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授業中でしょ!


 なゆらは学校にもついて来るようになった。それだけではない。授業にも顔を出し、人一倍授業を聞いてさえいるのだ。


「……というわけで、破竹の勢いで東方遠征を行ったアレクサンドロス3世、通称アレキサンダー大王の大帝国は彼の死によってあっけなく幕を下ろしたのです……」


 そのため先生が話をしている間はおとなしくてよかった……が


「ここまでのところで何か質問がある人……」

「ハイ!にゃ!」

「はい!タナガワ君!」

「え?俺?」


 俺は自分の手が高々と挙げられているのに気づいた。


「ちょ、オイこら!なゆら、なんで勝手に俺の手を挙げるんだよ!」


 なゆらは授業を聞くだけでなくうるさく質問するのだ。しかし先生に聞こえるハズは無いので、俺に質問させようとしたのだ。


「はい?なんですか?もう少し大きな声でどうぞ」


 先生だけでなくクラスのみんなが俺の方を見ている。やばい、また変人だと思われるのだけは避けなければ。


「その後アリストテレスはどうなったんニャ?」

「あ?アリストテレス?」

「哲学者のアリストテレスですか?」

「か?」

「にゃ」

「あ、はい。アリストテレスはその後どうなったんでしょうか?」

「そうですね。アリストテレスはアレキサンダー大王の家庭教師をしたためなのかは不明ですが、アレキサンダー大王の死後、住んでいた土地を離れ翌年病死したということです。そのほかに何かありますか?」


 バッ!


 またしても、俺の手が挙がった。


「ん?タナガワ君まだなにか?」

「は、はい。具合が悪いので、ほ、保健室へ行ってもよいでしょうか?」

「あら、そうね。確かに顔色が悪いようね。いってらっしゃい」


 手を挙げようとするなゆらを必死で抑えていたが、なゆらのヤツは反対の脇をくすぐった隙をついて手を挙げやがったのだ。俺は押野先生に一礼すると教室を出て行った。


「待つのにゃ~~まだ授業は終わってないのにゃ~~~!」


 もちろん沙耶華さんにもその声は聞こえていたのだろう。普段は涼しい顔で微笑みを絶やさない沙耶華さんが机をパシッと定規で叩く音が廊下にまで響いた。


「お、オマエなあ~いい加減にしろよ!もう、金輪際学校に近づくな!てか俺から離れろ!いいな?」

「ふにぃ~~~~」


 こう言うと、その時はシュンとしておとなしくなるのだが、どうやらなゆらは好奇心の塊らしくて、同じような日々を繰り返すのだった。



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