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チートな真眼の少年は、異世界を満喫する! ~金髪幼女を助けたら、未亡人のママさん冒険者とも仲良くなりました♪~  作者: 月ノ宮マクラ


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058・旅路で視えたもの

 竜車は王都を目指し、西へ、西へと進んでいく。


 距離は、クレタから約400キロあるらしい。


(遠い~)


 当たり前だけど、1日で着く訳もなく、旅の道中は野営も行った。


 一般的には、夜は宿場村などに泊まる。


 でも、僕らの竜車は寝台付きなので、日が暮れても午後9時ぐらいまで進めて、適当な場所で野営できるのだ。


 夜間の見張りは、御者と竜が1組ずつ、出発の朝4時まで交代でしてくれる。


 その間、僕らは寝台でグッスリだ。


 ベッドに横になりながら、窓から見える赤、青、白の3色の月を眺めて、


(贅沢な時間だなぁ)


 なんて、僕は思ったり。


 しかも同室には、3人の美女と幼女も眠っている。


 寝息が聞こえて、少しドキドキしたのは内緒だぞ……?


 そして、次の朝は、



「――シンイチ君、おはようございます。もう、朝ですよ?」



 と、お母様に優しく起こしてもらえるんだ。


 うん、最高……。


 寝起きに見る美しい金髪の美女の微笑みは、もう、このまま永眠したくなるぐらい神々しかった。


(くぅ……っ)


 あと3日間だけの幸せと思うと、切ない……!


 ともあれ、そうして旅は続く。


 時間の経過と共に、周囲の景色も変化した。


 広大な草原から緑豊かな山岳地へと入り、竜車は今、木々の間の坂となった街道を登っていく。


(おお、傾くぅ)


 結構な傾斜。


 竜車の移動速度も、少々落ちる。


 アルタミナさん曰く、


「クレタから王都に抜ける時の1番の難所なんだよ。でも、ここを抜けたら、あとは平坦な道だけさ」


 とのこと。


(ふ~ん?)


 その難所の山を、竜車は進む。


 途中、街道の右側の木々が開けて、崖が現れた。


 おお、高い……。


 いつの間にか、かなり標高を登ったらしい。


 視線を上げれば、大地を見下ろす形で遠くまで見渡せる。


 草原、森、大きな川、湖、荒野、遠い山々、そして、その中を細く伸びる何本かの街道……その途中には、村や町らしい場所も見える。


(へぇ、いい眺め)


 思わず見入り……おや?


 遠くに見える山、変な形をしてる。


 三日月みたい。


 しかも、連なる山々が皆、同じ形だ。


(珍しい……)


 ここからだと、まるで、その山々を巨大な丸い棒で貫いた感じに見える。


 その先には、大きな湖もあった。


 と、その時、


 ヒィン


(お……?)


 真眼が発動した。




【三日月山脈】


・500年前、女神と邪竜の戦場となった場所の1つ。


・流れ弾の1つが当たり、複数の山を貫通した結果、あのような形状に抉られてしまった。




【神涙の湖】


・流れ弾の弾着点。


・当時、その衝撃で発生したクレーターが、長い年月で水没したもの。




(…………)


 え……マジで?


 いやいや、あの山々、遠いけど、相当な規模だよ?


 本気で地形、変わってるじゃん。


 湖だって、町とか入る大きさだし。


 しかも、流れ弾って……。


(ご、500年前の女神様と邪竜の戦いって、本当にやばくな~い?)


 僕、窓から見ながら、唖然。


 あと、よく見たら、三日月山脈の周囲の空には、何か大きな生き物が飛んでいる。


 何だ……?


 ヒィン




【数種の飛竜】


・三日月山脈は、現在、飛竜の巣となっている。


・生息数、推定2000体。


・三日月山脈に残留した強大な魔素を、飛竜たちが好み、集まってしまった結果である。


・人類の接近は、非推奨。




(わお……)


 やばそうな場所だね。


 でも、怖いんだけど……なんか異世界っぽくて、正直、ちょっと浪漫も感じちゃう。


 う~ん?


(ああいう場所、他にもたくさんあるのかな?)


 この世界には……。


 三日月山脈と神涙の湖を眺めながら、何だかワクワクする僕だった。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 木々の間の山道を、竜車は行く。


 気づけば、街道は下り傾斜になり、


(お……? 難所の山も後半戦かな?)


 と、思う僕である。


 相変わらず、窓から景色を眺めていると、時々、真眼情報も表示される。




【レダの泉】


・山中の貴重な水源。


・動物がよく集まり、近隣の村の狩人の狩場でもある。




【羽音の洞窟】


・大量の蝙蝠が生息する洞窟。


・危険な生物はいないが、内部は高低差があり、滑落の危険あり。


・長さ約200メートル。




【未発見の遺跡】


・500年前の建造物。


・地中に埋もれ、屋根の一部だけが露出している。


・現在まで未発見、未探索。




(お?)


 遺跡?


 それも未発見、未探索の?


(え……貴重じゃない、それ?)


 僕は驚く。


 ……いや、待てよ?


 僕は少し考え、


(真眼君、半径10キロぐらいで、そういった遺跡って他にもあるのかな?)


 と、質問しながら、


 ジッ


 目に集中。


 数秒、間が空き、


 ヒィン


 文字が浮かぶ。



【未探索の遺跡】【未探索の遺跡】【未探索の遺跡】【未探索の遺跡】【未探索の遺跡】【未探索の遺跡】【未探索の遺跡】……




(うおお!?)


 視界の中、一気に10以上、表示されたぞ!?


 び、びびったぁ……。


 え、何?


(そんなにあるの? 未探索の遺跡って……)


 マジで~?


