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チートな真眼の少年は、異世界を満喫する! ~金髪幼女を助けたら、未亡人のママさん冒険者とも仲良くなりました♪~  作者: 月ノ宮マクラ


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048・ご褒美と勧誘

「おや、シンイチ君?」


「あら、フィンとファナも……わざわざよかったのに」


 宿屋の1階で、美女2人と再会した。


 どうやら受付で、今日の宿泊手続きをしてたみたい。


 1階まで出迎えに来た僕らに、2人は嬉しそうな、驚いたような顔をしていた。


 僕らも「おかえりなさい」と声をかける。


 2人は笑い、


「とりあえず、ギルドと町長に報告は終わったよ。クエストは無事完了さ」


 とのこと。


(うん、よかった)


 僕らも笑う。


 アルタミナさんが、


「あとで、2人にも詳しい話をするよ」


「そうね。でも、その前に何か食べましょう。少しお腹が空いたわ」


 と、赤毛のエルフさん。


 言われて、気づく。


(あ~)


 考えたら、僕らも夕食まだだっけ?


 クレフィーンさんたち母娘を見る。


 彼女たちも頷いた。


(うん)


 そうして全員の思いが一致し、僕らは食堂へと移動することにした。


 1階奥にある食堂に到着する。


 席に着くと5人分の料理を注文し、大人の美女たちは食前酒を、未成年の僕とファナちゃんは果実水を口にする。


 ゴクゴク


(ん、ぷはっ)


 少し酸味のある甘さで、美味しいね。


 仕事終わりだからか、美人さん3人の表情も柔らかだ。


 お酒にほんのり赤くなり、みんな色っぽい。


 ファナちゃんも今日はお母様がいる安心感からか、いつもより美味しそうに果実水を飲んでいるようだ。


(うんうん)


 僕もほっこり。


 やがて、料理も届き、食事開始。


 食べながら、亜人美女2人からのご報告も始まる。


「――1日で終わらせたから、ギルド長や町長も驚いてね」


 と、アルタミナさん。


(ああ、うん)


 それはそう。


 だって2日前、目的の竜が見当たらず、捜索に時間がかかると3人は帰還したんだ。


 なのに、再出発の翌日にはクエスト完了である。


 そりゃ、驚くよ。


 と、赤毛のエルフさんが片肘をつきながら、


「貴方のせいよ、シンイチ」


 チャポッ


 お酒の入ったグラスで、僕を示す。


(あ、はい)


 僕の『真眼』のせいですね。


 レイアさんの難癖に、友人2人は苦笑する。


 でも、レイアさん本人も、僕をからかうような口調だった。


 黒髪の友人が、


「ま、想定した複数の潜伏場所の1つ目で、運良く『深緑の大角竜』を発見できたって誤魔化しといたよ」


 と言う。


(そうですか)


 僕も頷く。


 ちゃんと内緒にしててくれるの、嬉しいね。


 冒険者ギルドには討伐証明の角を提出、討伐場所も教え、無事、クエスト完了の証明書を得られた。


 それを所持して、町長にも報告。


 そちらも特に問題もなく終わったらしい。


「ま、早い分には喜ばれるもんさ」


 と、黒髪の美女さん。


(それもそうか)


 と、僕も納得だ。


 クレフィーンお母様も微笑み、


「ファナも、シンイチ君のおかげで何日も寂しい思いをしなくて済みました」


 と、娘の頭を撫でる。


 柔らかそうな金色の髪が揺れ、ファナちゃんは猫みたいに目を細めている。


(うむ、可愛い)


 僕も笑い、


「お役に立ててよかったです」


 と、答えた。


 すると、クレフィーンさんは青い瞳を伏せる。


 小声で、


「それに……あの時、助けて頂かなければ、私はもう2度と娘に会うことも……」


「あ……」


「だから、本当にありがとう、シンイチ君」


 ジッ


 青い瞳が開き、熱い視線が向けられる。


(て、照れるね)


 僕は赤面しながら「いえいえ」と答え、自分の髪をかいてしまう。


 金髪のお母様は微笑む。


 友人2人も笑い、何も知らないファナちゃんはキョトンと僕と母親を交互に見ている。


(いいんだよ)


 あと1歩でお母様が死んでたなんて事実、君は知らなくていいのです。


 と、その時、


 パン


 黒獅子の美女が手を叩く。


(お?)


 僕らの視線を集め、


「それじゃあ、そんながんばったシンイチ君に、私たちからのご褒美をあげよう」


「え?」


 ご褒美……?


 すると、彼女はテーブルの上に1枚の紙をポンと置く。


 何だこれ?


