物をし、制服に着替える。

つきみは今日が入学式である。そして、4月10日の今日が彼女の誕生日だ。


学校帰りにゲーム屋さんよってドラクエでも買ってやるかな。


ネクタイをしめ、つきみと共に学校へ行くとするか。きっと隣人の渉やチェルシーも一緒だろう。


3人の通学が4人になると華が咲く感じがするよな。なんとなく。


さて、早めに家を出るか。


時刻は7時25分。



ローファーを履いたつきみは「歩きにくそうだから、スニーカーじゃだめ?」と俺に聞くので、だめ。と言っておいた。

確か校則でアウトだったような…


不服な顔をしたつきみと玄関を出て鍵を閉めると、そこにはいつもの二人が立っていた。


「うっす。おはよー、トシ。」

そう言ったのは、左の部屋に住んでいる102号室の入間渉だ。こいつも父とは別居し、一人暮らしだ。

一応、生徒会長を勤める人間だ。


「お!つっきー制服似合うじゃん!今日から毎朝よろしくねっ!」

陽気につきみの肩を叩く金髪美少女、長谷川チェルシー。売れっ子ライトノベル作家をしていて、2つ隣の市から一人で引っ越して来たため、よく里帰りしている。アメリカと日本のハーフだから、少し目が青い。



今日は晴天。アパートの入り口の菜の花が咲き誇る中、俺たちは徒歩10分の学校へ、向かう。

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