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チートな真眼の少年は、異世界を満喫する! ~金髪幼女を助けたら、未亡人のママさん冒険者とも仲良くなりました♪~  作者: 月ノ宮マクラ


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049・承諾する僕、お断りするお母様

(へ……?)


 僕も、王都に……?


 突然の提案に、僕は目を丸くする。


 クレフィーンさんたち母娘も驚いた表情だ。


 でも、レイアさんは事前に聞いていたのか、落ち着いたままでいる。


 そして、黒髪のアルタミナさんは、


「君は見分の旅をしているのだったね?」


「あ、はい」


「なら、いずれこのアークレイン王国の首都も見に来るんだろう? なら、私たちと一緒に行くのもいいと思わないかい?」


「…………」


 た、確かに……?


 せっかく転移した異世界、満喫したいとは思ってますが。


(これ、悪くない話か?)


 僕は考える。


 お金が溜まったら、この町も出るつもりだったし、やはり王都にも足を延ばしてみたいと思ってた。


 実際、今、お金もある。


 王都なら都会だろうし、石板もたくさんあるだろう。


 そして、


 チラッ


 目の前の美女2人を見る。


 黒獅子公と赤羽妖精がいらっしゃれば、きっと旅の道中、安全もばっちりじゃん?


(むむむ……!)


 心の天秤が揺れる。


 すると、


「自慢だけど、私は王都の冒険者業界にも顔が利くんだ。シンイチ君にとっても悪い話じゃないと思うけどな」


「…………」


「なんなら、王都でも一緒に仕事してみるかい?」


 と、アルタミナさんは爽やかに笑った。


(…………。むぅ)


 思わぬご提案。


 お言葉はありがたいし、嬉しい。


 だけど、人間、あまりに都合が良すぎると逆に不安で……正直、困惑してしまう。


 僕は顔を上げ、


「あの……お話は嬉しいけど、どうしてそこまで僕に良くしてくれるんですか?」


 と、素直に聞いてみた。


 アルタミナさんは驚いた顔をし、すぐに苦笑する。


 と、赤毛のエルフさんが言う。



「――はっきり言えば、貴方から目を離すのが怖いのよ」



(……へ?)


 僕は、ポカン。


 美しいエルフさんは、白い指で自分の右目を指差して、


「その目」


「…………」


「その秘術の目の力は、とても恐ろしいものだわ。でも、貴方自身にその自覚が全然ないんだもの。いつか自分や周囲を不幸にするかもしれない」


「…………」


「だから、目の届くところに置いておきたいのよ」


「…………」


 そう、なの?


 僕は戸惑ってしまう。


(なんか、大袈裟な気もするけど……)


 と思った途端、


「ほら、自覚のない顔してる」


「う……!」


 レイアさんに冷たく睨まれた。


 うう……。


 美人なだけに、そういう視線がとてもよく似合いますね……。


 そんな僕らに、黒髪の美女は苦笑する。


 それから僕を見て、


「それだけ、私は君のことを気に入っているんだよ」


 と、言う。


 嘘はない……気がする。


 レイアさんも色々言ったけど、友人に賛同してるみたいだし、そんな悪く思われてはいないと思う。


 口調はきついけど、


(でも、いつも、ただはっきりと教えてくれるだけだしね)


 多分、誤魔化しや嘘が嫌いなんだろう。


 基本、いい人だ、うん。


(ん、ま、いっか)


 僕も2人のこと、嫌いじゃないし……よし。


 僕は頷いた。


「わかりました。先のことはわからないけど、まずは王都までご一緒させてください」


「うん、嬉しいよ、シンイチ君」


「ふぅん、そう。ま、いいわ」


 黒髪の美女は嬉しそうに、赤毛の美女は興味薄そうに返事をする。


 うんうん。


 とりあえず、王都までの同行成立だ。


 僕は右手を出す。


 2人は目を丸くし、アルタミナさんは笑いながら、レイアさんは唇を尖らせながら1人ずつ握手してくれた。


 キュッ


 肌の熱を感じながら、しっかりと握り合う。


 僕も笑顔だ。


 と、黙って見守ってくれていたクレフィーンさんが、


「よかったですね」


 と、微笑む。


(ん?)


 彼女は優しい表情で、


「煌金級のアルの仲間になりたがる冒険者は大勢いるんです。だから、彼女たちの方から誘われるなんて、本当に珍しいことなんですよ?」


「へ~?」


 そうなんですね。


 反応の薄い僕に、お母様は苦笑する。


 でも、娘ちゃんの方が、


「よ、よかったね、お兄様」


 と、僕にはにかむ。


 うむ、可愛いのぅ……。


(無垢な祝福が心に沁みますな)


 さすが、天使!


 僕も「ありがと」と素直に笑った。


 そんな僕と天使のやり取りを、3人の大人の美女たちは微笑ましげに眺めている。


 そして、黒髪の美女は、


「フィン」


 と、友人を見る。


 長い金色の髪を揺らし、お母様も「?」とアルタミナさんを見た。


(……?)


 黒獅子の美人さんは、真剣な顔をしていた。


 いや、


(レイアさんも……?)


 隣の赤毛のエルフさんも、同じような表情で友人である金髪の美女を見ていた。


 2人は、クレフィーンさんを見つめる。


 お母様も姿勢を正す。


 ただ1人、金髪の幼女だけが不思議そうな顔。


 そして、


「もう何度も言ってきたことだけど、もう1度言うよ」


「…………」


「フィン。あの村を出て、私たちと一緒にまた王都で冒険者として活動しないか? 私も、レイアも、ずっと待っているんだよ」


「……アル」


 おお……。


 突然の勧誘に、僕は驚く。


 アルタミナさんに続き、赤毛のレイアさんも「フィン、私たちと一緒に行きましょう」と強く促す。


(そっか)


 2人とも、クレフィーンさんとまた冒険したいんだね。


 その表情と声に、強い思いを感じるよ。


 でも、金髪のクレフィーンお母様は、


「…………」


 少し辛そうな表情で唇を嚙む。


 そして、


 フルフル


 美しい金色の髪を揺らして、首をゆっくり左右に振った。


 青い瞳が2人を見返し、



「――いいえ、私は行きません」



 と、はっきりお断りした。


 あらぁ……?

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― 新着の感想 ―
やはりクレフィーン的にはまだ迷っている感じか・・・けどシンイチの説得次第ではワンチャン?
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