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ウチのギルマスが完全にヒモ  作者: 名称未設定
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第17話


「それでどうなった?」


 おっさんの店で遅めの昼食をとる。

 おっさんは協会での話に興味津々だ。

 反対にノーラは興味なさげ、と言うよりはぐったりしてる。

 聞けばベルントがいないと知った女性客の大ブーイングに、おっさんがキレるわ。

 普段来ないカップル客の男がノーラに見とれ、相手の女性がノーラにキレる。

 と、昼の営業は散々な目にあっていたらしい。

 御愁傷様としか言いようがないな。


「どうって?」


「お前ら何やらされるんだ」


「なんでちょっと嬉しそうなんだよ」


「そりゃ新参が先輩に無茶振りされるのを見るのは三度の飯より面白いからだろ」


「まだ具体的には決まっていません」


「なんだそうなのか」


「一応、協会からの依頼という形で出されるので、そこまで無茶はしないと思いますよ」


「チッ、日和ったか」


「残念でした〜」


「それに新規のギルドをテストするのは慣例としてあるみたいですね。試用期間といったところでしょうか。過大に自己申告するギルドもあるようですから、協会で能力を査定するようです」


「そうなのか」


「そうなのかって、おっさんも元々ギルドやってたんだろ?」


「俺が現役の頃の協会は、本当にギルド同士の仲介業者だったからな。そもそも協会に登録なんてしてねぇしよ。ギルドなんて名乗ったもん勝ちよ」


「まあ、そうだよな」


☆☆☆


 夜の営業までの時間。

 ダラダラしてると、店の扉が勢いよく開かれた。


「おやっさん! おやっさん! 居るかっ!」


「なんだ! 騒々しい」


 赤毛の若い男が勢いよく店に入ってくる。


「おやっさん大変だ! カペルが、カペルの村が大変なんだ!」


「落ち着けっ! たくっ、詳しく話せ。おい、ねーちゃん。こいつに水持ってきてくれ」


「はーい」


☆☆☆


「オークが…… そりゃ本当か?」


「ああ、間違いねぇ。襲われた奴がいて、そいつ、棍棒で殴られてて、足が、めちゃくちゃに……」


「そうかよ」


 オークかぁ。

 話を聞くと強そうだが、ゲーム脳的にはよくて中ボスか。

 まあ、ゴブリンからステップアップするちょっと経験値がいい雑魚だよな。


「憲兵には?」


「言ったが最近ここいらにゴブリンが出てるらしくて、兵を出すのに時間がかかるって。あいつらオーク相手だからブルってんだ」


「ふむ」


 おっさんが太い腕を組んで、珍しく真面目な顔をしてる。


「なんとかしてやりたいがな。俺はもうテンペストのギルドマスターじゃねえ」


「そんな!? あの村にはカペルがいるんだぞ! おやっさんの一番弟子じゃねぇか。それを……」


「そうだ。だがな、今はカペルがギルドマスターだ。自分でなんとかできなきゃいけねえ」


「見損なったよ! おやっさんがそんな薄情者なんてよぉ!」


 赤毛のにいちゃんが勢いよく立ち上がりそのまま店を出て行く。

 おっさんは困り顔で禿げた頭を撫でた。


「はあ」


「頼まれてやろうか?」


 おっさんが俺を見る。


「オメェが?」


「まあ、世話になったしな」


「ヒョロヒョロのひよっこが一丁前なこと言ってんじゃねえよ」


「俺も本当は嫌なんだけどさ。こいつら(・・・・)がどうしてもやりたいって聞かねぇんだ」


「できんのか?」


「お任せください」


 ノエルが大きな胸を、ドンと叩いた。

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