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27.ケガの功名? 前編

 その日、メイミィの大部隊が接近しているという報せを受け。アオバ隊とフルタカ隊の連合部隊での迎撃が行われることとなった。これは、その一部始終の記録である。


 双方の戦力が大きい総攻撃型作戦展開。ゾンジュオからの援軍も加わり、戦場は混沌としていた。


『対軍徒用識覚阻害粒子が危険値に到達。本艦およびミネカゼの視覚索敵演算率通常より二十パーセント低下。撤退を提案』

 濃い黒い霧に、ノカゼが目を細める。特殊な化学物質で構成されたそれは、軍徒の感覚系演算を低下させる毒を帯びていた。

『了。司令部に申告……受理完了。ノカゼ、およびミネカゼは退避航路演算を。サクラは焼却剤散布を。ツバキは本艦と共に二時方向のアーマイェーガの対処。その他、各自退避準備を』

『了』

 連合部隊旗艦となったフルタカが、それぞれに速やかに指示を下していく。

 三十秒後、退避航路が確定し、あとはそれに従うのみとなったとき。不意にアオバの目にサクラの姿が映った。予定航路からの離脱を不思議に思い、アオバは首を傾げた。

「どうしたですか、サクラ?あなたはもっとあっちの……」

 その言葉を遮るようにして、サクラがアオバに抱きついた。

 その腕はどうしてか硬く、冷たく。翼からはメイミィのエンジンオイルの匂いがした。


『逃げろアオバ!!』


 ミネカゼの叫ぶ声が聞こえた瞬間。そのサクラの体が、爆ぜた。

 熱と衝撃波を至近距離で受けたアオバ。その胸部の鱗は吹き飛ばされ、肉は抉られ焼かれ。口からは血を噴いた。

 折られて露出したアオバの肋骨を見て。部隊の全員が息を止めた。泣き叫ぶようなサクラの声……本物のサクラの声を聞き、先ほどのは偽物であったのかとアオバは理解し、安堵した。

「あっ……」

 ふらり、と揚力を失い落下していくアオバ。それを海面の寸前で回収したのはフルタカである。

 後ろ足でアオバの背を掴み、やや不格好な形となるが、アオバをそのまま捨てることは許されなかった。一つは、敵軍に軍徒の生体サンプルを与えないため。もう一つは、大切な妹を見捨てたくなかったから。

『重巡洋艦級・アオバが大破。ノカゼ、ミネカゼ、母艦へのルートの再演算を』

『了』

 こうして連合部隊は、アオバの大破という痛手を負い、撤退した。

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