6.おやつの時間
これは、アオバ隊は全日艦隊移動任務のみであり、待機を命じられていた日における記録である。
【臨時補給】
そのため、この命令は全員にとって胸躍るものであった。
「やったー!今日はおやつだー!」
サクラは一際嬉しそうに言った。
特別大格納庫で、五頭がブルーシートを囲んで座る。そのブルーシートの上には、昨夜殺害された十二人の死体の残骸が載せられていた。
「朝のメンテナンスのとき、ミネカゼがいつもよりピカピカだったもんね!今日はおやつ付きかなって思ったの!」
つまり、夜間にもう一度洗浄を行った証拠。サクラはミネカゼの夜間任務後におやつが出るということを学習していた。
「おやつって、いつものタンパク質より歯ごたえがあって、美味しいですよね」
咀嚼し、骨の感触を舌で転がしながらアオバが言った。
「アオバさんは歯ごたえがある方が好きかなと思って、半殺しにしたんですよお」
十二人の死体の検分、装備の剥ぎ取りの後の加工。フブキは、死体を潰す役を担当していた。
「長い髪の毛とか、筋とかはハヤテ君が切ってくれたんですう」
「オマエが切るのヘタクソすぎて見てられなかっただけだっての」
嬉しそうなフブキに対しすげなく返すハヤテ。この二頭も先ほど洗浄され、鱗は輝いていた。
「今日のおやつは十二人分!ミネカゼすごいね、みんな殺しちゃったんだ!サクラだったら絶対何人か取り逃がしちゃうなあ」
「ワタシは能力的に向いているし、権限も与えられているからね。適材適所というものだよ」
ちゅるり、とサクラは腸をすすり。そうなのかなあ、と思いながらモグモグと嚙み潰した。
「ミネカゼみたいに静かに殺せたら、かっこいいかなあ?ねえミネカゼ、上手な殺し方教えて!サクラもおやつのお手伝いしたい!」
「それは難しいかな、マツ型の能力的に……可愛く目立つのがキミの仕事だよ、サクラ」
「んー、それもそっか。残念!」
ミネカゼが言うのなら、とサクラは諦めた。可愛いと言われて、悪い気はしなかったのである。
「せんぱいは、格納庫任務ダメなんだっけ?」
「はい、僕は不器用なので……叩きつけても電撃撃っても艦に穴が開いてしまうのです」
「わー、せんぱいらしいー」
そんな和気あいあいとしたお喋りとともに時間は過ぎて。おやつタイムは終了となった。
次のおやつはいつかな、と五頭は気長に、呑気に考えた。
ここに倫理の欠如があると指摘する者はいない。
それが、軍徒が軍徒たる理由であり、異常性であり。生物として尊重されず、兵器として恐怖されるべき所以である。




