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チートな真眼の少年は、異世界を満喫する! ~金髪幼女を助けたら、未亡人のママさん冒険者とも仲良くなりました♪~  作者: 月ノ宮マクラ


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057・実は凄い3人らしい……

(さて――)


 王都への旅は始まった。


 話を聞けば、王都までは順調なら4~5日で到着予定とのこと。


 先は長いね。


 なので、ここで、事前情報をおさらいしておこう。


 真眼、発動!


 ヒィン




【剣と魔法の王国アークレイン】


・アーク大陸中央南部に位置する中堅国。


・総人口、約480万人。


・自然が多く、魔物も多数生息し、同時に500年前のパルディオン魔法王国期の遺跡も多数存在する。


・そのため、荒事に強く、一獲千金を求める冒険者が多い。


・剣と魔法の腕があれば成り上がれると、各国で有名。


・辺境では亜人差別もあるが、大陸の中では比較的、平和な国。周辺国との関係も良好である。(隣国と戦争中、内戦中の国は、大陸に複数存在している)


・ただし、魔物の数が多いため、魔物災害の割合は高い。


・有名な場所、『神龍の眠りし霊峰』、『魔瘴気の満ちる黒き森』、『精霊の煌めく泉』、『暗黒大洞窟』などなど。




(ふむふむ)


 これが、今、僕がいる国か。


 要は『冒険者の王国』って感じかな?


 クレタの町が平均的な王国の町というなら、文化的にも、文明的にも、また人々の治安や雰囲気もそう悪くない国なんじゃないかと感じるよ。


 で、だ。


 この国の首都が、


「王都アークロッドって言うんだよ」


 と、黒髪の美人さん。


(へ~?)


「アークロッド、ですか」


「うん。人口は、今、50万人ぐらいだったかな。国王様の暮らすお城もあるし、教皇様のいる大神殿もあるよ。あと、王国の冒険者ギルド本部もね」


「ふむふむ?」


「ちなみに、王都在籍の冒険者は4000人」


「4000人!?」


「そ、100人に1人は冒険者って言われてるよ。凄いよね?」


「ほへぇ~」


 まさに、冒険者王国じゃん。


 僕、唖然。


(え……何?)


 じゃあ、その4000人の頂点に、この黒髪の美女さんが立ってるの?


 凄ぉ……。


 その相方のエルフさんも、


「健国王が冒険者だったらしいわね」


「え? 初代王様?」


「ええ。だから王都も、周辺に遺跡がたくさんある場所を選んで作り、結果、今も王都に冒険者が集中してるそうよ」


「そうなんだ……」


 まさに、冒険者のための国。


 2人曰く、冒険者の社会的地位は他国より高いらしく、


「私も何回も王様や教皇様とはお会いしてるよ」


 とのこと。


 さ、さすが、黒獅子公……!


 さすくろです!


 獣耳と尻尾をはやした美人さんは、尊敬の目で見る僕にニコッと笑う。


(王子様スマイル……!)


 ああ、眩しい。


 また冒険者は、魔物討伐など人々の生活にも密着している仕事なので、意外と人気職でもあるらしい。


 へ~、そうなんだ?


 だけど、


「その分、死ぬ人も多いわね」


「…………」


「ふふっ、死亡率も国内トップのお仕事よ?」


「そ、そうですか」


 レイアさんの涼やかな微笑と言葉に、僕、背筋がゾクゾクしちゃったよ。


 でも、そっかぁ。


(そんな旨い話ばかりの訳ないよね?)


 世の中、厳しいんだから。


 僕は、少し遠い目。


 その時、


 キュッ


(お?)