 見つめると、


 ヒィン


 真眼、発動。




【報酬証明書】


・冒険者ギルド発行の報酬の証明書。


・受付に提示すると、お金に交換してもらえる。


・額面は2万5000リド。約250万円。




(へ……?)


 僕は目を丸くする。


 250万円……?


 黒髪の美女は笑って、


「今回の君の報酬だよ」


「で、でも、2万5000リドって……」


 戸惑う僕に、


 ピン


(あいたっ?)


 突如、レイアさんの指におでこを弾かれた。


「馬鹿ね。アルタミナ・ローゼンは王国トップの冒険者の1人よ?」


「…………」


「今回の依頼は12万の報酬で、別にこれぐらい普通の相場なの。貴方、自分が一緒にいる女たちの価値が本当にわかってないのね」


「う……」


 いや、美人なのはわかりますが。


 でも、


(じゃあ、報酬1200万円……?)


 それが普通……?


 目の前にいる3人の女冒険者は、美しさだけでなく実力も際立っているらしい。


 僕、少々唖然。


 クレフィーンお母様は、小さく苦笑していらっしゃる。


 アルタミナさんは頷き、


「2万、税金で引かれてね。残りの10万を4等分したんだ」


「え……でも」


「ん?」


「僕、皆さんと同じ額をもらっていいんですか?」


「…………」


 だって、ほぼ何もしてないのに。


 そりゃ、真眼は使った。


 でも、それ以外は夜の見張りもせず、ただ安全な後ろを歩くだけで、あの恐ろしい竜と戦ったのも実質この3人だけなんだ。


 最後、とどめは刺したよ?


 でも、それも漁夫の利的な奴だし、


(なのに、同額?)


 本当にいいの……?


 困惑する僕に、3人の美女は呆れ顔だ。


 ムギュッ


(ふぐっ?)


 レイアさんに、今度は鼻をつままれる。


「……貴方は、自分の価値もわかってないのね?」


「ふが?」


「貴方がいなければ、私たちは1日で竜の元に辿り着けなかったわ。そして大金を払っても、本来、その情報と時間は買えないものよ?」


「…………」


「それに何より――貴方はフィンを助けた」


「!」


「その事実だけでも、誇れるものでしょ?」


「……ふん(うん)!」


 鼻を摘まれたまま、僕は頷く。


 赤毛のエルフさんも笑い、ようやく指を離してくれる。


 見れば、アルタミナさんも頷き、クレフィーンさんも感謝の眼差しを送ってくる。


 そして、黒髪の美女は、


「受け取ってくれるかな?」


「はい」


 僕は頷き、


「このお金、ありがたく頂戴します」


 ペコッ


 頭を下げて受け取る。


 そして、顔を上げ、笑った。


 3人もようやく笑ってくれる。


 すると、金髪の幼女が青い瞳で僕を見上げて、小首をかしげる。


 それから、


「お、お兄様、がんばったの? え、偉い、いい子……」


 と、はにかむ。


(天使……!)


 天使に褒められた、嬉しい。


 僕も「ありがと」と笑う。


 そんな僕らのやり取りに、大人な美女たちも優しい表情だ。


 でも、


(250万円か……)


 凄い大金。


 どうしよう……?


 月々3000円のお小遣いと親戚バイトで稼いだことしかない15歳には、恐ろしい金額です。


 手にある証明書を見つめる。


 あ、そだ。


 僕は思いつく。


(魔法石版、買えばいいじゃん!)


 あれ、めっちゃ高いし。


 特に、あの身体強化魔法、『強身の魔印』は覚えときたいな。


 あ、でも、


(この間、ファナちゃんと立ち寄った町の魔法石板店には、その石板、置いてなかったよね?)


 う、う~ん。


 ひょっとして、もっと大きい町じゃないと売ってないのかも……?


 と、すると……?


 そんな考え込む僕を、4人は不思議そうに見ていた。


 やがて、


「ねぇ、シンイチ君」


(ん?)


 見れば、黒髪のアルタミナさんが僕を見つめていた。


 綺麗な金色の瞳。


 少し真剣な表情で、


(な、何だろう……?)


 少し緊張する。


 そんな僕に、


 ギシッ


 彼女は、テーブルに軽く身を乗り出す。


 そんな彼女のお尻から生えた細長い黒い尻尾が、ウネリ、ウネリと動く。


 ピンとした獣耳も、僕の方に向いている。


 ジッ


 真っ直ぐな視線が僕を射る。


 そして、



「――もしよかったら、シンイチ君? 君も私たちと一緒に王都に行く気はないかな?」

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― 新着の感想 ―
おお!まさかの勧誘とは!これは真眼の力を買ってくれたのと、クレフィーンさんを助けた実績があるのと守るための勧誘ですね。さて、シンイチはどう答える?
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