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小さな星の日めくり文明開花  作者: 松乃森スバル
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天変地異の起こし方

僕は神の目モードのまま中空に漂いながら凍りついた大地を眺める。

まだしばらく氷河期は終わりそうもないからこの寒さはどうにもならない。

しかし、少しでも暖かい地域があれば、様々な植物も育つし、獲物となる動物だって集まる。

そこにアヴァル達を導いて村を築けばとりあえずは絶滅する事はないだろう。


遠くから星を見たときは、確か赤道近くまで氷に覆われていたから、さすがに数千キロも移動する事は不可能。

暖かい地域か・・・。


ヒントはないものか、と夜の景色を眺めていると、赤黒い煙を吐く火山が目についた。

っ!!そうか!ここは火山地帯だ!

火山活動がもっと活発化すれば、地熱がもっと高くなる。そうすればこの辺り一帯は暖かくなるはず!


ユルズには申し訳ないけど、アヴァルを救うためには致し方ない。彼等を助けるのはユルズの願いでもある訳だし。


僕は隣に漂うユルズに振り替える。


「ん?神様?どうかしました?」


突然、真剣な面持ちで見つめてくる僕に驚いたようすのユルズにゆっくりと近づく。


「え?え?どうしたんですか!神様?」


「ユルズってさ、改めて見ると、すごく可愛いなって・・・」


「えええ?!なんですか急に!」


おたおたと慌てるユルズに更に近づき、その細い腰に手を回す。


「ほら、手ができたから君をこうやって抱き締めることもできる・・・。あとは顔だけだ。ユルズ、もっと近くで俺の顔を見てくれないか?」


「だ、だから!ぼや~ってしてて目も鼻も口も無いんですよ~」


「じゃあ君に口づけすることは出来ないのかな・・・」


そう言って僕は両手でユルズを抱き寄せ、彼女の顔に近づいてゆく。


「か、神様・・・ダメですよ。お月様が見てる」


光の月を浴び、瞳を潤ませたユルズは本当に可愛くて、僕は本来の目的を忘れかけていた。

記憶も自分の身体すらも失って虚無の世界にいた僕を再び光の中に導いてくれた彼女は今の僕にとってかけがえのない存在なのだ。

そう考えると、僕は胸が高鳴るのを感じる。

女の子に対してこんな感情を抱くということは、記憶を無くす前は男だったんだろう。


さらにユルズの小さくて可愛い唇に近づいてゆく。


「恥ずかしすぎて、もう!だ・・・ダメですぅ!」


恥ずかしさに耐えられなくなったユルズが顔を真っ赤にして俺を突き飛ばした、その瞬間。

大きな地響きと共に火山が噴煙を吹き上げ、真っ赤な溶岩を吐き出してゆく。

そして裾野の至る所にも蒸気や間欠泉が吹き上っている。


「おっ!これで一気に地熱が上がれば、あの湖の氷も溶けるな!」


どうやらユルズをデレさせて火山活動を活発化させる作戦は成功したようだ。


「え?あの、神様?これはどういう事ですか?」


「ここを暖かくするにはあの火山を使うしかないと思ってね。君の感情がこの星の火山活動に影響するのはここに来たときになんとなく解ったから・・・」


僕が言葉を重ねるにつれてどんどんユルズの表情が険しくなってゆく。


「さっきのは、そのためだったんですか・・・。それならそうと言ってくれればいいのに・・・」


「あ、あれ?言えば噴火させられたの、かな?」


月をの光に照らされたユルズの形相は本当に恐ろしくて、僕は本来の目的を忘れて全力で逃げ出しそうになった。

しかしその前にユルズに後ろから首筋を掴まれ逃げることは叶わなかった。

そしてユルズの見た目からは想像も出来ない力で締め上げてくる。さすが本体が天体だけあってそのエネルギーは計り知れない。


「私の純情を何だと思ってるんですか?!神様?」


「ああ!痛い!心が潰れる!精神が痛い!」


意識の存在だからなのか、外部的な痛みではなく心が締め付けられるような痛みに襲われる。


「大丈夫ですよ・・・、手も足も頭も、元々無かったんですから・・・」


「ぐぎゃぁぁぁ!!!」


月夜の空に僕の悲鳴がこだました・・・。

そして遥か地平線の先に、新たに三つの火山が火を噴いたのだった。


こうして、生えたばかりの僕の腕と引き換えに、火山の裾野の凍てついた大地は地熱によって雪や氷が溶けていった。



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