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チートな真眼の少年は、異世界を満喫する! ~金髪幼女を助けたら、未亡人のママさん冒険者とも仲良くなりました♪~  作者: 月ノ宮マクラ


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067・最強のギルド長様

 ――冒険者ギルド3階に到着した。



 目の前には、奥に続く廊下が延び、その入り口に受付嬢のいる受付と警備員2人が立っている。


 僕らは受付へ。


 黒髪の美女が「やあ」と声をかける。


 受付嬢は立ち上がり、一礼。


「お疲れ様です、アルタミナ様。本日はどのようなご用件でしょうか?」


(おお……)


 名乗らなくてもご存じ。


 さすが、黒獅子公です。


 黒獅子公の美女は、王子様スマイルで応じる。


「ギルド長に話があってね。今、大丈夫かな? 忙しそうなら待つけれど……」


「いえ」


 彼女は、首を振る。


「本日の来客予定は午後からですので、今の時間ならば問題ないと思います。連絡しておきますので、このままお進みください」


「そう? ありがとう」


 キラッ


 白い歯を見せて笑う。


 受付嬢さんの表情は変わらず、でも、頬がかすかに赤く染まる。


(うむ、王子……)


 僕らは、廊下へ。


 警備員さんたちは左右に別れ、道を開けてくれる。


(あ、ども~)


 僕は会釈。


 通り抜け様に見れば、受付嬢さんは手元の機械の鍵盤をカチカチ叩いている。


 ギルド長に連絡してるのかな?


 通信装置もあると思うと、異世界技術も本当、侮れないわ……。


 そのまま、4人で奥へ進む。


 ……長い廊下。


 左右には何ヶ所か出入り口があり、その室内では何十人もの職員が仕事をしている様子。


 それが何部屋も。


 多分、仕事内容によって各部署ごとに分かれてるのかな。


 しばらく進むと、また警備員がいる。


 黒獅子公がニコッと微笑む。


 彼らは表情を変えず、


「この先はギルド長室になります。こちらで武装の解除をお願いします」


「はいはい」


 頷くアルタミナさん。


 彼女は、僕らを振り返る。


「ってことで、いいね?」


「あ、うん」


「はい」


「ええ。……毎度、面倒だけど」


 最後のレイアさんの一言に、黒髪の美女は苦笑する。


 ともあれ、全員、装備を外す。


 黒獅子公の戦斧、赤羽妖精の大弓と2本の短剣、雪火剣聖の両刃剣――僕も新品の短剣を預けた。


 その間に、女性ギルド職員が1人、やって来る。


 眼鏡の似合うお姉さんだ。


 ヒィン



【ギルド長の秘書】



 と、真眼情報。


(なるほど)


 彼女は、こちらに一礼。


「ようこそお越しくださいました、黒獅子公。奥でギルド長がお待ちです。ご案内しますので、どうぞこちらへ」


「ありがとう」


 頷くアルタミナさん。


 秘書さんに案内され、僕らは奥に進む。


 しばらく進むと重厚そうな扉が現れ、秘書さんが軽く表面を叩く。


 コンコン


「ギルド長、黒獅子公が参られました」


 と、中に声をかける。



「――ああ、入れ」



 声量は大きくはないけれど、よく通る男の人の声が返事をした。


 秘書さんは、


 ガチャッ


 扉を開け、押さえたまま頭を下げる。


「どうぞ」


「うん、ありがとう」


 アルタミナさんが礼を言い、先頭に立って室内に入る。


 僕らも続く。


 秘書さんは最後に入室し、扉を閉める。


(へぇ……)


 室内は、社長室みたいな感じだ。


 来客用のソファーと机が手前にあり、奥に仕事用のデスクと豪華な椅子。


 その後ろは全面ガラスの壁であり、王都アークロッドを見下ろす景色と遠くに真っ白な王城が見えている。


 他にも、本棚や観葉植物。


 あと、白骨化した竜の頭部が壁に飾られていた。


(でっかい)


 先日、僕ら4人が倒した『深緑の大角竜』の頭部より、もう1回り、いや、2回り大きいサイズだった。


 やばい、格好いい。


 そして、デスク奥の豪華な椅子に、1人の男性が座っている。


 あの人が、


(……ギルド長?)


 何千人もいる王国の冒険者を管理する『冒険者ギルド』の1番偉い人になるのかな。


 50代ぐらいの銀髪のおじ様だ。


 品の良い衣装に身を包んでいるけど、見えている二の腕は筋骨隆々。


 ムキムキマッチョだ。


 顔立ちは端正で威厳があり、お髭が似合う。


 緑色の瞳は、眼光が鋭い。


 見た目、落ち着いた雰囲気に見えるけれど、静かで重い圧みたいなものを感じさせる。


(……むぅ)


 少し怖い。


 荒事とは関係ないギルド職員のはずなのに、なぜ……?


 何なのだろう、この迫力は?


 と、その時、


 ヒィン


(ん……?)


 真眼が発動する。




【グレイシャン・ダーレック】


・人間、55歳、男。


・アークレイン王国の冒険者ギルドを統括する代表ギルド長。


・5年前まで現役の冒険者だった。


・元は煌金級であり、異名は『覇拳王君』。アルタミナが煌金級になると同時に引退した、言わば、『黒獅子公』の先代の煌金級である。


・右足に古傷があり、動きが悪い。


・戦闘力、650。




(ぶっ!?)


 元煌金級!?


 アルタミナさんの先代?


 しかも、戦闘力650だと……?


(これまで出会ってきた人の中で、1番高い数値じゃん……)


 でも、足悪いんでしょ?