 冷えた心を温めるように、隣席のクレフィーンお母様の手が、僕の手を握った。


 驚き、彼女を見る。


 彼女の青い瞳は、僕を見つめ、


「シンイチ君は死にません」


「え……?」


「冒険者の仕事に慣れるまで、私が付き添い、色々と教えます。だから、貴方は私が死なせません。――もう、2度と……」


「…………」


 熱い視線に、驚く。


 友人2人も、お母様の様子に目を丸くしていた。


 僕らの反応に、彼女もハッとする。


 少し慌てて、


「あ、いえ、その……もちろん、シンイチ君が望めば、なのですが……」


 と、言葉を付け加える。


 その声も段々小さくなり、


(か、可愛い……)


 ずっと年上の大人の女性だけど、うん、しどろもどろで恥ずかしがる様子は、めっちゃ可愛いぞ。


 綺麗で可愛い女の人。


 ……もう、最強じゃん。


 ドキドキ


 僕は、胸を高鳴らせながら、


「もちろん、望みます!」


 ギュッ


 宣言と同時に、強く手を握り返す。


 クレフィーンさんは驚いた顔。


「……ぁ」


 でも、すぐに安心したような、嬉しそうな表情になる。


 僕に微笑み、


「はい。では、王都に着いたら、しばらく一緒に活動しましょう」


「うん、お願いします」


「ええ」


 綺麗な金髪を揺らし、彼女は頷く。


 やったー!


 お母様の友人2人は顔を見合わせ、苦笑する。


 そして、隣の幼女は、


「よ、よかったね、お兄様、お母様」


 と、僕らに言う。


 多分、わかってない。


 でも、僕らが嬉しそうなので、彼女も嬉しそうにはにかんでいた。


(うむ、天使の祝福!)


 僕らは、


「うん!」


「ありがとう、ファナ」


 と、小さな天使ちゃんに微笑み返した。



 ――そんな風にして旅の道中、僕らは竜車の車内では、色々な話をしながら過ごしたんだ。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 竜車の旅は続く。


 途中、大河の橋を渡ったり、宿場村の中を通り抜けたりして草原の街道を進み、やがて、太陽は中天に差し掛かる。


 うん、お昼の時間だ。


 僕は、


(お昼ご飯は、携帯食料かな)


 と、思ってたんだけど……違った。


 竜車の下部には、魔法で保冷された荷室があり、水や食料が積まれていたんだ。


 凄~い!


 街道脇の空間に停車し、昼食タイム。


 御者さんが焚火を起こし、焼いたお肉と葉物野菜をパンで挟んだサンドイッチを作ってくれた。


 モグモグ


(美味い!)


 出来立ての肉汁とソースがパン生地に絡まり、最高です!


 野菜のさっぱり感もグッド!


 牛乳もあるらしく、これも冷えてて美味しかった。


 あと、青空の下で食べる食事は、なんか美味しいよね?


 他の4人も満足そう。


 ちなみに車内にはテーブルもあるので、アルタミナさん、レイアさんの2人はそちらで食べていた。


 僕と母娘、御者のお2人だけが外。


 その時、


(ん……?)


 若い御者さんが、車内のアルタミナさんの方を見ているのに気づく。


 調理しながら、チラ見する感じ。


 はて?


 と、僕の視線に彼が気づく。


「あ……」


 ハッとし、彼は気まずそうに笑う。


 僕は首をかしげた。


 確か、アイザックさんだっけ?


 アイザックさんは、僕の視線に観念したように言う。


「いや、すみません。実は俺、黒獅子公の大ファンで……だから、つい無意識にあの人の方を見ちゃって」


「ああ」


 そうなの。


 僕は頷いた。


(でも、ファンなのか)


 僕は少し気になり、聞く。


「アルタミナさんって……そんなに人気な人なんですか?」


「えっ!?」


 彼は、目を見開いた。


(おう……)


 凄い反応。


 お前、マジか? みたいな。


 アイザックさんは言う。


「当たり前だよ! 彼女がなした数々の偉業を知らないのかい!?」


「偉業?」


「そうさ! 赤焼けの渓谷に生息し、討伐に来た30人以上の冒険者や騎士を皆殺しにした『黒天大王猿』を倒した話とか、聞いたことあるだろう?」


「えと……ないです」


「……嘘だろ?」


「ほ、本当」


「じ、じゃあ、『赤羽妖精』と2人で邪教団を壊滅させ、召喚された『魔導死霊王エルダーリッチ』を倒した事件は有名だろ? 最悪、街1つが滅んでたって奴」


「…………」


 フルフル


 僕は、首を左右に振る。


 アイザックさん、この世の終わりみたいな顔をする。


(あはは……)


