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チートな真眼の少年は、異世界を満喫する! ~金髪幼女を助けたら、未亡人のママさん冒険者とも仲良くなりました♪~  作者: 月ノ宮マクラ


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096・大扉の奥へ

「2人とも、時と場所を考えなさい」


 戻ってきたレイアさんに、即、叱られた。


 ええ、そうです、クレフィーンお母様と抱き合っている姿を見られました。


 あ~、恥ずかしっ。


 お母様も少々赤面。


 アルタミナさんは「本当、仲いいね」と笑っている。


 金髪のお母様は、


「ですが、その、シンイチ君が生きていることを確かめたくて……」


「見ればわかるでしょう」


「う……」


「フィン、貴方の方が年上なんだから、しっかりなさい。『番人』を倒したからといって、まだ周囲の安全が確認された訳ではないのよ?」


「……はい、すみません」


 しょぼん。


 落ち込むお母様。


(……少し可愛い)


 僕、少しサドっ気あるのかしら?


 でも、ちょっと可哀想な姿って、なんか守ってあげたくなるような感じがしていいよね、うんうん。


 内心、頷く。


 と、


 ギロッ


(うっ)


 心の中を読まれたように、赤毛の耳の長い美人さんに睨まれた。


 怜悧な眼差しで、


「シンイチも」


「?」


「年下とは言え、少しは抵抗しなさい。何されるがままになってるの」


「え……」


「ちゃんと断る、いい?」


「…………」


「シンイチ?」


「いや、無理です」


 僕は、はっきり拒否。


 彼女は、


「は?」


 と、口を開いた。


 クレフィーンさん、アルタミナさんの2人も僕を見る。


 僕は、素直に言う。


「逆に聞きますが、こんな美人で優しくて素敵なお姉さんに抱き着かれて、嫌だなんて思う人、いると思いますか?」


「…………」


「むしろ、歓迎」


 パッ


 僕、両手を広げます。


 うん、


(ウェルカム)


 唖然としているレイアさんに、重ねて言う。


「だから、引き離すのは無理、人の摂理に反してます。ええ、断れません」


「…………」


「…………」


「……そう」


 彼女は頭痛がするのか、こめかみを押さえている。


 その後ろで、


「あはははは! さ、さすが、シンイチ君だね……うふっ、あははは!」


 と、黒髪の美女は大笑いだ。


 え、何?


 そんな可笑しいです?


 僕はキョトン。


 そして、金髪のお母様は自分の頬を両手で押さえながら、「や、優しくて素敵なお姉さん……」と呟いている。


(???)


 3人とも、どうしたの?


 不思議な反応に、


 コテン


 と、僕は首をかしげてしまった。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 コホン


 真面目な話に戻しましょう。


 負傷から回復した僕を休ませる間、アルタミナさん、レイアさんの2人は周囲を確認していた。


 で、


「広間の奥に、大扉があったよ」


 とのこと。


(おお)


 僕は頷き、


「番人がいて、先に進めなかったっていう扉ですね」


「多分ね」


 黒髪美人さんも頷く。


 クレフィーンお母様は、


「先に行きますか?」


 と、聞いた。


 ふむ?


 僕らの仕事は『番人の討伐』だ。


 それをした以上、これより先に進む理由はないんだけど……3人の表情は違う。


 黒獅子公と呼ばれる女冒険者は、


「うん、行くよ」


 と、答えた。


「番人を倒しても、中央制御システムは生きてるみたいだしね。きっと魔法人形ゴーレムの製造も止まっていない」


「はい」


「最悪、番人が再製造されても困るし」


「…………」


「そうでなくても、調査員が困るからね。できれば、中央制御システムを、最低でも製造機までは壊しておきたいな」


 と、笑った。


 うむ、王子様スマイル。


(本当、似合うね)


 そして、本当、良い人だよ。


 僕は言う。


「アフターサービスですね」


「お? うん、そうだね」


 彼女は尻尾を揺らし、楽しげに頷く。


 クレフィーンさんは優しく微笑み、レイアさんはため息をこぼす。


 赤毛の髪を払い、


「仕方ないわね」


「レイア」


「消耗してるんだから、魔力ポーション、使っておきなさいよ、アル? ――シンイチもね」


「うん、わかってるよ」


「あ、はい」


 僕も頷く。


 アルタミナさんと2人、ゴクゴク……。


 しかし、


(僕、2本目……400万円分のドリンクだぞ)


 う~む、いいのかしら?


