表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チートな真眼の少年は、異世界を満喫する! ~金髪幼女を助けたら、未亡人のママさん冒険者とも仲良くなりました♪~  作者: 月ノ宮マクラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/108

053・解体された竜の部品

 朝食後、3人で冒険者ギルドを訪れた。


 ザワッ


(お?)


 煌金級、白銀級の冒険者2人の登場に、1階フロアにいた冒険者たちがざわめき、視線が集まった。


 う~ん、


(有名人だねぇ)


 改めて、再認識。


 そして、そんな2人と知り合いで一緒にいることに、僕は少し鼻が高い……ふふん!


 ……いや、こういうの情けないか。


 コホン


 僕は咳払い。


(ま、僕は自然体で……ね)


 元々、違う世界出身なんですし、正直、凄さがわかってないし、今更、態度を変えるのもね~?


 そんな僕を、


(ん?)


 なんか、2人が見てた。


 えっと、


「何?」


「ううん」


「何でもないわ」


 美女たちは笑い、


 ポン ポン


 白い手を伸ばすと、2人して僕の頭を軽く叩く。


 な、何じゃい?


 いきなりのスキンシップに僕は驚き、少々赤面してしまう。


 彼女たちはまた笑い、


「さ、行こう」


「こっちよ」


「……う、うん」


 なんだか楽しげな2人の後ろを、僕は素直について行った。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 総合受付で話しかけると、すぐに『解体室』に案内された。


 1階フロアの奥。


 僕がよく薬草の鑑定を頼む素材用受付――その奥にある金属扉の先に『解体室』はあった。


 ガシャン


 重そうな金属扉を潜る。


(へぇ……?)


 室内は広く、教室2つ分ぐらいの空間だ。


 窓はなし。


 換気口はあるみたい。


 天井は高く、滑車付きの鎖が何本も下がっている。


 床は、ゴムみたいな素材。


 血でも洗い流したのか、少し水に濡れていて、それでも染み込んだ血の汚れが残っている。


 床の端には、排水溝もあった。


 で、



 ――部屋の中央に、ド~ンと『深緑の大角竜』の部品が置かれていた。



(ほへぇ……)


 まさに部品だ。


 各部が切断され、骨、肉、内臓、外皮、角、爪、牙などに分かれている。


 圧巻の光景だ。


(…………)


 う~む?


 ほんの3日前に生きてる姿を目にしていただけに、少々、複雑な気持ちになるね。


 ま、とどめ刺したの、僕だけど……。


 あと、ちょっと生臭い。


 鑑定室には、ギルド長(40代ぐらいの髭のおじさん)と、いつも薬草鑑定でお世話になっている眼鏡のおじさんもいた。


 2人は僕ら……というか、美女たちに話しかける。


 討伐の労い、鑑定の詳細、金額の説明……そんな感じの会話が続く。


 僕は、まぁ、聞き流す。


(難しい話は、大人にお任せだ)


 それより、こんな竜の解体された状態を見る方が珍しく、興味深い。


 ジロジロ


 ふ~む、骨、太いね。


 僕の腕より大きい。


 内臓はプルプルしてて、柔らかそう。


 あとで教わったけど、火を吐くための袋とか、魔素を蓄える臓器とか、竜肝とか、希少な部位も多いらしいよ。


 外皮の鱗は、うん、硬そう。


 鱗1枚が僕の手のひらぐらいある……でかい。


 爪とか牙も鋭いね。


 あ、牙の先端、少しギザギザしてる?


(そっか)


 獲物の肉を、これで裂くんだね。


 面白いなぁ。


 そして、


「ん……?」


 解体された素材の中に1つ、半透明の石があった。


 大きさは……30センチぐらい?


 形は丸く、でも、少し凹凸がある。


 見た目は透明な紫色で美しく、だけど、内部に赤黒い染みのようなものが滲んでいて、少し不気味な印象だった。


(何だ、これ?)


 僕は、首をかしげる。


 と、その時、話が終わったのか、美女たちが戻ってくる。


 僕の様子を見て、石に気づく。


 黒髪の美女が、


「ああ、この竜の『魔力結晶石』だね」


 と、言った。


 魔力結晶石……?


 僕は、より詳しい説明を求め、彼女を見る。


 彼女は微笑み、


「魔物と呼ばれる生物は、他の野生動物に比べて、肉体に高濃度の魔素を宿してるんだ。その影響で、体内で魔素が結晶化することがあるんだよ」


「へ~?」


「結晶自体が魔力の塊だからね。色々、社会利用もできる貴重な物さ」


「なるほど」


 天然の魔力資源。


 この世界は、電力の代わりに魔力を使っているみたいで……つまり、この世界の魔法文明を支えるエネルギー資源の1つってことだ。


(う~ん)


 異世界の定番だねぇ。


 と、レイアさんも魔力結晶石を見る。


 その瞳を細め、


「竜の結晶石だから、なかなかの大きさね。けど、この結晶石、変な色しているわ」


「え?」


(変な色?)


 僕は、キョトン。


 彼女の白い指は、赤黒い染みを差す。


「この濁り」


「…………」


「本来、結晶石は綺麗な紫色に澄んでいるはずだけど……この色は、何なのかしら?」


 チラッ


 彼女は、鑑定の眼鏡おじさんを見る。


 彼は、


「わからん」


 と、答えた。


(あら?)


 わからんの?


「ただ最近は、そういう濁りのある結晶石も多く見かけるな。特に、ここ1~2年で増えた気がするが……」


「あら、そうなの」


 頷くレイアさん。


 アルタミナさんも「ふ~ん?」って顔。


 ギルド長さんは、


「魔力の抽出さえできれば、まぁ、問題はないですよ」


 と、おっしゃる。


(そっか)


 僕は頷き、もう1度、魔力結晶石を見る。


 綺麗な石だ。


 まるでアメジストの宝石みたいに美しく、でも、赤黒い部分は不気味に思えて――、


 ヒィン


(お?)


 その時、突然、真眼が発動する。




【汚染された魔力結晶石】


・結晶化した魔力の塊。


・ただし、この結晶石は『邪竜の呪詛』に汚染されている。


・通常より多くの魔力を抽出できるが、人体に吸収されると肉体、精神に悪影響を与える可能性が高い。


・浄化、推奨。




(……え?)


 汚染?


 邪竜の呪詛?


 な、何だ、それ~っ!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
邪竜の呪詛・・・次回に繋がるものが出てきましたね、その詳細や如何に?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