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追加記録 ヤマト型の二頭

 これはシナノ……戦艦級、ヤマト型三番艦として製造する予定であったが、デバイス型の最上位艦として急遽空母へと変更になった特異な個体である……を旗艦とする、シナノ隊での記録である。

 

 深く、深く沈んだ水底でシナノが口を開く。吐き出されたのは、折りたたまれた大量のデバイス群であった。 

 そう、ヤマト型の潜水ステルス設計のボディを活かした武器輸送。その発想からシナノは生まれたのである。

『武装展開』

 機角……デバイス制御用のアンテナである……を立てると共に、デバイス群がゆらりと浮かび、武器の形をとった。

『機角連動異常なし。演算同期率良好。シナノ。出撃可』

 暗闇の中、機械仕掛けの翼を背負う大蛇。そんな歪な空母級こそが、シナノであった。


【索敵】

『了』

 暗がりを駆け抜けるデバイス。エコーによる地形把握、潮流感知。集められた膨大なデータから、敵機動部隊の陣形を読み、射抜くべき的を絞り込む。

『照準経路確定。座標情報転送』

 シナノからデータを受け取り、鎌首をもたげるもう一つの影。……彼こそがヤマト型二番艦・ムサシであった。

『了。演算同期開始』

 シナノのデバイスの目を借りて、照準を合わせるムサシ。弦を引き絞るような緊張感。その体温に熱され、きらりと水泡が瞬いた後。

『発射』

 戦場を貫く一条の光。神の怒りとすら評される一撃。ただ真っ直ぐに全てを焼き尽くす矢。


 ムサシの砲撃に、大型空母がまとめて蒸発し。陣形が崩れたところに追い打ちをかけるように、シナノが洋上へ姿を現した。

『干渉』

 空を舞うデバイスが放つ強力な電磁波に通信系が阻害され。信号を失った無人機は力なく海面へと墜落していく。

『発射』

 無数のデバイス群が並列演算処理で束ねられ。嵐のような、あるいは一つの生き物のような荒々しさと精密さをもって砲火を放つ。水上艦隊、フルタカ隊、ミクマ隊とも連携したその制御能力はデバイス型の中でも最上位に位置していた。

 

 こうしてまた、連合部隊は敵機動部隊壊滅という大戦果をあげて作戦を終了したのだった。

 


 以下は、作戦終了後におけるシナノとムサシの会話である。

「あ、あの、兄様」

「……」

「きょ、今日もすごい砲撃だったね」

「……そうか」

「あっ、えっと、わ、わたしも頑張るね……!」

「……そうか」

 二十秒で会話は終了した。恐るべきディスコミュニケーションにシナノは精神的ダメージを負った。

 ヤマト型の二頭の関係性はぎこちなく、ずっとこんな調子であった。

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