 え……元気な時は、どれだけだったの?


 マジで、人類最強か?


 ドキドキ


 僕は少し茫然としながら、目の前の大柄なギルド長の姿を見つめてしまった。



 ◇◇◇◇◇◇◇



「やぁ、ギルド長」


 アルタミナさんが片手をあげ、気楽に挨拶する。 


 ギルド長は、短く嘆息。


 眉間を指で揉みながら、


「ああ、アル。朝早くから何の用だ? これでも俺は忙しい身なんだがね」


 と、不満そうに言う。


 後輩の『煌金級の女冒険者』は苦笑する。


 彼女は、


「用件は2つだけ。すぐ済むよ」


「2つもか?」


 その言葉に、彼は黒髪の美女を見る。


 そして、後輩と一緒にいるのが相方のエルフだけではないことに気づき、少し驚いた表情になる。


 特に、僕の隣の金髪の美女に、


「君は……まさか、クレフィーン君か?」


 と、茫然と呟く。


 長い髪を揺らしながら、お母様は微笑み、頷く。


「――はい。お久しぶりですね、グレイシャンさん。ギルド長になられたと噂では聞いておりました」


「おお、そうか……。いや、懐かしいな!」


「ええ、本当に」


「君に会うのは、10年ぶりか? 元気そうで何よりだ」


「ええ、おかげ様で。最後にお会いした時には、主人も一緒に引退のご挨拶をした時でしたね」


「そうか。……ああ、ご主人のことは聞いているよ。お悔やみを申し上げる」


「……はい」


 金髪の未亡人は、青い瞳を伏せる。


 銀髪のギルド長は少しだけ痛ましそうな眼差しで、儚げなその姿を見つめた。


 1度、目を閉じ、開く。


 気を取り直したように、


「しかし、どうして王都に? 籍を残していても、事実上、君は引退したと聞いていたが……?」


 と、聞いた。


 クレフィーンお母様も視線をあげる。


「はい、実は……」


 と、友人たちを見る。


 2人の友人は微笑み、黒髪の美女の方が答える。


「実は、フィン、活動再開するんだよ」


「何っ?」


「もちろん単発じゃなくて、7年ぶりに冒険者としての本格復帰だよ。その報告と挨拶に来たのが、ここに来た1つ目の用件さ」


 ポン


 黒髪の美女は、お母様の肩に右手を置く。


「……本当、なのか?」


 ギルド長は、目を見開いている。


 クレフィーンお母様は「はい」と確かに頷いた。


 彼は茫然と見つめ、


「そうか……。ははっ、そうか、『雪火剣聖』の復活か」


「…………」


「ああ、これは楽しみだ!」


 バン


 彼は両手でデスクを叩き、椅子から立ち上がる。


(わっ)


 背、高い。


 2メートル以上ありそうな身長だ。


 巨漢のギルド長は大股でデスクを回り込み、僕らの方へとやって来る。


 クレフィーンさんの前で止まり、


 ギュッ


 大きな両手で、彼女のたおやかな白い手を握る。


 上下に揺らし、


「多少のブランクがあっても、君ならすぐに全盛期の実力を取り戻せる。ああ、よく決断してくれた。今後の活躍を俺も期待しているぞ!」


 と、屈託なく笑う。


 何だろう?


 体格は大きく、厳つい顔なのに、笑うと子供みたいな印象だ。


(……うん)


 そういう人柄かな?


 美女3人も信頼している風だし、悪い人じゃないのだろう。


 突然の握手にクレフィーンさんも驚いていたけれど、すぐに「はい、ありがとうございます」と穏やかに微笑んでいた。


 和やかな雰囲気。


 お母様の友人2人も、微笑んでいる。


(うんうん)


 僕もほっこり。


 と、その時、ギルド長の視線が僕を向いた。


(お――)


 ドキッ


 目が合っただけだけど、強い圧力が。


 いや、特に何か威圧された訳でもないんだけど、物凄い目力と生命力に圧倒された感じ。


 ジロジロ


 彼は、僕を上下に見る。


 観察されてる?


 怪訝そうに眉を顰め、


「――で? アル、この少年は何だ? 風貌から大陸外の人間に見えるが……」


 と、後輩に聞く。


 アルタミナさんは頷く。


「彼は、大陸の東にある日の出諸島のニホン国出身の旅人で、名前はシンイチ・トウヤマ君だよ」


「ほう、日の出諸島か」


「うん。でね、彼、私のクランに入れるから」


「…………。は?」


 銀髪のギルド長は、唖然とした。


 黒髪の獣人さんは、上機嫌に尻尾を左右に揺らしながら、ニコッと笑う。


 背中から、僕の両肩に手を置き、


「月輪の花の4人目、私たちの新しい仲間だよ」


「…………」


「でね? 彼のクラン加入手続きをして欲しいっていうのが、今回の2つ目の用件なんだ」


 パチッ


 と、片目を瞑る。


 可愛らしく、お茶目な仕草。


 金髪のお母様は困ったように笑い、赤毛のエルフさんは肩を竦める。


 そして、ギルド長はまだ茫然。


 呆けたように、口を半開きにしたままだ。


(あはは……)


 僕は愛想笑いで、


 ペコッ


 と、軽く会釈。


 それを見て、銀髪のギルド長は我に返ったように緑色の目をパチパチ瞬く。


 すぐに表情を険しくして、



「はぁああ!? お前、何言ってるかわかってんのか!? おい、もっと詳しく説明しやがれ、この馬鹿猫が!」



 と、怒鳴ったんだ。

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ギルド長は何に対して怒ったんだ?
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