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チートな真眼の少年は、異世界を満喫する! ~金髪幼女を助けたら、未亡人のママさん冒険者とも仲良くなりました♪~  作者: 月ノ宮マクラ


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083・省魔力、土霊の岩槍!(魔力10分の1)

 魔法の炎の威力を加減する。


 つまり、


(それって、消費魔力も抑えられるんじゃないか?)


 と、僕は推測した。


 僕の全魔力量が100として。


 現在の消費魔力は、強身の魔印が7、癒しの風が12、王霊の盾が30×2回で、計79魔力。


 残り魔力量は21。


 で、もし土霊の岩槍を使うなら、必要な魔力は51。


 本来なら使えない。


 あるいは、マイナス30で、


(――即、死亡だね)


 けど、もし加減できたら?


 威力を押さえ、消費する魔力量を21未満に調整できたら……?



 ――土霊の岩槍を使えるかもしれない。



 その可能性を思いついたのだ。


 できるか?


 できないか?


(真眼君、どうでしょう?)


 と、頭の中で聞いてみると、


 ヒィン




【魔力の調整】


・可能。


・威力を抑え、発動するイメージを行う。


・通常より、強く念じよ。




(!)


 やはり……!


 強く念じてやれば、できるのか。


「よし」


 僕は頷く。


 大人な美女2人を振り返り、聞く。


「あの、あっちの弓用の的に魔法を撃ってもいいですか?」


「え? ええ」


「問題ないわ」


 頷く2人。


 クレフィーンさんが心配そうに、


「ですが、魔力量は大丈夫ですか? あまり無理をすると……」


「多分、大丈夫です」


「多分……」


「それを試したいんです。今しかないんで」


「…………」


「ですよね?」


 僕は笑う。


 クレフィーンさんは、赤毛の友人を見る。


 彼女は冷静に僕を見つめ、


「そうね」


 と、同意した。


 金髪のお母様を見て、


「あの子が何をしたいのかわからないけれど、私たちもいるわ、フィン。何かあっても対処はできるはずよ」


「そう……ですね」


 渋々、頷くお母様。


 自分に言い聞かせているみたい。


(う~ん、過保護)


 僕は苦笑。


 娘さんの方は、よくわからずに困惑した表情だ。


 ふと目が合い、


 ニコッ


 僕は笑いかけた。


 金髪の幼女は少し赤くなり、


「あ……う……そ、その、がんばって、お兄様」


「うん、がんばる。ありがとう」


 僕は頷いた。


 天使の応援。


(勇気が出るね)


 僕は、稽古場の石畳の上を歩き、弓用の的の正面20メートルほどの位置に立つ。


 同心円が描かれた、木製の的だ。


 狙うは、赤く塗られた中心部分。


(すぅ……はぁ……)


 僕は、深呼吸。


 右手を伸ばし、その手首を支えるように左手を添える。


 手のひらは、的の方へ。


 集中。


 パアッ


 茶色く光る文字列――魔法陣が右手の甲に輝いていく。


 イメージしろ。


 強く。


 本来は、1メートルほどの黒曜石みたいな岩の槍。


 だけど、違う。


(もっと小さく、細く……!)


 念じる。


 昔、漫画で見た細長い手裏剣みたいな、硬く、鋭く尖った岩の塊を……。


 ジ……ッ


 手の先の空中に、文字が浮かぶ。


 文字は列となり、形を作る。


 長さ10センチほど、黒曜石のように輝くミニチュアみたいな岩の槍に変化していく。


 ジジッ


 力が溜まる。


 それを感じる。


 このまま、


(――発射)


 僕は、強く念じた。


 ドッ


 発射音はなく、衝撃波だけが空気を震わせた。


 本来ほどの反動はなく、


 バキィン


 けれど、命中した弓用の的は、ど真ん中を射抜かれ、木製の板はそのままバリンと2つに割れた。


 的の奥にあった土の盛り上がり。


 そこに、小さな穴がある。


 僕の放った小型の岩槍は、その土の中に突き刺さり、魔力が解けて消滅したのだろう。


 全てを見届け、


「……よっし!」


 ガッ


 僕は喜び、拳を握る。


 やった、やったぞ。


(威力を加減できた……! 調整できたんだ!)