 う~む、


(さすが、冒険者の王国ってことか)


 と、感心する。


 そんな僕の様子に、


「シンイチ君?」


 と、クレフィーンお母様が気づき、真っ直ぐな金髪を揺らしながら小首をかしげた。


 あ……。


 彼女の声に、他の3人も僕を見る。


 お母様は、


「今、何かに驚いていたようですが、どうかされましたか?」


 と、心配そうに聞く。


(あ、え~と)


 僕は慌てて、事情を説明する。


 すると、


「まぁ……未発見の遺跡ですか?」


「はい」


 青い目を丸くするクレフィーンさんに、頷く僕。


 お母様の友人2人も、


「シンイチ君は、そんなことまでわかるのかい?」


「秘術の目、本当にとんでもないわね……」


 と、両者、驚いた顔である。


(あはは……)


 3人の反応に、僕は苦笑。


 レイアさんは、


「未発見の遺跡情報は、冒険者ギルドでも高値で取引されるわ。遺跡から古代の宝物でも出れば、それ以上の額になることもあるのよ」


「へ~?」


 そうなんだ?


(やっぱり、貴重な情報なんだね)


 僕の淡白な反応に、レイアさんは少し冷たい目である。


 こめかみを押さえ、


「はぁ……駄目ね」


「……?」


「1度、世の中の常識をきちんと教えないと、貴方、知らずに痛い目に遭いそうだわ」


 と、深いため息。


(そ、そう?)


 僕は戸惑い、他の美人2人は苦笑する。


 そしてお母様は、


「未発見の遺跡は、いつか一緒に探索してみましょう。それも冒険者として、良い経験になると思いますので」


「あ、いいですね!」


 その提案に、僕は喜ぶ。


 未知の古代遺跡の探索なんて、実に冒険者っぽいじゃないか。


 しかも、お母様と一緒。


(うん、楽しみ~♪)


 僕は満面の笑み。


 そんな僕の様子に、クレフィーンお母様も優しく微笑んでくれている。


 友人2人は苦笑する。


 そして、


「よ、よかったね、お兄様」


 と、隣の天使ちゃん。


 僕を見上げ、はにかんでいる。


(うん)


 僕も「ありがとう」と笑って、その金色の頭を撫でてあげたんだ。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 ――それから1時間後のことだ。



 竜車の車内で、僕は金髪の母娘と雑談に興じていた。


 その時、


 ヒィン


(ん?)


 突然、真眼が赤文字を表示した。




【野盗の出現】


・進路上で、野盗が待ち伏せている。


・人数は、25人。


・近接武器の戦士17人、遠距離用の弓の使い手5人、補助の近代魔法の使い手3人。


・距離、550メートル。




(え?)


 野盗……?


 僕は、ポカンとなる。


 そんな僕に、


「シンイチ君?」


「あ……」


「また、何か見えましたか?」


「あ、は、はい」


 お母様の問いに、僕は頷く。


(えらいこっちゃ!)


 と、アルタミナさん、レイアさんも含めて、慌てて、見えた情報を説明した。


 彼女たちは驚き、頷く。


「そう……野盗が」


「護衛なしの高級車両1台。きっと、カモに見えたのね」


「ですね」


 と、淡々と語っている。


(???)


 あれ?


 3人とも危機感、あまり感じてない……?


 僕の表情に、お母様が気づく。 


 彼女は微笑み、


「深緑の大角竜に比べたら、人間が20~30人集まったところで脅威ではありませんから」


「……あ」


「護衛の竜もいますし、大丈夫です」


 と、頷く。


(そっか)


 3人にとっては、25人の野盗なんて目じゃないのか。


 クレフィーンさんは少し不安そうな娘を抱きしめ、「心配いりませんよ、ファナ」と優しく髪を撫でてやる。


 その温もりに、ファナちゃんも安心した様子。


 アルタミナさんは、


 コンコン


 と、車両前部の窓を叩き、2人の御者にも事情を説明する。


 ちなみに、野盗を発見したのは僕ではなく、レイアさんの探知魔法で……と、誤魔化して話してくれた。


 2人の御者は驚いた顔。


 だけど、


「このまま進んでくれるかな」


 と、黒獅子公が微笑む。


 王国トップの冒険者の自信に満ちたお言葉だ。


 御者たちは頷き、素直に従う。


 その間に、クレフィーンさん、レイアさんは自分たちの武器、防具を装備する。


 アルタミナさんも御者への指示が終わると、自分の装備を整える。


 僕も丈夫な外套を羽織り、短剣を用意する。


 ギュッ


 柄を握る。


(…………)


 大丈夫と思うけど、少しドキドキしてきた。


 ギシッ ギシッ


 車内の会話が消え、竜車の動く音が妙に大きく響いている。


 と、その時、


 ギギィッ ガタン


 突然、竜車が急停止した。


(お……!?)


 僕は驚き、


「前方に、障害物です!」


 と、御者さんの声。


 窓から見れば……あ、街道を塞ぐように、何本もの太い木が倒れている。


 ほぼ同時に、


 ガン ガガン


「!?」


 車体の外壁や窓に、何本もの矢がぶつかり弾かれた。


 おお……?


 そして、周囲の木々や茂みの中から武装した人間が無数に飛び出し、雄叫びをあげながら車両の方へと駆けてくる。


(き、来たぁ……!)


 僕は、身を固くする。


 そして、


「よし、行くよ」


「はい」


「ええ」


 3人の美しい女冒険者は、黒獅子公の号令で、座席から一斉に立ち上がった。

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― 新着の感想 ―
未発見の遺跡は日本でも希少だよシンイチ・・・見つかってない古代の代物となれば、それだけで研究する価値がある訳だし。 そして野盗劇終イベント発生・・・事前に探知出来たから備えられたけど、乗り切れるか?…
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