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超絶空想都市「まじか☆らんど」

 超絶空想都市「まじか☆らんど」は、どこかの阿空間にある魔法都市で、魔王を中心とした立魔君主制をとる魔法国家だった。地球の常識では考えられない魔法が普通にある世界だったので「空を飛ぶ」だの「瞬間移動」だの多くのことが簡単に出来てしまう。そのため、競争もなく、国民はみな「のほほ~ん」としていた。

 しかし「まじか☆らんど」そのものを形作るのもまた、国民の魔法力だったから、都市全体に「のほほ~ん」がはびこり、国民の魔力が無くなれば世界が崩壊してしまう。

 そのため「まじか☆らんど」では、欲望や空想力くうそうりきが枯渇しないように、つねに外界からの刺激を必要とした。かつては定期的な地球からの訪問者があり、あらゆる刺激を提供していたが、その空想力は時に破壊的であり、「まじか☆らんど」はなんども消滅の危機に瀕した。

 そこで、MMORPG「まじか☆らんど」が作られた。

 MMORPG「まじか☆らんど」というのは、超絶空想都市「まじか☆らんど」と地球の架け橋とするため、伝説の魔導王「ナ王」により創造されたといわれている。

 世界観は「まじか☆らんど」を模していて、Aiとして動いているキャラクターのほとんどは「まじか☆らんど」の国民だった。「まじか☆らんど」の国民はそのゲームの真の意味は知らずにキャラクターとして単純にゲームを楽しんでいたので、ゲームを通じて安定した空想力を供給することができた。

 MMORPG「まじか☆らんど」は「ナ王」のその無限の魔法力を封じてあるとも言われたが、その全容を知る者はいなかったため、その運営・管理は魔法院に一任されていた。魔法院の役割は、MMORPG「まじか☆らんど」の運営と維持の他に、「ナ王」によって隠された魔アイテムや失われた魔法を見つけ出すことだった。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 揺れがおさまると、あたりがシーンと静まりかえった。パラ、パラパラっと小石か粒上の何かが天井から落ちてくる。その少し大きめの石が頭にあたって俺は目を覚ました。


「ん、あああああ。すごい揺れだったな。みんな大丈夫か?」


 俺はあたりを見回した。そこは中央廊下だった。そこにみんないた。三上先生、カガリ部長、ノジコ、ガモ、沙耶華さん、俺……そして、なゆら、ダモン……とミュウミュウ……


「なんだこれ!こんな服どうなってんだ!」


 ガモが叫んだ。ああ、そうだ服もおかしい。今日着てきた服ではない。これはゲームのアバターが着ていた服に似ていた。


「それよりその人達は誰ですか?なんかこう奇抜というか不思議というか……」


 カガリ先輩が、ミュウミュウ、なゆら、ダモンを見て言った。み、見えているんだ。カガリ先輩にもダモンやなゆらが……


「な、なにかがおかしい。地震で壁か何かが崩れてみなここ落ちてきたのか?」


 我ながら何を言ってるのかわからないことを口走ってしまった。


「よく寝たにゃ~~~!さ!つぎ行くにゃ!」


 なゆらだけが相変わらずだった。


「ううん、ここはゲームの中よ。私が作ったゲームの中よ」


ノジコが指をさしている。その先には、さっきなゆらが破壊した。壊された窓のポリゴンが欠けたままだった……


 みな理解した。ここが「まじか☆らんど」の中であることを……


「ね。これってさ、その時間制限で空間が消滅したらどうなるの?」


 ガモがいきなり確信をついてきた。


「たぶんプレイヤーそのものも消滅しますね」


 ノジコが答える。


「え……てかなんでそんな冷静にそういうこと言えるかねえ」

「しかたないじゃないですか事実だから」

「じゃ、もう勝負はいいからクリアしちまおう。最短攻略ルートは?」

「いやあ、ランダム要素が強いので……」

「わかんねーの?っきしょう!」

「しゃーねーなーまともにクリアするしかないのか」

「い、いやあ、それが……実はクリア条件はないんですよね……」


 別にノジコを問い詰めるつもりは無かったのだが、ノジコはすまなそうに返事をした。


「はい?」

「あーその件はボクが説明しますよ。これはですねえ、もともと部員全員が一致団結することを目的にすることにしたんでありますよ。だから、できるだけ長時間同じゲームをやる。いわば合宿のようなものと思ってたんですよねえ。だから、そのぅ……時間切れまでやり続けることだけがクリア条件だったわけで~」


