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ウチのギルマスが完全にヒモ  作者: 名称未設定
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第1話


「や、ヤバいヤバい! なにこれ、なんだよこれ」


 突然のブラックアウトのあと気がつけば見渡す限り木ばっかりの森の中だった。

 いや、それよりも今は目の前の犬の方が問題だ。

 血走った目とむき出しの牙、うなり声は完全にこちらに向けてのものだ。


 野犬か狼かわからんがとにかくヤバい。

 木々の間を影がチラつく、囲まれてるらしい。


「た、助け…… 誰かっ! 誰かいないのかよっ!」


「マスターは下がっていていください。私が片付けます」


「えっ!?」


 だ、だれ?

 見ると長い髪の女が剣を構えていた。

 いや、待て。どこかで見たことあるぞ。

 そ、そうだ! さっきガチャで引いたキャラだ。


「えっ?」


 なに? どうなってるの?

 そんなバカな。だって、ゲームのキャラだよ!?


 俺が混乱している間に女剣士が犬を蹴散らす。

 その動きの速さは、俺のような凡人では目が追いつかない。

 瞬く間に二匹、三匹と倒していく。


 俺は、助かったのか?


「マスター! ここは危険です。離れましょう」


「お、おお。逃げよう。そうしよう」


 女剣士は俺の肩を掴むとほとんど引きずるように森を駆け抜けていく。

 気分はシークレットサービスに警護される要人だな。

 だが、要人ごっこというにはリアルすぎて吐きそうだ。

 犬に吠えられたくらいで大げさだというなかれ、むき出しの殺意を向けられたことなんてないんだから。いかに平和な世界で生きてきたか実感する。


 それにしても、まずい。

 助かった反動か、それともさっきの戦闘の興奮からか股間が膨らんできやがった。

 まったく生の喜びを知りやがって。


「ここまでくれば大丈夫でしょう」


 気がつけば、森を抜けて草原に出ていた。

 俺は仰向けに倒れこむ。


「ここ、どこだよ……」


 女剣士が俺の顔を覗きこんできた。


「マスター。大丈夫ですか」


「大丈夫じゃねぇよ! 全然大丈夫じゃない! どこだよここ! さっきのはなんだよ。お前は誰だよ!」


「落ち着いてください。深呼吸して」


 俺は言われるまま深呼吸する。


「私はノエル、剣士です。ここは…… どこかはわかりません」


「わかんねぇのかよ! ダメだ! おしまいだ」


「落ち着いてください。わかりませんが、私がついています。マスターは私がお守りします」


 そういうと俺の頭を抱えるようにしてノエルに抱きしめられた。

 人の心臓の音を聞くと落ち着くらしい。

 それにめちゃくちゃ胸が大きい。これはいいものだ。


 今、剣士なのに防具つけてないのか? って思ったやつ。その考えは正しい。

 しかし、思い出して欲しい。

 この目の前にいる美少女と言っていい女剣士はゲームのキャラだ。

 つまりちょっと露出の多い、防御力とは無縁の格好でもゲーム的には無問題(モウマンタイ)だ。


 ま、まてよ!? このノエルはさっきガチャで引いたキャラだ。

 このなんだかわからない世界だとソシャゲのキャラが出てくるのか?

 ガチャを引けばそれがそのまま出てくるなら、SSRの超強いキャラとかも出るんじゃ無いか?


 俺は勢いよく立ち上がる。


「マスター?」


 女の子座りで見上げるノエルに俺は力強く宣言した。


「ガチャを引くぞ」

名前:ノエル

職業:フェンサー(片手剣)

属性:風

レアリティ★★★☆☆(R)

いわゆるハズレキャラ

ソシャゲにありがちな量産型キャラ

特筆すべき能力や性能がないため攻略サイトなどで話題にもならない

ただしあくまでゲームでの評価であり異世界での力は……

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