表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/27

第六話 困ったことになった

 短いです。


※かっこいい騎士様はいません。


 飛ばしても話の展開に支障はないので、かっこいい騎士様が見たい方は飛ばしてくださって構いません。


 それは突然だった。


 二度ほど窮地を救った貴族の令嬢が、何故か俺に懐いている。まあそれは良いとして。


 警吏に引き抜かれ、昼の街を巡回することになった。正直、明るい場所や衆人がいる場所は俺に向いていないと思う。

 まあそれもとりあえず良いとして。



 困ったのは令嬢のことだ。

 巡回中に笑顔で近付いてきたかと思えば、バスケットを突き出した。良い香りがする。


「サンドウィッチ、お嫌いなんですね……」


 差し出されたバスケットに困惑していると、令嬢が肩を落としながらそろそろと戻した。

 瞬間、侍女と思しき女性に鋭く睨まれる。口の動きで、「受け取れ」と言われた。


 俺も、このままの令嬢を見るのはなんだか可哀想な気がしたので、バスケットをもぎ取った。


 令嬢に縋るような目を向けられ、良心が少し痛む。


「……食べてくださるの?」


 令嬢は貴族らしく、顔立ちが上品に整っている。男としては断れないだろう。


 頷くと、アーメットヘルムがぐらりと揺らいだ。

 ──ああ、そういえば、俺には頭が無いんだった。



□■



 令嬢の背中を見送って、俺は屯所へ向かいつつ悩んでいた。


 ……これ、どうやって食べれば良いんだ?


 頭が無いから無論口も無い。つまりは胃に入れられない。


 でも、頭が無くても思考はできているし、味覚以外の五感は正常だと分かっている。だから、食事も案外気合いでいけるかもしれない。



 やるだけは、やってみよう。

 それもこれも、唯一俺を怖がらない少女のお願いの為だ。少しぐらい、頑張るのが筋だろう。



 それであの子が笑うなら、充分過ぎる報酬だ。



□■



 結論。

 できた。

 サンドウィッチは上手かった。もう一度欲しいと、今度会えたら言おうと思う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