【逃亡編】14.あたしの居場所
だだあま警報置いときます。
それとこれ以上はR18になっちゃうので、ショートで。すみません。
「サーヤ」
優しい甘い声。優しい手が頭を撫でる。目を開ければリュウが覗き込んでいた。
「おかえり」
「ただいま」
そっと毛布から手を出してリュウの顔をなぞる。手を握られ、唇を落とされる。なんだかくすぐったくてあたしは声を上げて笑った。
ぺろりと指先を舐められて顔を上げると、リュウの顔が近づいてきて、頬、鼻と柔らかく啄まれて唇を塞がれた。両手をリュウの首に巻きつけて引き寄せると耳の側で囁いた。
「これからはずっと一緒」
「え? サーヤ?」
そう告げるとリュウは驚いたように体を離した。あたしは上体を起こした。肌寒さに自分を顧みると何も身につけていない。
えっ? 今朝あっちに戻った時って……。
夕べのことがまざまざと脳裏に蘇ってきて、あたしは真っ赤になって毛布を頭から被った。
「サーヤ? 急にどうした」
「やっ、だって、夕べっ」
ちらりと毛布から顔を出してリュウを見上げると、蕩けるような笑みで毛布を剥ぎ取ろうとする。だ、だめだってばっ、あたし何も着てないんだって!
そう叫びたいのを必死で押さえながら抵抗する。リュウの力は馬鹿にならないほど強くて、気を許したらあっという間に剥がされてしまう。
「夕べ存分に見たし、恥ずかしがらなくても」
「やっ。恥ずかしいのは変わらないわよっ。ふ、服ちょうだいっ」
くるりと視界が反転して気がつけば毛布ごとリュウの膝の上に横抱きにされていた。リュウの顔が近づいてきて思わず目を閉じると、額に唇を感じた。
「さっきの言葉……サーヤ、もしかして試練を」
リュウの言葉にうなずくと、途端にリュウに抱きしめられて頬ずりされた。
「リュウ」
「嬉しい、ありがとう。……これからはずっと一緒にいられるんだな」
「ええ」
毛布から出した腕でリュウの首にすがりつく。
「君を朝見送る度に戻ってこなかったらって恐怖に襲われてた。……もう、消える君を見なくて済むんだな」
「ええ。日が昇っても一緒にいられるの。……本当は森に戻ってからにするつもりだったのに、ごめんなさい」
「一緒にいられる時間が長くなるんだ、構わないよ、そんなこと。愛してる、サーヤ」
「愛してる……」
それ以上言葉は要らなかった。
リュウの体温を感じながら、ようやくあたしはトリムーンでの居場所ができたことを実感した。




