表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チートな真眼の少年は、異世界を満喫する! ~金髪幼女を助けたら、未亡人のママさん冒険者とも仲良くなりました♪~  作者: 月ノ宮マクラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/108

040・竜のいる沼地へ

(――朝だぁ!)


 初めてのテントだったけど、意外と眠れた僕は、元気に目を覚ました。


 時刻は、午前4時。


 空はまだ暗く藍色で、森の木々は影絵のように真っ黒い。


 そして、焚火の前では、すでに装備を整えた3人の美女が集まっていた。


 3人は、テントから出た僕を見る。


「おはよう、少年」


「あら、1人で起きれたのね?」


 と、アルタミナさんとレイアさん。


 そして、



「――おはようございます、シンイチ君」



 と、微笑む金髪のクレフィーンお母様。


(うむ、朝からお綺麗ですな)


 眼福、眼福。


 心の中で拝みながら、


「うん、おはようございます」


 と、3人に挨拶。


 本日は、深緑の大角竜と戦う日。


 アルタミナさんの説明によれば、1時間ほどで目的の沼地に着くらしく、その時にはちょうど空も明るく視界も開けるとのこと。


 また、


「寝起きは、竜も動きが鈍いんだ。そこを狙うよ」


 と、作戦を言う。 


 黒髪のリーダーの言葉に、僕らは頷く。


 そのあと、携帯食料を食べて、テントを片付け、焚火を消して出発する。


 もちろん、



「――強身の魔印」



 ピィン


 身体強化の魔法も忘れない。


(アチチ……ッ)


 額の熱さを感じながら、魔法をかけてくれたクレフィーンさんの指が離れる。


 ジッ


 離れたあとも、彼女は僕の顔を見つめる。


(……?)


 あの、何か?


 視線に妙な熱を感じる。


 えっと、


「クレフィーンさん?」


「!」


 ビクッ


 彼女は、肩を跳ねさせる。


 え?


「あ、すみません。その、魔法がちゃんとかかったか、気になって……」


「あ。うん、大丈夫です」


「……はい」


「…………」


 彼女は、僕に触った指を反対の手で撫でている。


 んん……?


(なんか、元気ない?)


 昨日のクレフィーンさんと比べ、何か違うような気がする。


 何が、と言われると困るけど。


 と、その時、


 ヒィン




【クレフィーン・ナイド】


・寝不足。


・昨晩、よく眠れなかった模様。


・朝方の見張りの時にも1人で色々と考えてしまい、その影響が残っている。


・体調的には問題なし。


・好感度、75/100。




(あ、寝不足かぁ)


 なるほど、それでだね。


 ファナちゃんを町に1人で残してるし、村での心労もあるし、色々あるのでしょう。


 大人は大変だ。


 でも、


(……なんで好感度、5も上がってるんだろう?)


 何もしてないのに。


 ちと、不思議。


 ……ま、いいか。 


(美人に好かれて、嬉しくない訳ないもんね)


 うんうん。


 金髪のクレフィーンお母様は、まだ僕を見ている。


 なんか照れる。


 そんな僕らに、アルタミナさんは「?」という顔をし、レイアさんはため息をこぼしていた。


 やがて、本当に出発。


 野営跡をあとにし、僕ら4人は森の奥へと進んだ。



 ◇◇◇◇◇◇◇



「――痕跡があるわ」


 15分ほど進んだ時、レイアさんが呟いた。


(ん?)


 僕らは、足を止める。


 彼女の視線の先、太さ4~5メートル、高さ30メートルほどある大木の幹に、白っぽい傷跡があった。


 何あれ?


 と思ったら、


「竜が身体を擦りつけた跡ですね」


 と、金髪のお母様。


 え?


 あ、もしかして、


「ここが自分の縄張りだって、主張してる感じですか?」


 と、聞く。


 彼女は微笑み、「はい」と頷いた。


(へぇ~?)


 よく野生の熊とかがやる奴だよね?


 テレビのニュースで知ってるよ。


(そっかぁ)


 竜も同じことするんだね。


 だけど、傷のある位置が僕の身長の倍ぐらい、3メートル以上の位置なんですけど……。


 …………。


 ……え?


 竜、大きくない?


「あの、目的の竜って、結構でっかいです?」


 と、聞いてみる。


 3人の女冒険者は、僕を見た。


 そして、頷く。


「そうですね」


「基本、竜は全部、大きいよ」


「この痕跡の位置だと、コイツは20メード級だと思うわ」


「…………」


 20メード。


 もう、鯨じゃん。


 いや、肉食なんだから、まんま恐竜だよ。 


(うわぁ……)


 恐竜映画に出てくるような巨大生物と、僕、これからご対面するのか。


 やばくない?