 僕は苦笑し、


「あ~、その、僕、最近この町に来た外の国の人間なので……そういうの、わからなくて」


「あ、そ、そうか。なるほど、なるほどね!」


 彼は何度も頷く。


 大きく「ふ~」と息を吐き、腕で額を拭う。


 苦笑しながら、


「それなら、仕方ないか」


「…………」


「とにかく、黒獅子公はね? 500体の亜竜の群れを単騎撃破したり、未踏破の遺跡を10以上も攻略したり、この国の英雄的存在なんだよ」


「……へぇ」


 そんなに?


 僕も、彼女を見てしまう。


 車内にいる黒髪の美女は、大口を開けてサンドイッチを頬張っている。


 唇の横にソースをつけて……。


(……英雄?)


 普通の女の人っぽい。


 でも、アイザックさんは尊敬の眼差しで。


 う、う~ん?


 そんな僕に、友人のクレフィーンさんが苦笑する。


「普段はあんな風ですが、あれでもアルは王国や冒険者ギルドから何度も表彰され、1代限りの爵位も与えられているんですよ」


「え、貴族様?」


「はい。まぁ、建前だけですが」


「ひぇぇ」


 僕は驚き。


 でも、うん、


(そういう肩書き聞くと、なんか凄いと思っちゃうな)


 俗物ですみません。


 と、その時、


「あの、すみません」


 アイザックさんは、僕の横の金髪美女にも話しかける。


 緊張気味に、


「貴方は、その……『雪火剣聖』?」


 と、聞く。


 クレフィーンお母様は苦笑し、頷く。


 彼は「おお」と驚き、


「黒獅子公の昔の仲間で、最年少で『白銀級』に上り詰めた剣と魔法の申し子ですね!? もう引退したと思っていましたよ!」


 と、喜ぶ。


 お、最年少記録保持者?


 クレフィーンさんも凄いんだ?


(へ~?)


 ジロジロ


 お母様の美貌を見つめてしまう。


 僕の視線に、彼女は少し恥ずかしそうに赤くなる。


 そして、若い御者さんに、


「引退するつもりでしたが、もう1度、王都に戻ることにしたんです。――彼に説得されて」


 と答え、僕を見た。


 熱い眼差し。


 御者さんも僕を見る。


「えっと……黒獅子公とも一緒にいるし、君は何者?」


「旅人です」


「旅人?」


「はい。遠い日本国からの」


「…………」


 ニコッ


 僕は笑う。


 彼は呆気に取られ、お母様は苦笑する。


 やがて、もう1人のベテラン御者のガリントさんに「あまり無駄口叩くな」と叱られ、アイザックさんは仕事に戻った。


(あはは……)


 僕も苦笑い。


 そのあとも、食事を続ける。


(しかし……)


 僕は、一緒にいる金髪のお母様、車内にいる黒髪と赤髪の美女をチラッと見る。


 3人とも、本当に有名らしい。


 そして、僕の横では、


 モグモグ


 金髪の幼女がサンドイッチを頬張る。


 僕は、幼女に言う。


「クレフィーンお母様とお友達、本当、凄いんだねぇ」


「?」


 幼女は、キョトン。


 その様子に、何だか安心する。


 僕は笑いながら、可愛いファナちゃんの頭を撫でる。


 彼女は一瞬、猫みたいに身を竦め、


「ん……」


 でも、すぐに気持ち良さそうに青い瞳を細めたんだ。

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― 新着の感想 ―
改めて、冒険者として高い実績を持っている人達ばっかなのねこの3人・・・
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