第7話
ガタガタと音を立てる馬車の荷台で、藁を枕にして昼寝する。
今日もいい天気だ。
実は気がついたことがある。
あの、巨大うさぎ討伐が実績となっていた。
これで少しだが石を入手することができた。
よくわからないがこの世界で何かすると、それがゲーム的イベントとして扱われるのかもしれない。あるいは、あのゲーム内のイベントがこの世界で発生するのかもしれない。
ゲームのキャラが召喚されるんだ、イベントくらい起きてもおかしくない。
とはいえ、課金石の入手が可能になったわけだ。
まあ、まだガチャを回せるほど溜まってないが、入手方法があって助かった。
ただ問題はイベントだな。
もしかすると、この護衛もイベントとして扱われるかもしれない。
しかし、そうなるとどこかで戦闘が起こることになるな。
山賊が出るって話だし、注意しといたほうがいいかもな。
「なあ、ノエル」
「はい、マスター」
ゆっくり進んでいるとはいえ、馬車と並走してるこいつらはどれくらい体力があるんだ。
まあ、いいか。
「山賊が出るかもしれないから注意しろ」
「はい」
「本当に大丈夫かい?」
「なにが?」
「何がってここいらの山賊だと獣人が混じっててね、すごく強いんだ。足も速くてね、街の憲兵も手を焼いてるって話だし。君たち二人でなんとかなるのかい?」
「どう?」
「お任せください」
「はっはっはっ、心配無用さ」
「だってさ」
「君がマスターってのが一番の不安要素なんだけどね」
「そりゃごもっとも」
「マスター!」
「はっはっはっ」
☆☆☆
「おいっ! 山賊なんていないじゃないか!」
「いいことじゃないか。もうじき街につく。順調、順調」
あれから何も起こらない。
イベントがないと石が手に入らないじゃないか。
「商人殿、馬車を止めてください」
「おっ! 山賊か!?」
「いえ」
街道脇の茂みが揺れ、子供が飛び出してくる。
「君! 大丈夫!?」
飛び出した拍子に転びそうになった子供をノエルが抱きとめる。
見るとあちこち切り傷や擦り傷だらけ。
頭からも少し血が出てるみたいだ。
「大丈夫か?」
「傷は多いですが、深いものはありません」
「どうした? 何があった」
子供はか細い声で「ゴブリン」とだけ言った。
ストックがないので更新は不定期です