第11話
「なぜダァああああああああ」
どチクショぉおおおおおお!!
「どうしたんですか、あれ」
「マスター? なんかコストオーバーでパーティーが組めないってわかってからずっと転がってる。なんか楽しそうだよね」
「そうですか」
☆☆☆
パーティーが、パーティーが組めないなんて。
SSRとはいえ、ノーラは回復職だ。HPも低いし防御力なんて紙みたいなもんだ。
前衛がいないと意味がない。
それなのにディフェンダーのベルントとパーティーが組めない。
このゲームどうなってんだ。
運営出てこい! ふざけんなっ!
どうする? アタッカーだがノエルとパーティーにするか?
くそっ、何故だ!? 何故こうも俺の理想とかけ離れる。
待て、慌てるな。
ビー、クール。
そうだクールになれ。
もっとよく調べよう。
ノーラの能力は、単体回復か。
ん!? 単体回復!?
やべー、こいつもしかして地雷か?
なんで全体回復持ってないんだよ。
それに状態異常回復もないじゃないか。
はぁー、つっかえ。
一人ずつ回復とかAPがたんねーだろーが!
まて、慌てるな。これは孔明の罠だ。
げぇ、関羽! ジャーンジャーンジャーン。
落ち着け、落ち着くんだ。
現実逃避をしてる場合じゃない。
単体強化がある。
そう、これだ。
これでノエルを強化すればどうだろうか。
これ結構優秀だな。
アタック、ディフェンス、スピードをそれぞれ二十パーセント上昇か。
効果時間は四十秒。
重ねがけは効果なしか。
でもスキルのクールタイム短縮も付くな。
なにこれ! 強っ!
効果が自分だけとはいえ魔法詠唱短縮も持ってるな。
地雷とか言ってすいませんでした。
間違いなくSSRです。
☆☆☆
「うふふ、ふふふ……」
「あ、なんか変な笑い方してる」
「はあ、大丈夫でしょうか?」
「心配ならおっぱい触らせてあげればいいよ」
「えっ!? なんですかそれはっ!」
「男の人はおっぱいさわれば元気になるよ」
「えっ? えっ?」
「本当だって、あたしの回復魔法より効くから」
「ほ、本当に?」
「うん」
☆☆☆
「あ、あの、マスター」
「へ? なに?」
珍しくもじもじした感じのノエルに声をかけられた。
お小遣いをねだる小学生みたいだ。
「そ、その……」
「うん?」
「おっぱい」
「おっぱい?」
「触りますか?」
「よろしくお願いしますっ!」
「ちょ、ちょっと声が大きいです」
ウヒョー、ウヒョー。
生きててよかった。
「あの、優しく、してくださいね」
「もちろんだとも! 僕は紳士だからね」
変態という名のな!
「はぅん……」
それは言葉では言い表すことができない。
天上の感触。
まさしく雲を掴むが如きなり。
掴もうとすれば、シルクのような肌触りに指が滑る。
ぶら下がった二つの丸みは、弾かれたようにプルプルと揺れる。
「これがパフパフ。文献に伝え聞く通りのまさに天国」
「あ、あの、元気になりましたか?」
「ああ、すこぶる元気になったよ。ありがとう」
「それなら、よかったです」
「ちょっと! 来てくれないかっ!」
いいところだったのに、商人がノエルを呼ぶ声が聞こえた。
いや、俺も呼ばれてるのか?
「なんだよ、いいところだったのに」
「た、助けてくれ、息子が、息子が……」