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なゆら召喚!


「メロウ~イエロー~モロヘイヤ~!」


 ーー ピコは戦いに勝利した ーー

 ーー 魔法ポイント16,489マカロンゲット ーー

 ーー ピコはレベルアップした ーー


 ーー レベルアップボーナスをお選びくださいましダンナはん ーー


 俺は先生に教えてもらったオンラインRPG超絶空想都市「まじか☆らんど」にすぐに夢中になった。普通、オンラインゲームっていうのはリアルな誰かと繋がるってのがいいんだろうけど、どうもチャットってのが俺は苦手だった。その点「まじか☆らんど」はAiのキャラクターがとにかくよくできていた。いや、いうことを聞かなかったり、突然居なくなったり、よくできていないのかもしれないが、それが人間以上に人間らしいのだ。

 俺のゲームネームはピコ。彦に丸だからなのかゲー研で付けられたゲームネーム、人呼んでゲー名だ。


「なになに、魔法が生成できます……か……こういうの考えるのメンドーなんだよなあ。お、自動生成ってのがあるぞ。コレコレ。こーういうのがイイネ!」


 ーー 強化系、防御系、召喚系からお選びくだせい ーー


「召喚系なんて、今までなかったよなあ。よし、これにしよう」


 ーー 生成ボタンをクリックしてくだせい ーー


「生成っと……」


 ナ☆ンジャラン~~~カ★ンジャラン~~~

 ヘボイ!マイマイカムラ~~~ペッ!

 ペッペッペッ!!!


「なんじゃらん、かんじゃらん、へぼいまいまいかむらーぺっ!って……ほんと、テキトーな呪文生成だな~最後のぺっぺっ!ってなんだよ」


 ーー 彦丸はナユゥ召喚ノ呪文ヲ唱えた ーー


「ナユゥ!ほんと?」


 …………


「ってなにも召喚されてないんですけど……失敗か……そーだよなあ、伝説の白のナユゥ姫が召喚されるハズもなし……」



「おいっすぅ~ワッチをんだのはおヌシかにゃ~?」



 パソコンのモニターに向かってグチっていると、突然背後から声がして俺は振り返った。


「わわわっ!なんだ!オマエは!ななな、なんなんなんだ!?」


 そこにはアニメかゲームの世界から飛び出してきたみたいな、フワフワでヒラヒラでモコモコな現実世界だとしたらずいぶん奇妙な服装の少女がふんわりと浮いていた。


「ふにゅう~ワッチか?ワッチはなゆらニャ!不思議の魔少女☆な・ゆ・ら!!!」


……これがなゆらとの初めての出会いだった。正直、俺はやっちまった、と思った。ついに俺の脳は現実を拒絶して架空の世界へ救いを求めるようになったのだと。

 なぜなら、なゆらは俺が妄想するスペックをすべて備えていたからだ。ロリ顔なのに胸は大きく、大きな目を上目遣いにクリクリさせ、なにかの制服っぽいくせにフリルがたくさんついたきわどい衣装で、しかもちょっとエッチな性格で、もちろん髪はツインテールだった。そしてなにより俺に夢中なのだ。

 こう言うとラッキーじゃねーかオイ!うらやましいぞコノヤロウ!とか思われそうだけど、それほどウマイ話なんてのはやっぱ無いらしい。なゆらには唯一にして最大の欠点があった。それは触れない。ということだった。姿は見えども触れない……ヒトはたぶん、これを妄想と言うのだろう…………


 はじめのうちなゆらは、ときどき朝に現れるだけだった。だから、ガマンもできたし、無視もできた。それに親に相談するワケにもいかないので半分あきらめていた。しかし、そのうち目に見えなくても存在を感じるようになり、だんだんと昼夜関係なく姿を現われだすようになった。アリエナイこと……「超不自然現象」に慣れていたせいなのか俺はそのうち存在自体は無視することができるようになっていた。しかし……


「わっ!」


 朝、息苦しさに目を覚ますと目の前になゆらの顔があった。その距離、3ミリといった近さだ。


「オマエ!寝ている間に浮遊するな!」

「ん~もう~うるさいにゃ~添い寝をするな!とか、上に寝るな!とか、次は浮くなときたか!したらばワッチはどげんしたらヨカとにゃ」

「消えろ!」

「いいのか?」

「いいぞ!」

「これでもか!にゃ!」


 グッ!


 なゆらは地べたにペシャリと座り込むと、両腕を前に起き胸を強調するポーズで上目遣いをした。


「そ、そんなポーズをしても無駄だ!お、俺は」

「彦丸!もう起きなさーい!」


 イキナリ母さんが扉を開けた。


「ご、ゴメンナサイ。取り込み中だったようね」


 なゆらのポーズに耐えかねた下半身を押さえこんでいるのをバッチリ、ハッキリ、クッキリと母さんに見られてしまった……

 終わりだろ?俺……


「おとうさーん!あの子、朝からよ!もうどうしたらいいの!ほんっと男の子って大っ嫌い!」


 リビングで声がした。それもレベルMAXの声だった。


「だから、母さん……聞こえてるって……しかもご近所さまにも……」


 俺は仕方なく、また朝飯抜きで出かけるしかなくなってしまった。


「ええい!もう俺学校に行ってくるからなー!」


 リビングに向かって俺は一回叫んだ。


「おい!オマエ!絶対ついて来るなよ!」


 そして俺の部屋から今にも抜け出そうとしているなゆらに向かって3回念を押した後、俺は家を出た。そして、家の前で自分の部屋の窓を確認した。窓になゆらの影を確認すると安心して駆けだした。


「まったく、最近アイツの行動範囲が広がってる気がする。って俺の妄想力が上がってるってことか?まさか、外までは出ないんだろうが、学校まで来られたら俺の学園生活まで台無しだってんだ!でも白昼夢ってのがあるくらいだからなあ……」



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