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26.守りたかったのは 後編

 三日後、単騎でメイミィの首都近くの大都市に突入するリュウジョウの姿があった。その頭上には、青白いヘイローが展開されていた。

 腹にためた爆弾の重みでその翼の動きは鈍く、航空機の集中砲火を浴びていたが。空を埋め尽くすほどの大軍となった眷属が、次々と敵機を破壊し都市を蹂躙していた。

 これが、リュウジョウの能力上限解放(アンロック)。眷属の制御放棄を代償にした、無差別殺戮。眷属は千切れバラバラになった状態から無軌道な分裂を繰り返し、歪な再生を経て、再び知覚した生物全てを喰い殺し。その周辺から生きとし生けるもの全てを駆逐していた。


 しかし、そんな攻撃も都市間弾道ミサイルの前には無意味であった。

「……もう、無理かな……」

 左翼が大破し、墜落したリュウジョウ。右前脚は既に消失しており、抉られた腹からは、血とも石油とも分からない黒い液体と内臓が漏れていた。広がる血だまりから炎が広がり、薄紅色の羽毛は赤々と燃えあがっていた。


「リュウジョウは……リュウジョウは、お国を……未来を、守れたかな……?」


 十秒後、リュウジョウの体内の爆弾に引火し、大爆発が発生。リュウジョウは死亡した。




 リュウジョウの特攻作戦終了後、激しい攻略戦が繰り広げられ。最終的にイーヴェン側が都市を制圧という形で決着した。

 

 ユウバリは残存兵力掃討のため、焦土となった都市内を巡回していた。

「……お前さんひとりが死んだところで、お国の未来なんてのは変わりませんよ」

 焼け焦げたビル群を見下ろしながら、ユウバリは冷たく言った。

 その言葉は奇しくも、リュウジョウの最期の言葉に対応していた。


「お前さんが捨て身で戦ったら、その戦績が評価されたら……お前さんの姉さんも巻き添えになるかもしれないなんてのは、考えなかったんですか」

 リュウジョウは最期まで、お国の未来と、自分が守りたい未来は同じ場所にあると信じていた。しかし、その両者が異なる場所にあることに、ユウバリは徐々に気づき始めていた。


「……どうしてお前さんの言う未来に、お前さんが含まれていなかったのですかねえ」

 咎める者も慰める者もいないのをいいことに、ユウバリはそんな陰口をたたいた。

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