表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チートな真眼の少年は、異世界を満喫する! ~金髪幼女を助けたら、未亡人のママさん冒険者とも仲良くなりました♪~  作者: 月ノ宮マクラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/118

021・土霊の岩槍

 無事、魔法は習得した。


 なら、


(次は、その魔法を試そう!)


 グッ


 僕は、両手を握り締める。


 そんな右手の甲には、茶色い文字列の魔法陣が光っている。


 その魔法陣を見ると、


 ヒィン




【土霊の岩槍】


・習得済み。


・射程30メートルで、硬い岩の槍を射出できる。


・攻撃力180。


・使用方法、目標に右手のひらを向け、魔力の塊を射出するイメージを行う。


・詠唱、不要。




(お……?)


 なるほど、そんな使い方か。


 射程は30メートル……僕は、周囲を見回す。


 ん~と……あ、


(あの岩、いい位置だね)


 だいたい射程距離ぐらい先の草原に、高さ3メートルぐらいの岩があった。


 うん、ちょうどいい的。


 僕は、右手のひらを向ける。


 空いている左手は、その右腕を支えるように添える。


 目を閉じ、


「すぅ……はぁ……」


 1度、深呼吸。


 草原に吹く風が、僕の黒髪を柔らかに揺らす。


(――よし)


 僕は、目を開く。


 集中。


 右手のひらに、魔力が集まるイメージで……。


 パァッ


 手の甲の魔法陣が光る。


 時間と共に、光は強くなり、


 ジッ


(ん……?) 


 手の先の空中に、何かが滲んだ。


 ジ……ッ ジジッ


 黒茶色の文字列だ。


 手の甲に描かれた文字と同じ物で、それが螺旋を描きながら、空中に集まっていく。


 文字が変化し、何かの形を形成していく。


(……槍だ)


 武骨な、黒曜石みたいな石の槍。


 細長く、鋭角な岩の塊。


 長さは、約1メートルほどかな。


 ジジジッ


 その黒い岩の槍が右手のひらの先の空中に浮かび、太陽の光に黒い宝石のように反射している。


(……綺麗だな)


 少し見惚れた。


 ジジジ……ッ


 そこに、何か力が溜まっていく。


 魔力、かな?


 その集まる力が限界まで達し、弾け飛びそうなのがわかる。


 感じる。


 あと、少し……。


 そして、


(――あ)


 限界だ。


 そう、わかった。


 その瞬間――、


 ドン


 発射音というより衝撃波を発して、黒い岩の槍が射出された。



 ゴ……ッ



 青空に、低く鈍い音が響く。


 黒い岩の槍は、的にした大きな岩を貫通し、青空に抜ける。


(……え?)


 岩の表面には、丸い穴ができている。


 穴の向こうの景色が見える。


 そして、穴を中心に、細かいひび割れが蜘蛛の巣状に広がり、バカン……と、岩が砕けた。


 ガラン ガララ


 砕けた岩の塊が、草原に落ちる。


 土煙が舞う。


 貫通した黒い岩の槍は、青い空で光る文字列へと分解し、やがて溶けるように消えた。


 ガラン


 最後の岩の欠片が、落ちる。


 そして、静寂。


 …………。


 …………。


 …………。


 ……あ。


 放心していた僕は、我に返った。 


(……何だ、これ?)


 派手さはない。


 炎とか水とか、爆発とか、何にもなく、物凄く硬い岩の槍が、物凄い速度で射出されただけ。


 だけど、


(逆に怖いよ)


 凄く地味。


 でも、威力は凄まじい。


 あんな大きい岩を貫通し、しかも砕いてしまったのだ。


 1人の人間が。


 15歳の日本人高校生が、手を前に出しただけで。


 簡単に……。


(……っっ)


 ゾクゾク


 その事実に、背筋が震えた。


 恐怖感、責任感、そして……高揚感が湧き上がる。


 そうか、


「これが、魔法か……っ!」


 右手を見る。


 その手の甲で光る魔法陣。


 パァァッ


 その輝きを見つめ、 


(――うん)


 僕は、強く頷く。


 特殊な『真眼』とはまた違う、チートのような正統派の能力『古代魔法』の力を僕は手に入れたのだ。


 

 ◇◇◇◇◇◇◇



 砕けた岩を、近くで見る。


 うん、粉々だ……。


 欠片を1つ、持ち上げる。


(お、重い……!)


 想像以上に密度があり、そして、その表面も硬い。


 さっきは発泡スチロールみたいに砕けていたけれど、全然、そんな訳はなかったよ。


 重厚な本物の岩である。


(……古代魔法、か)


 本当、凄いんだと、再認識したよ。


 と、その時、


「ふう……」


 と、僕の口から息が漏れる。


(……ん?)


 今更だけど、なんか疲れてる?


 何だか、少しだるいような、気が抜けたような……何だろう?


 もしかして、魔法の興奮が抜けたとか?


(う~ん?)


 僕は首をかしげる。


 何気なく、右手を見て、


 ヒィン




【桐山真一】


・魔力の消耗状態、軽微。


・魔法の使用により、全魔力量の6割の魔力を消費している。


・失った魔力は、呼吸により大気中の魔素を吸収して、自然に回復する。


・回復の目安、1時間で1割。


・基礎魔力量は、魔法の使用により鍛えられ、増加する。




(おや……これは?)


 なるほど。


 この疲労感は、体内の魔力が減ったからか。 


 感覚としては、普通に疲れたぁ……って感じだけど、これは異世界ならではの現象だったらしい。


 1回で、魔力6割の消耗。


 2回以上、連続で『土霊の岩槍』は使えないのか。


 でも、魔力量は増やせるっぽい。


 よし、


(暇な時は、魔法を使おう)


 もちろん、人目に着かないように、疲れ過ぎないように注意しながらね。


 …………。


 ……うん。


 今日の所は、これぐらいかな?


 目的の薬草も集められたし、古代魔法も習得して試すこともできたしさ。


 まだ、初日。


 明日以降のためにも、今日は余裕を見て、もう帰ろうか。


(よし、そうしよう!)


 決めて、僕は1人、頷く。


 改めて、薬草の入った肩提げ鞄をかけ直す。


 えっと、


(街道は……?)


 草に隠れて、方向がよくわからない。


 すると、


 ヒィン




【街道】


・この茂みの奥にある。




(あ……あっちか)


 ありがとう、真眼君。


 感謝し、僕は、文字の見える方へと歩きだす。


 サク サク


 草を踏み分け、移動する。


 本日の収入、4000円。


(本当は、もう少し稼ぎたかったけれど……ま、仕方ないよね)


 あまり高望みは、よくない。


 初めてのクエストだし、成功しただけでも上出来と思いましょう。


 なんて思った時、


 ヒィン


 真眼が発動した。




【黄金蜜の煌花こうか


・希少な薬草花。


・高濃度の魔力を含んだ大量の蜜を蓄えた花である。魔法薬の希少素材として、高額で取引される。


・相場、1本2000リド。約20万円。




(……おや?)


 僕は目を丸くする。


 草原の空中に、そんな素敵な文字が見えてしまったよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
掘り出し物発見!臨時収入になるぞ!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