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VSギルド職員

今日は残業でした。

疲れた。

ギルドにたどり着き、ナイフと魔石ポーチ、その他の借り入れ品をを返却する。

それにしても喉が痛い。

さっきちょびヒゲのオッサンと話た時に気付いたんだけど、完全に喉がやられてる。

つか、あの叫び声を聞かれてて、しかも見られてたとか。

この街は俺を殺したいんですか、いろんな意味で。

カウンターの職員が薬草と魔石、あとちょっとした拾い物を鑑定してる間に悶々と羞恥心が呼び起こされて死にたくなっていた。

てかもぉ帰りたい。

むしろ誰もいない所に消えたい。寝たい。

そんな風に思いながら待つ。

カウンターに肘をついて半分寝かけた所で職員の鑑定が終わった。

ちなみに今回の職員は亜人の男だ。

確かネ族とか言う猫頭の亜人。俺は人種には特にこだわる気は無いが、ギルドに俺が入った時点でこの職員の前に並ぶ人はおらず、今も俺の後に続く人は居ない。どう見ても人の流れは前回のデブいおっちゃん職員よりも悪い。

全身を真っ黒の毛で覆われた獣人を眺めつつ、よくギルド職員になれたなコイツ、とか密かに思った。

「では内訳ですね、よろしいですかにゃ?」

・・・ちょっとイラッとした。

「あ、あの、よろしいですかにゃ?」

「あぁん!?」

「え、えと・・・」

めっちゃ耳がしおれてるけど、俺は騙されない。

人間ペロペロされたら終わりだ。

親しき中にも礼儀あり、コレはそれ以前の問題であり、俺に譲る必要は皆無なのである!

何が「にゃ」だ!

ふざけんなべらんめぇ!

俺は疲れたって言ってるでしょ!?

ホントこの街はどこまで俺に喧嘩売れば気が済むの?

俺がとうとポッツンオラと言う名の必殺スキルを習得しそうになった矢先、隣のカウンターの職員が亜人に2、3話かけた。

それに頷き、亜人が俺の目を見る。

「し、失礼しました。その、俺・・・私は少し滑舌が悪いらしく「にゃ」と発音しているつもりが何故か「にゃ」と発音してしまっているらしいのです。自分ではまったく意識してにゃ・・・して、おらず。その、お客様にご迷惑をおかけして誠に申し訳にゃ・・・ありません、です」

「・・・了解した」

はい。

もぉお腹いっぱいですからー。

「ゴホン。では内訳です。

まず薬草。

こちらの束が血液の付着により買い取り価格が激減しますので、よろしければご自分でご利用を。ご承知の通りご自身が使われる分には性能に変化はございませんので。

こちらの束が買い取り。状態が良いモノがいくつかございましたので、三千にゃにゃ百(3700だそうです)ゼニー。

最後にこちらの薬草は魔力草ですので1本500の1000ゼニーお支払いできますにゃ」

コイツ、殴ってもいいのかな?

とか思ったけど、本人は至って真面目に仕事してるっぽい。

俺よ、忍耐力を養う時だぜ?

そんなふうに思いながら血のついた薬草以外の売買を契約する。

「では次に魔石の買い取りですにゃ。

コチラは8級が1個ですので1000ゼニー。

あとはにゃにゃ級(なな級だ。って言うかせめてしち級って言えよオラァ!)が2個で6000ゼニーお支払い出来ます。

いかがいたしますかにゃ?」

「販売で」

突っ込み所は無視で。

よし。とにかくこれで戦場送りは免れたぞ!

心の中で喝采を上げながら売買の書類にサインを入れる。

しかしまー下手な字だよおぃ、自分で言いたくは無いけど。

てかな?

もともと字を書くのは苦手なんだけどさ?

ほら、今回は激戦に継ぐ激戦で腕も指もプルプルしちゃってるからね?

ほ、ホントはもっと上手に書けるんだから。書けるんだからね!?

そんな葛藤とともに書類を差し出した。うん、割とどうでもいいなこのくだり。

「はい。では最後にコチラの魔晶物、ゾルの外殻膜ですにゃ」

そう言って職員がカウンターの上に手の平サイズの分厚いゼリー状の物体を置いた。

魔物は魔石を格として授肉し、討伐されたり故意に魔力を抜いたりした場合、作り物の肉体は一瞬で消滅する。

しかし、稀に魔物の肉体の一部が今回のように消滅せず、この物質世界に残る事があり、それを一律に魔晶物と呼ぶ。

「コチラは百万飛んでにゃにゃ千にゃにゃ百円ににゃりますにゃ」

百・・・万?

「にゃ、ナンダッテー!?」

イライラと困惑と、コイツ絶対俺をからかってやがるな、と言う確信が俺の禁断の二本指を動かした。

亜人の鼻に俺の高速の鼻フックが決まり、同時に脳内にファンファーレが起こる。

<ムサシはスキル【二指贋空破】を習得した!>

やった!

アクティブスキル・ゲットだぜ!

・・・うん、嘘だけどな!クソがっっっっっっ!!


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