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5.特秘隊の墓場

 これは、アオバ隊の母艦への侵入者に関する記録である。

 メイミィの特別秘密攻撃隊。空中、海中に張り巡らされたレーダーの網目をかいくぐり、艦内へ侵入、制圧を三度も実現した精鋭たち。装備は最小限に、機動力を生かした作戦行動。AIではなし得ない、臨機応変な対応能力は、地道な訓練と実戦を繰り返してきた生身の人間特有のものである。


 今回の潜入作戦の目的は、アオバ隊を収容するこの新型軍徒輸送母艦の強奪。および生体、制御装置をメイミィ本国にまで持ち帰ることであった。


 艦内のメンテナンス通路に侵入した後、軍徒一頭の格納庫内を強行すれば、制御装置室への最短ルート。迂回すればイーヴェン側に対処の時間を与えることから、このルートで突入することとなった。


 件の格納庫にいるのは、ミネカゼという駆逐艦級。撃墜能力はさほど高くない、典型的な支援型個体であり。軍徒は機体の識別は可能だが、人間の識別は不可能。そのため侵入者への対応に関して司令部の指示を受ける必要があり、すぐには動けない。我々のスピードならそのタイムラグの間に制御装置室まで突破できるはずだ、と特秘隊隊長は判断した。


 静かに壁に穴をあけ、格納庫内へ侵入する十二名。全力疾走するその足音に、眠っていたミネカゼが目を覚ました。


「慌てるな!!進め!!」


 軍徒はすぐには生身の人間を殺せない。ならば急いで逃げ切ればいいだけ、とある隊員が思った瞬間。


 彼の目の前を走っていた隊員が、ぐしゃりと踏み潰された。

 紛れもない、明確な殺意であった。

 次いで振るわれた爪に、また隊員の首はへし折られ。他の隊員も、尾で殴られ壁に撒き散らされ。翼で挽き殺された。


 ある隊員がすぐさま閃光弾を放ったが、これも効かなかった。目を最大の武器とするミネカゼは、目を奪われないための機能が与えられており。マツ型と行動する中でその機能を使用するタイミングも熟知していたのである。


 走り抜けようとする隊員たちの行く手を阻み、嚙み殺していくミネカゼを見て、最後尾の隊員は思った。


 この竜は人を殺し慣れている。


 これは単なるシュミレーションの実行ではない、おそらくは、何度も繰り返されてきた経験。ああ、我々はイーヴェンの罠に嵌められたのだ、と最後尾の隊員は理解し。一秒後に、十二体目の死体となった。




 そう、これは最初から罠。あえて隙を見せるような艦内設計。唯一の突破口に見せかけた、黄泉への送り口。

 ミネカゼ型は艦内の人間の服装、骨格、顔の全てが記録されており、瞬時に所属を識別することができる。同時に、敵兵発見時における即時排除権限が与えられていた。


 これが、ミネカゼ型が軍徒の間で『門番』と畏怖される理由である。

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