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7.フルタカの出撃

 これは、アオバとは違う部隊の記録。

 フルタカ……アオバの姉が旗艦を務める、フルタカ隊の記録である。


 輸送艦の中からゆっくりと姿を現す四頭の竜と、潜水する竜が一頭。

『充電率一〇〇%。蓄電器官異常なし。フルタカ。出撃可』

『演算ノイズ無し。遠距離視力、良好。赤外線視力、良好。ノカゼ。出撃可』

『機翼動作異常なし。演算同期率良好。イスズ。出撃可』

『背殻動作異常なし。導体煙幕菅装備完了。ツバキ。出撃可』

『銛爪動作異常なし。エコー動作異常なし。赤外線視力、良好。イゴウ。出撃可』


「我々の任務は殲滅である!一隻一機、一人残らず生きて帰すな!敵国に粛清を!祖国に鉄血の義を捧げよ!」

 高らかに吠ゆるフルタカ。その姿はまさしく、兵を鼓舞する士官のようであった。

 それに応えるように、ノカゼ、イスズ、ツバキは雄叫びをあげる。水中のイゴウも、沈黙のままに胸に拳を当てた。


『ノカゼ、敵情報を』

『了』

 フルタカの指示を受け、視覚情報からデータを算出し、画像ファイルで一気に転送するノカゼ。

『三時方向。魚雷接近。イスズ』

『了』

 ノカゼの指示を受け、イスズの機翼……連結および分解可能な機械の翼……がパージされ、水中に沈む。イスズの脳波で制御されたそれは海面下を一直線に走り、迫りくる魚雷に対し電磁波を放つ。

 ドッ!!と電磁波により起爆された魚雷が打ち上げる水飛沫を遠目に、隊は前進する。


『潜水艦二隻。一つはグラフィックフェイク。イゴウ』

『了』

 水中を突進するイゴウ。下肢がなく、尾びれで水を捉えるその水力はすさまじく、魚雷群をすり抜けて潜水艦に接敵する。

 エコーで艦の構造を確認したイゴウは、その船体の最も装甲が薄い部分に張り付き。その肩の銛爪……伸縮自在な、銛のような形状の鋭い爪……を打ち込んだ。その後もイゴウは七箇所に穴をあけ。隔壁も破壊して浸水を引き起こし。潜水艦を緩やかに沈没させた。


『ツバキ。導体煙幕の散布を』

『了』

 フルタカの指示を受けて、一層加速するツバキ。敵艦のミサイルを回避しつつ接近し、大腿部に装着した青灰色のパイプのピンを抜く。同時にパイプ内部から白い粉塵が噴出され、敵艦隊周辺にばら撒かれた。


「ありがとうございます。では危ないですので、みなさん離れていてくださいね」


 小さく笑うフルタカの言葉に頷き、速やかに離脱する四頭。護衛も伴わず、フルタカは敵陣に突入した。


「あなたがこの艦隊の旗艦ですね?初めまして、沈んでください」


 フルタカは一際大きな艦の艦橋に飛び乗り、尾で貫いた。同時に尾の先が展開され、強烈な電撃が放たれる。

 射程が長く直線的なアオバとは違い、フルタカの攻撃範囲は球状。半径二〇〇メートル以内なら爆沈、三〇〇メートル以内なら乗組員全員殺害。四〇〇メートル以内なら間の電気制御系全破壊という凶悪な威力を誇っている。

 この射程は空にも水面下にも及び、戦闘機はハエのごとく墜ち、魚雷は無為に炸裂した。しかもツバキが散布した粉塵は非常に通電性が高く、被害を一層拡大させた。


『電気系統全停止確認。イスズ』

『了』

 金属音を鳴らしながら機翼が変形し、巨大な二本の砲門となる。

『発射』

 行動不能となった艦を次々に焼き貫いていく熱線。的確に弾薬庫を撃ち抜くさまは、イスズ自身の演算能力の高さを示していた。


 その後、ミクマ隊、シナノ隊も合流し。友軍空母群も加わり。メイミィ第138輸送艦隊……輸送艦二十隻、駆逐艦四十隻、空母二十隻……戦闘機計六百機、アーマイェーガ三百機を含む……と潜水艦十隻は全滅したのである。

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