 ノジコにかわって三上先生が説明した。


「それって……」


 沙耶華さんも呆然としていた。


「ああ」

「うおおおおおおおおおお!なんてことしてくれたんだよ!もう!」

「ガモ、ノジコに怒ってもしょうがないだろ」


 そうは言ったものの、何をすればいいのか俺にも思いつかなかった。


「どうでしょう?まずは自己紹介をするというのは?」


 さっきからずっとなゆら達を見ている部長が切り出した。たしかに、正しい。それは正しい判断だとは思うが……困ったぞ。なんて言えばいいんだろう?なゆら達のコトを……


「ういっすぅ~~~!ワッチは不思議の魔少女☆なゆらだにょ!ヨロシクっすぅ~~~う」


 そんな心配はなゆらには無用だったようだ。


「え、ええと……なゆら……さん?は彦丸さんのお友達よね?」

「お友だちなんかじゃないのにゃ!フィアンセにゃのら!てか、ココでは夫婦?ふふふふふ」

「な、何言ってやがるんだよ!こんな時に!」

「にゃんら?あの誓のキッスは嘘だったにょか?おヌシ、ワッチをもて遊んだのきゃ!」

「ほら!みんな引いてるじゃないかよ!いや、違うんですよ。ただの、ただの友達です!」

「フフフ。どんな時でも変わらないのねアナタは」


 俺が大量の冷や汗をかきまくっていると沙耶華さんがいつもの微笑みをもどして言った。


「たぶん彦丸さんも、ダモン気づいているでしょ。ちょっとその子、なゆらさん?は分からないけど、これが「まじか☆らんど」のチカラによるものだと」

「「まじか☆らんど」?ゲームの?」


 計算し切れない事態に混乱していたノジコがやっと顔をあげた。


「いいえ、たぶん本当の「まじか☆らんど」のです」

「本当の?」


 今度こそは鈍感なガモも驚いたようだ。


「そうでしょう?ダモン」

「左様ですねお嬢様。おそらくは「まじか☆らんど」の魔法が作用したのだと思います。なぜこうなったのか?まではわかりかねますがね。あ、紹介が遅れました。ワタクシはダモン・ダマテスと申します」

「ええとーぜんぜんお話が見えないのですが、あ、ボクは教師をしております三上と申します」


 三上先生はダモンの方を食い入るように見ていた。なぜかメガネを外して。


「え、あ、オレ、いやワタクシは、その……ラング・ド・ミュウミュウと申します」


 今度はミュウミュウが三上先生に釘付けになったらしい。


「先生!メガネ!メガネをしてください!」


 カガリ先輩に言われて、我に返ったのかやっと先生はメガネをした。すると、ミュウミュウも正気に戻ったようだ。三上先生恐るべしだ。いろんな意味で……。


「ラング・ド・ミュウミュウ?」


 今度はなゆらがマジモードな顔になってミュウミュウを睨んでいる。


「おい、なゆら。どうしたんだよ!」

「ミュウ!ヌシこんなところでなにをしてるにゃ」

「え?えええええええええ!!!ナユウ様?」

「ミュウ!」

「な、なゆら様です?」


 なゆらが珍しくキツイ声で叫ぶとミュウミュウという女は首をすくめた。


「ミュウ!」

「はい……」

「どういうつもりにゃ。なんでここにおるにゃ」

「ええと……その……おおさ……お父様の言いつけでして……」


 なゆらに睨まれてミュウミュウはかなり動揺しているようだ。


「ワッチの監視きゃ?」

「そ、そそそそそうです!そのとーりです!」

「にゅう~~~ワッチの邪魔をしたら容赦しないにゃ」

「は、ははあ~~」


 ミュウミュウはすっかり意気消沈してしまったようだった。


「えっと……なゆ。説明してくれたりするんだよね?」

「うっ」

「うっ、じゃねーよ。そっちの方は誰でオマエとどうゆう関係なんだよ!」

「オイ!小猿!失礼だぞ!な、なゆら様に向かって」


 なぜだかミュウミュウがからんできやがった。


「こ、小猿~~?」

「ミュ!」

「は」

「ですぎたことを言うにゃ!ワッチのフィヤンセぞ」

「え!えええええええええ!!!!!」


 今度という今度はミュウミュウも困惑を隠せないようだ。この状況よりも俺がフィアンセって件のほうが驚きらしい。てか、フィアンセじゃないし。


「ヒコ。ミュウはワッチのオヤジ殿の手下にゃ。オヤジ殿はワッチのことを子供だと思って監視しようとしたにゃ。心外着回す状態にゃ」

「心外極まりない状態なのか」

「にゃ」

「じゃ、怪しい人ではないんだな」

「いや、怪しいにゃ。相当に怪しい人物にゃ。ダモンの次くらいににゃ」

「おやおや遠目で黙って盗み聞きしてれば、人聞きの悪いことをいいますね」

「盗み聞きしてる時点で悪いだろ」

「細かい御人ですな彦丸様は。それよりみなさん置いてけぼりで困っていますぞ?」


 まるで話をそらすようにみんなのほうへ手を広げた。


「さすがはダモンさん!そのとーりですよ!ヒコ君説明してください!」


 その手を三上先生が握りしめた。


「あ、先生殿。同意が得られたのは嬉しいのですが、その……この手を離していただけますかな?」

「あ、ああ!失礼しました。どうも手持ちぶたさの、ついついの癖で……」

「嘘つけ!趣味だろ!」

「な、な、なにをおっしゃいませられましたか?彦丸君!それより我々は断固として説明を要求する!あれ?なんでみなさん白いめで見るのです?ボ、ボクを!」



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