0日目 その一
初投稿なので、色々と拙いところもあると思います。それでも読んでいただければ幸いです。誤字、脱字、分かりづらい表現等ありましたらご指摘ください。
その日は雨が降っていた。
僕は神社の縁に座り、猫に話し掛けていた。
にゃあ、と猫は返す。会話なんて勿論成り立たない。しかし、僕にはそれでよかった。僕は常日頃抱えている文句を吐き出したかっただけなのだ。
雨粒が白い線を描いては消えていく。その繰り返しの中で細々と鬱憤を晴らせれば良い。ただ、それだけで良い。
ここの神社にはいつも猫がいた。猫が賽銭箱の前で気ままに寝ているのが常だった。その猫は黄色っぽいような、赤いような虎柄の猫だった。僕がそいつに話し掛け始めたのは高校2年の春だった気がする。
この神社にはどういう神様がいる、とか、どういう良い事がある、とかは全く分からない。ただ、家の近くにあっただけだ。お世話になったのは高校入試の前日ぐらいだった。
僕がこの神社に来たきっかけは、周りの人間関係に悩んだからだった。クラスが変わり、仲の良い人達が離れ、新しい出会いが生まれる季節。その中で自分は、引っ込みがちな性格が故、クラスに馴染めずにいた。全て忘れてしまいたい、という時に見つけたのがこの静けさだけが溢れる空間だった。
本当に小さな神社で、境内には狛犬とそれに続く石畳はあるが、他にはこれといって特に無い。寄る人もあまり居ないような神社である。
気ままな猫は何も語らない。時折、体勢を変えては欠伸をし、また丸い饅頭の形に戻っていく。僕の話すら気にしていない。でも、それで良かった。そんな日を何日も過ごしてきたのである。
しかし、その日は違った。
肌寒くなってきた10月初旬の雨の日のことである。僕は不満を溜めては神社に赴き、猫に不満を話す生活を送っていた。そんな中、二学期の中間テストが終わった日、いつもの様に人間関係に疲れていた僕は、いつもの様に神社に行った。そして、いつもの様に気ままなトラ猫に話し掛けていた最中であった。
ちりん、という鈴の音がすると同時に、のしのしと鳥居をくぐる、大きな三毛猫が見えた。
その猫はゆっくりと階段を登ると、僕とトラ猫の間を通り抜け賽銭箱の上に飛び乗った。
その猫は大きな欠伸をしてから僕に向き直りこう言った。
「お前の話はそいつから聞いている。お前の願いを叶えてやろう。」