 これまで全員で4本使用……計800万円である。


(いやぁ、大金だ)


 まぁ、5000万円の報酬だけど。


 でも、事前に魔法石板を買ったり、道具類を準備したり、色々支出もあるからね。


 赤字は論外。


 なるべく、黒字も減らないよう節約したい。


(ええ、貧乏性ですよ)


 ま、安全を買うつもりで、飲むけどね~。


 ゴクン


 ふぅ、ご馳走様。


 アルタミナさんも飲み切り、


「よし、じゃあ行こうか」


 と、笑って号令をかけた。

 

 僕らも頷く。


 コツ コツ


 そうして僕ら4人は、ドーム型の真っ暗な空間を歩いていく。


 2~3分で端に到着。


 目の前には、大きな扉がある。


(おお……でかっ)


 格納扉?


 半円を描く扇形で、半径は約5メートル。


 番人だったあの多脚型ゴーレムも通れる大きさで、扉の中央に縦に切れ目が入っている。


 切れ目は、ピタッとしてる。


(ん……)


 指、入らない。


 と、


 ヒィン


 真眼が発動。




【管理扉】


・奥の管理区画に通じる扉。


・遺跡のゴーレムが発する信号に反応し、自動で開閉する。


・手動でも強引に開けられる。


・施錠、罠はなし。




(へ~?)


 僕は、3人にも伝える。


 アルタミナさんは扉を見上げ、


「力尽くで、強引に開けられるんだね?」


「はい」


 確認に、僕は頷く。


 と、彼女は戦斧を構え、


 ガン ガン


 切れ目を叩き、隙間を作る……おお、確かに強引。


 指を入れ、


「ほら、シンイチ君も」


「あ、はい」


 僕と3人の女冒険者は、左右に分かれ扉を横に引っ張った。


 ギッ


(お……)


 ギギギ……


 重そうな扉が少しずつ動いていく。


 す、凄ぉ。


 重機でもないと無理かと思ったけど、さすが、身体強化魔法が効いてるぞ!


 自分でもびっくりだよ。


 やがて、


 ゴゴン


 人1人が通れる幅が開く。


 ん……勝手に閉まったりはしないみたい。


 でも、慎重なレイアさんは、近くの倒れた柱の瓦礫を隙間に挟み込んでいた。


 扉を潜る。


 潜る時に見たら、厚さは50センチ近くあった。


(……分厚い)


 本当、よく開けられたね。


 通り抜けた先は、真っ暗な通路が正面に伸びていた。


 と、黒髪の美女が僕を見る。


「この先は、未探索、未確認の場所だ。道もわからないし、罠も未解除だから慎重にね」


「あ、はい」


 僕は頷き、


(でも)


 と思い、言う。


「じゃあ、秘術の目で、先に見ますね」


「…………」


「…………」


「…………」


 3人の女冒険者は、目を丸くして僕を見つめた。


 えっと、


(お願い、真眼君)


 ヒィン


 目に集中し、真眼を発動する。




【7階層の進路表示】


・同階層内に、ゴーレム製造室、中央制御システム管理室が存在している。


・それぞれ、距離、約40メートルと約80メートル。


・分岐ごとに、進路を表示し案内する。


・罠があれば、それも表示。




 うん、


(ありがとう、真眼君)


 僕は笑う。

 

 3人を振り返って、


「うん、罠も道もわかりそうです。じゃあ、行きましょう」


「…………」


「…………」


「…………」


 3人は顔を見合わせる。


 黒髪の獣人さんと金髪のお母様は苦笑し、赤毛のエルフさんはため息をこぼす。


 レイアさんは、


「本当、嫌になるわ」


「ありがたいじゃないか」


「そうね。世の中の冒険者がしている苦労が馬鹿らしくなるほど、ありがたいわね」


「まぁ、ね」


 不機嫌そうな彼女に、アルタミナさんは苦笑い。


 え?


(えっと……?)


 何か、まずい?


 戸惑う僕に、


「いえ、いいんですよ」


「クレフィーンさん……」


「ふふっ、シンイチ君の秘術の目は凄いですね。本当に助かります」


「あ、はい」


 僕は頷き、


「役に立てたなら、嬉しいです!」


 と、笑った。


 僕を見つめ、金髪のお母様は眩しそうに微笑む。


 レイアさんは軽く肩を竦め、その肩を、アルタミナさんの白い手がポンと叩いた。


(じゃあ)


 行きますか。


 僕は前方を指差して、


「こっちです」


「うん」


「はい」


「もう……道案内は任せたわ」


 3人も頷く。


 そして僕らは、通路の先へと進んでいった。

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― 新着の感想 ―
まぁリスクが大幅に減るとはいえ、こんなの見せられたら…ねぇ。
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