25.監禁
念のため、R15タグと残酷表現のタグを入れました。
※20151206 改行位置修正
目が覚めるともうお昼を過ぎていた。
昨日の大掃除でくたびれてたせいかな。体があちこち痛い。節々もぎしぎし言ってる。
寝過ぎたせいか、すっきりしない。まだ眠り足りない感じ。
ごはん、食べるのもなんだか気が乗らない。というかお腹が空いてない感じ。
低血圧だけど、こんなに自分の体が重たいのは久しぶり。やっぱり普段の運動不足がたたってるんだろうなあ。
年明けからはスポーツジムでも行こうかしら。でも、土日がそれで終わっちゃうのはもったいないよね。
もっと早く帰れれば、帰宅時に寄れるのに。
なんとか起き上がる。もっさりした動きだなあ、と自分でも思う。
もういいや、ご飯はカップラーメンですませちゃおう。コンビニに行くのもしんどい。
テレビは映画が終わったあと自動的に電源切れたみたい。どこまで見たか覚えてないや。そんなに面白くなかったわけじゃないのに、なんだか記憶に残ってない。
もう一回見るかなぁ。でもまた寝ちゃいそうだけど。
がたがたと揺れている。地震……じゃないわね。
どれ位眠ってたのかな。今、何時頃だろう。夕方なら、一度は現実のあたしが目覚めたはずだ。
眠る前のことを何とか思い出そうとする。でも、覚えてない。なんだろう。なんでここにあたしは寝転んでいるんだろう。
起きようとして腕が動かないことに気がついた。
後ろに回されて縛られてる。右肩を下にして、横に転がっているようだ。
なんで、縛られてるんだろう。
何があったっけ……。
あたしは目を開けた。
暗い。でも幌の隙間から光が見えるからなんとか中は見える。動いてる音からすると、馬車の中かな。板張りの荷物用の馬車だ。荷物は大して載せられてないみたいだけど……。体を動かそうとすると、羽ばたくような音がした。と同時に体の自由が効かなくなる。
またなの? ……また……? 前にもあった……? ……覚えてない。
重たいものがあたしの上に乗ってきた。目の前に手が現れ、あたしの瞼をぐいっと閉じさせる。痛いってばっ。そのあと、ごろりと上を向かされる。目を開けることもできない。
口をこじ開けられ、何か冷たいものが流し込まれた。水……じゃない。粘度の高い液体。薬草の匂い。
飲んではいけないもののような気がして、喉を塞ぐ。でも、少し飲んじゃって、長くは持たなかった。麻酔みたいなものだったみたい。舌や喉の奥の感覚がなくなったかと思うと、するりと喉に落ち込んでくる。
体の拘束を外されて、あたしは思いっきりむせた。涙がでるほど咳き込んで……体が動かなくなった。
一体何が起こってるの?
なんで、こんなことになってるの……?
どれぐらい経っただろう。次に気がついた時には閉じたままの目に光を感じることはなかった。馬車の中が暗いのだろう。もう夜なのだ。ということは現実のあたしは多分、休みだから二度寝したか昼寝中して、一度起きて、夜になってまた寝たのね。
でも、目が覚めても状況が好転することはない。少なくとも一度は向こうに戻ってたはずなのに、戻った間のことを全く覚えてない。
こんなこと、いままでなかった。いつもなら現実の記憶を持ったまま、トリムーンに飛んできてた。でも、今回は扉を開けて来た記憶がない。初めてのことだ。
体を動かそうとして、動かないことに気がついた。目も開けられない。喉から唸り声が出た。背中に振動を感じることから、体は多分、仰向けになってる。
「おまえ、召喚者なんだな」
不意に闇の中から声が飛んできた。低い声。たぶんあたしに薬を飲ませたやつだ。羽のある種族の。
でもまだあたしは口を動かせない。体も動かせない。薬を盛られたのは昼ごろのはず。外は明るかったし。
トリムーンから現実の世界に戻っている間の時間の経過は、トリムーンのあたしの体には影響を及ぼさないらしい。
お腹は普通に減るのに、傷の治りが悪かったり、薬の効き目が異様に長かったりすることがある。
今回も薬の効果が切れてないみたい。
「喋れないのか。薬が切れてないのか?」
ぐい、と髪を掴まれ、首を持ち上げられる。悲鳴を上げようとしたけど、喉からは唸り声しか出ない。
何かが首に触れた。出っぱったものが喉に食い込む。かちりと音がして、首が締め付けられると、頭が自由になった。床に頭が落ちると、首の後ろに食い込む何かが痛い。
それから、鎖の音が聞こえてきた。太そうな金属の音。
首の辺りで何やらカチャカチャやってる。
ごろんと体をひっくり返された。両腕を固定しているものを引き剥がしにかかったらしい。まだ体が麻痺してるせいか、剥がされてる感触はなんとなくわかるけど、痛みは感じない。むしろ首につけられた金属のでっぱりが喉に食い込んで、息ができない。
またごろんとひっくり返される。気管が解放されて、あたしは咳き込んだ。だんだん感覚が戻ってきた気がする。
手首に何かが触れる。右と左で別々に、何かがつけられ、やっぱり鎖のような音がじゃらっとした。続いて足首にも。
「薬が切れても逃げようと思うなよ。無駄なのはもうわかったろう」
……だめ。思い出せない。あたし、何をしようとしてたんだろう。この人は誰? 有翼人種なんて知り合い、いない。妖精族はいるけど。
ピコ。そう、ピコ。彼に会ったのは覚えてる。……なんか、胸が締め付けられる。なんでだろう。ピコの顔を思い出すと、胸が痛い。
「う……あ」
唸り声。言葉を絞り出そうとしても、言葉にならない。鎖が鳴る。と、首につけられた何かがぐいっと引っ張られ、喉に食い込んだ。
「うぐっ」
何かがあたしの上に乗ってきた。重い。
口を強引に開けさせられ、また何かを流し込まれる。飲みたくない。嫌。誰か……誰か助けて!
涙があふれる。喉を降りていく液体。
そしてまた――あたしの記憶は混乱していく……。
すみません、嘘つきました。
書いちゃいました。。。あかんなー、禁断症状出そうです。
続きはまた明日。




