表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チートな真眼の少年は、異世界を満喫する! ~金髪幼女を助けたら、未亡人のママさん冒険者とも仲良くなりました♪~  作者: 月ノ宮マクラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/113

031・勇気ある決断(かな?)

(え、僕も一緒に?)


 思わぬ提案に驚いた。


 でも、僕がそれに答える前に、


「何を言い出すんですか、アル!?」


 ガタッ


 クレフィーンさんが慌てたように、椅子から立ち上がった。


 黒髪の友人に言う。


「今回の対象は『竜』ですよ!?」


「そうだね」


「シンイチ君は、登録したばかりの新人冒険者です。そんな子を同行させるなど、貴方は、彼を殺したいのですか?」


 キッ


 彼女は友人を睨む。


 その青い瞳には、非難の色がある。


 でも、アルタミナさんは落ち着いた表情で、金髪のお母様の視線を受け止める。


 静かな口調で、


「危険なのはわかるよ」


「でしたら――」


「けど、彼の言う場所に『深緑の大角竜』がいなかったらどうするつもりだい?」


「え……?」


「彼の証言には、僕も一定の信頼を置いている。けれど、魔物も移動する。僕らの到着前に、また姿を隠されたら……またシンイチ君に頼りに町に戻るのかい?」


「それ……は……」


「その間、新しい被害者が出ない保証はない。そして、時間がかかればかかるほど、多くの人命が脅かされるんだよ」


「…………」


 金色の瞳にあるのは、強い覚悟。


 依頼を受けた冒険者としての誇りと責任が見えていた。


(……格好いいじゃん)


 しかも、美人だし。


 う~ん、これが王国で3人だけの『煌金級の冒険者』か。 


 その美貌を、少し見つめてしまう。


 正当な理由を述べられ、優しいクレフィーンお母様は言葉に詰まる。


 一方、赤毛エルフのレイアさんはどちらでも良さそうな表情で、2人の会話と成り行きを見守っていた。


 と、その時、アルタミナさんが僕を見る。


 視線が合い、


 ドキッ


 少し背筋が伸びる。


 黒髪美人さんの唇が動き、


「安全は保証できない」


「…………」


「だけど、私たち3人で全力で少年を守ることは約束する。だから、私たちに同行し、その秘術の目の力を貸してくれないか?」


 ジッ


 真っ直ぐな眼差し。


(……ふ~ん?)


 嘘でも『安全』とは言わなかった。


 そこに、彼女の誠実さと誠意を感じる。


 気づけば、隣の金髪の幼女も、その青い瞳で僕がどう答えるのか不安そうに見つめていた。


 …………。


 ま、確かにね?


 そのなんちゃら竜が、沼地のどこに隠れていようと、他の場所に移動してようと、僕なら見つけられる。


 余計な時間はかからない。


 それはつまり、ファナちゃんのお留守番も短く済むということ。


 それに多少の危険も、僕には『真眼』と1日2発の『土霊の岩槍』があるし……。


(――うん)


 決まりだね。


 僕は、アルタミナさんを見返して、


「わかりました、僕も同行します」


 と、答えた。


 黒髪の美女は、満足そうに頷く。 


「ありがとう、シンイチ君。君のその勇気ある決断に感謝するよ」


 と言い、右手を出してくる。


(あ……うん)


 僕も、その白い手に自分の手を重ねて、


 キュッ


 と、固く握手。


 細くて、けど、ゴツゴツした硬い手のひら。


 でもそれは、人々を守る戦士の手。


 なんか凄く熱い。


 そんな僕を見て、アルタミナさんは王子様みたいに白い歯を輝かせて微笑んだ。


(おおぅ……眩しい)


 本当、男前の美人さん。


 やがて、僕らは手を離す。


 クレフィーンさんは、


「シンイチ君……」


 と、何だか複雑そうな表情で僕のことを見ていた。


 僕は、少し困ったように笑う。


 そして、レイアさんは軽く肩を竦め、「ま、精々死なないように気をつけなさいよね」なんて他人事のように言う。


 最後に、


「お兄様……」


 と、天使ちゃん。


 心配そうな幼女に、僕は笑いながら、


 ポム


「大丈夫。お母様と一緒に、すぐ帰るからね」


 と、頭を撫でた。


 金髪の感触が柔らかい。


 彼女は猫みたいに青い瞳を伏せながら、「う、うん」と頷く。


(よしよし)


 僕は、手を離す。


 視線をあげると、


「…………」


 金髪のクレフィーンお母様が僕を見つめ、長い髪を流れさせながら静かに頭を下げたんだ。

ご覧頂き、ありがとうございました。


今話は短めなので、本日もう1話更新いたします。よかったらどうか読んでやって下さいね♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
真眼は勿論、(現状一日2回しか使えないが)土霊の岩槍が攻略の鍵になりそうですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