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融合


「ん、あ、あ……」


 目を覚ますと俺は床に倒れ込んでいるのに気がついた。起き上がり、周りを見れば、みんなも倒れている。


「み、みんな……無事か?ど、どうなった?」


 ノジコが起き上がり、すぐにパソコンを調べはじめた。みんなも次々に目を覚ますとノジコの作業を見守った。


「せ、成功です!や、やりました~~~~!!!」

「よかった、本当に、よかった……」


 俺は心の底からそう思った。


「良かったですな~しかし、コレからどうなりますかな?」


 相変わらず無表情なダモンはやはり冷静だった。


「それは、また考えることにしましょう。時間はあるのですからね」


 部長はダモンに答えていった。ダモンの言うことはつまり、ゲームイベントの期限という条件は解除できたが、この空間から抜け出せたワケではない、ということだった。


「皆の者、ご苦労であった。そして彦丸殿、デスペルの選択をしないでくれて感謝する」


 どこからともなく声が頭の中に響いた。


「ま、魔王タロス?」

「な、なんだよこの声?」

「まだゲームの影響下にあるということですか?」


 みな初めての声に驚いた。


「え?ま、ま、魔王タロス様?」


 そして、ダモンがめずらしくうろたえ始めた。なるほど、魔王様というのは嘘ではないらしい。


「まあ、彦丸殿がデスペルしようとしたら、その場で全員消去したがな。ハッハッハッハ!」

「あ、やっぱね。そんなコトだろうと思ったよ。しかし、なゆら!お前の父親があんな事言ってるぞ!」

「そんなことは全力阻止するから大丈夫にゃのら!彦丸だけは守るにゃ!他は知らんが」

「…………」

「おい~!敵を作るようなことワザワザ言うなよ!」

「はーい!はーい!はーい!彦丸様!」


 ダモンが手を挙げている。ついに壊れたか?


「なんだよ気持ち悪いなダモン」

「ええと……も、もしかして、父親って言いませんでしたか?魔王様のこと、なゆら様の……」

「言ったよ……、って、あっ!秘密だっけ」

「もういいにゃ。どうせバレるにゃ」


 なゆらに怒られるとおもいきや、そうでも無かった。


「ええええええとととと……と、ということは、なゆら様が、ナユウ王女さ、さま?なので??」


 しかしダモンは相当小さくなってしまった。いや本当に体積が減っているように小さくなっていた。


「そうにゃ。しかしその呼び名は嫌いにゃ」

「ふ~ん、そんなに偉いのかコイツ」

「バカなことをいうな!でございますよ!」

「ダモン、おヌシワッチのヒコをバカといったのきゃ?」

「めめめ、滅相もございません。しょ、しょうしょう小脳の分量が少ないと申し上げましたまでで」

「そうか、それならばよいにゃ」

「よかねーだろ!んでマオタローさん。なんの用だ?」

「オイ~!ひ、彦丸様、魔王様にそんなこと言ったら毛虫とかにされてしまいますぞ!」

「ダモン!お主、余計なことを申すでない!!!!」

「は、ははは~~~~~」


 ダモンはさらに小さくなってしまった。


「彦丸殿、さきほど言ったことは嘘ではない。ワシもこの国を守る義務があるのでな。しかし、彦丸殿はそうはしなかった。それでハッキリしたのだ。ナユウそれでいいのだな?」

「にゅ」

「なにを二人で話してるんだよ!」

「そなたたちを我がマジデスラ城に招待しよう」

「え!マジ?」

「本当ですか?お城ですか?ボクもいいですかね~?」

「先生!どんなところかも知らないのに喜ばないでください」

「は、はあ~カガリさんは夢がないですね~城ですよ!城!」


 みんなはそれぞれの反応をしだした。


「あの~大王様。でも私たちはこの閉鎖空間から出られないようなのですが……」


 そんな中、ノジコがおそるおそる尋ねた。


「娘よ、ワシは魔王だ。大王ではないぞ。しかし気に入った。よってこれを授けよう」


 そう言ったかと思うとノジコの手にゴルフボールくらいの玉が握られていた。


「いつか、そちらが帰る際に役にたつであろう」

「あ、ありがとうございます!大魔王様!」


 何気にノジコって世渡り上手……いや、天然か。


「よしよし。では、こちらからの迎えが着く頃なのでしばし待てい!」

「いいでしょう。そのお城とやらに招かれてさしあげましょう」

「お、お、おお嬢様!スケールが桁が、規模が違います。ここはひとつ低姿勢でお願いします……」

「お黙り!」


 沙耶華さんの一喝に、ますますダモンは小さくなってしまった。


「さあ、そろそろ着くはずだ」


 にゃんでんかんでん~★でっきるかにゃ~あっ

 にゃんでんかんでん~★やっれるかにゃ~あっ


「うひょ!にゃんま大使にゃ!」


 にゃんま大使とそのにゃんま行進とやらが部室の前までやってきた。途中で例の枢機卿といかいうのも一緒にやってきたようだ、後方にはミュウミュウも居た。


「こ、これが迎えだったのか……」


 --ういういしくも、うやうやしくあらせられまする我が君よ

  天の天たるひとの麓へと、いざ、分け入り奉りましょうぞ --


 にゃんま大使が口をひらくと、後に控えていた輿が開いた。中からは黄金色の輝きを放っていた。行列の参列者たちが頭を垂れて俺達を輿へと導いていた。みな、戸惑いながらも輿の中へと進んだ。最後にいたダモンは輿に上がろうとはせず、行列の脇に立とうとしていた。


「なにしてるんだよダモン!お前も上がれ」

「い、いや、しかし……」

「お前も仲間だろ!」

「ひ、彦丸様……」

「そうよ。おあがりなさい」

「お、お嬢様」

「早くするにゃ!」

「は、ははあ~~~」


 ダモンが乗り込むと輿のドアが閉まり持ち上がった。装飾はすべて金色で格子状の窓からは外が見えた。


 にゃんでんかんでん~★でっきるかにゃ~あっ

 にゃんでんかんでん~★やっれるかにゃ~あっ

 わっはわっは~で★でっきるんにゃ~あっ

 よっほよっほ~で★やっれるんにゃ~あっ


「こんな調子じゃいつ着くかわかんねーな~」

「な、なにを言ってるのです彦丸様。みなさんも手すりをガッチリバッチリ掴んでおいたほうがいいですぞ!」


 そうダモンが言ったかと思うと、ガッっという衝撃が走り、輿がガタガタ揺れ始めた。同時にカラダが飴のように伸びるような感覚がした。と、思うまもなくまた、ガッと言って停止した。


 にゃんでんかんでん~にゃ~~~~~~~~

 プッシュゥゥゥウ


 輿がひらくと遥か上空、雲の上の城の城門前に輿は停止していた。そしていつのまにかにゃんま大使はおろか、行列の者の姿も完全に消えていた。輿を降り眼下をみると混沌とした暗闇の中に雲が立ちこめ、ところどころ雷が光った。どこからともなく光の筋が飛来したかと思うと、緑や黄色、ピンクやブルーの光を灯したカップケーキのような小都市が生まれた。回りを見れば同じようなことがアチコチで起きていて、だんだんと闇のステージに光りのジグソーパズルを埋めていくようだった。



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