 楽しみと怖さが半々だよ。


 3人は、


「痕跡も2~3日以内で新しいですね」


「そうだね。でもこれで、この付近に竜がいることが確定したね」


「ええ。今更だけど、秘術の目、本物だったわね」


 と、頷き合う。


 ええ、本物ですよ。


 と、黒髪の美女が、


「シンイチ君。もう1度、その秘術の目で竜の位置を確認してもらえるかな?」


「うん、いいですよ」


 頼まれ、僕は頷く。


 息を吐き、


(――集中!)


 ヒィン




【深緑の大角竜】


・沼地で睡眠中。


・巨体を水中に隠しながら、鼻先だけを水面に出して呼吸している。


・距離、約4キロ。




(うん)


 僕は頷き、


「まだ沼地で眠ってます。距離は、約4000メードです」


 と、報告。


 黒髪の女冒険者は、頷いた。


「よし、このまま一気に行こう」


「うん」


「はい」


「わかったわ」


 僕らも頷き、そして、また森の中を進んでいく。


 …………。


 更に10分ほど経過。


 東の空は大分明るくなり、赤く染まり始めた。


 視界も広がる。


 鬱蒼とした森だったけど、今は、1本1本の木が異常に太く高くなり、また木と木の間隔が広くなった。


 足元は、短い草が生える。


 移動中、また痕跡も見つかる。


 今度は、足跡。


 草を踏みつけ、土を凹ませるそれは、


(え……でっか)


 普通に1メートル以上あるんだが?


 しかも、鉤爪みたいな形がくっきり残り、地面に穴が開いている。


 ゾクゾク


 せ、背筋が震えるぜ。


 3人も確認し、


「なかなか、立派な成竜ですね」


「そうだね。伊達に3つの村を壊滅させてないってことかな?」


「ま、私たちに依頼が来るほどだものね」


 と、語り合う。 


 3つの村を壊滅……。


 うむ、楽しみより恐怖の方が上回ってきたかも?


 というか、


(現実感が湧いてきた感じかな)


 と、自己分析。


 3人にバレないよう、僕は深呼吸する。


 落ち着け、落ち着け。


 と、その時、


 ヒィン


(ん?)


 なぜか、真眼が発動した。




【深緑の大角竜】


・覚醒している。


・鋭い嗅覚により、桐山真一たち4人の存在を察知し、目を覚ました。


・沼地に潜伏したまま、待ち構えることにした模様。


・距離、約3キロ。




 は……?


(この距離で察知した?)


 え、凄っ。


 犬じゃん。


(――じゃなくて!)


 僕は慌てて、3人にも真眼情報を伝える。


 3人は驚き、険しい表情になる。


 アルタミナさんが言う。


「思った以上に、警戒心の強い個体だね」


「そうね。もう寝起きの隙を狙うのは無理だわ。全く……こういうのが1番厄介なのよ」


 レイアさんも嘆息する。 


 他2人は苦笑。


 そして、クレフィーンさんの青い瞳が僕を見る。


 微笑み、


「シンイチ君のおかげで助かりました」


「え?」


「気づかれたことを知れたことで、私たちも竜の行動に前もって対処できます。でなければ、余計な苦戦を強いられたかもしれません」


「……そう?」


 役に立ったんなら、よかった。


 僕も安心する。


 すると、彼女の白い手が僕の頬に触れる。


(へ……?)


 驚く僕に、


「本当にありがとう、シンイチ君」


 と、彼女はもう1度、微笑んだ。 


 ドキッ


 潤んだ瞳に真っ直ぐ見つめられ、少しときめく。


(な、何だ?)


 今のクレフィーンお母様の顔、妙に色っぽいぞ。


 ドキドキ


 か、顔が熱いわ~。


 赤くなる僕を見つめ、そして、彼女の手が離れる。


 友人2人を見て、


「アル、レイア。行きましょう」


「うん」


「ええ、そうね」


 彼女たちも頷く。


 全員、覚悟の決まった顔だ。


(……うん)


 お互い相手の存在に気づいた以上、あとは正面からぶつかるしかないんだね。


 小細工抜き。


 ガチンコ勝負。


(ふぅ~)


 僕は息を吐く。


 両手で、


 パン


 軽く頬を叩き、気合を入れる。


 そこからは一言も喋ることなく足を進め――やがて、僕らは北東の森の沼地に到着したんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
気付かれたか、不意打ちが利かないとなれば真っ向勝負となるが・・・どう対応する?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