 多分、小さなこと。


 でも、今後の応用力を考えたら、僕にとっては大きなことだ。


 美女2人も感心した顔だった。


 目を丸くしながら、


「まぁ……」


「へぇ……やるじゃない」


 と、呟く。


(へへ……)


 僕は得意げに笑い、


 クラッ


「……う?」


 眩暈がして、少しよろけた。


 クレフィーンさんが気づき、長い金髪をなびかせながら駆けてくる。


 慌てて僕を支え、


「シ、シンイチ君!?」


「あ、大丈夫です」


 僕は息を吐いた。


 そのまま、自分の右手を見る。


 ヒィン




【桐山真一】


・魔力の消耗状態、中度。


・全魔力量の約8割を消耗している。残存魔力、16/100。


・命の別状なし。




(ああ、うん)


 だよね……?


 正直、そうだと思いました。


 身体、だるぅい。


 寝不足と酸欠と疲労状態が重なってる感じです。


(ま、命に別状ないならいいけどね)


 それより、古代魔法の消費魔力を『5』に抑えられたのが嬉しい。


 約10分の1。


 でも、威力は見ての通り。


 でかい1発より、あの威力を10発の方が有効な場面も多そうだ。


 更に抑えて、散弾みたいにしてもいい。


(うん!)


 夢が膨らむぞ。


 僕を支えるクレフィーンさんは、僕の表情に何だか困ったような表情をしている。


 でも、僕はニマニマだ。


 と、ファナちゃんが遠慮がちに、


「お兄様……よかった?」


 と聞く。


 僕は頷き、


「うん、有意義なお試しだったよ。ぶいっ!」


 と、右手の2本指を立てる。


 幼女は目を丸くし、なぜか「ぶ、ぶい……」と彼女も小さな指を2本、こちらに立ててくれた。


(あら、可愛い♪)


 僕らの様子に、クレフィーンさんは苦笑し、レイアさんは肩を竦める。


 ま、ともあれ。


 本日のお試しは、これにて終了。


 後片づけをして、解散です。


 稽古場をあとにすると、クレフィーンさん、ファナちゃんと彼女たちの部屋で今日のことを話したり、お茶や菓子を食べたりして楽しく過ごしました。


 レイアさんも1人、のんびり過ごしたようで。


 やがて夕方、


「ただいまぁ」


 と、アルタミナさんが帰宅。


 食堂で皆と一緒に食べた夕食の席で、責任者の局長さんと話した内容を聞く。


 局長さんからは激励や期待を語られ、とりあえず、明日以降の予定に特に変更はないと確認が取れたらしい。


 あとは、雑談タイム。


 その際、今日の話をすると、


「へぇ、面白そうなことしてたんだね? 私も参加したかったなぁ」


 と、残念そうに言われた。


(……参加)


 アルタミナさんの古代魔法の凄まじい攻撃力は、巨大な竜にも致命傷に近い深手を負わせてる。


 お、王霊の盾で耐えられたかしら?


 ドキドキ


 想像したら、脈拍が早くなってしまったよ。


 そんな感じで食事も終わり。


 自室に戻り、明日に備えて早めの就寝。


 夜も更け、やがて、東の空に朝日が昇る。


 チチチ……ッ


(ん……)


 小鳥の声と窓から差し込む太陽の光で、僕は起床する。


 ついに、当日だ。


 冒険者用の装備を身に着け、


「よしっ」


 パン


 頬を叩いて、気合を入れる。



 ――古代遺跡の門番討伐。



 僕と3人の女冒険者は、その遺跡のあるグレイトン渓谷に向け、早朝の王都アークロッドを出発したんだ。

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― 新着の感想 ―
調整に成功したし、これを上手に使い分ければ・・・ですな。さぁ、次回からはいよいよクエストに参加・・・どうなる?
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