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チートな真眼の少年は、異世界を満喫する! ~金髪幼女を助けたら、未亡人のママさん冒険者とも仲良くなりました♪~  作者: 月ノ宮マクラ


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018・街道を歩こう

タイトル、あらすじ、変更しました。

現在、色々、試行錯誤しております。今後も変更があるかもしれませんが、どうかご了承下さいね。


それでは本日の更新、第18話、よろしくお願いします。

「――クエストでの外出か」


 門番の兵士が、僕に言う。


 僕は「はい」と頷く。


 昨日、クレタの町に入った時同様に、出る時にも簡単な審査があるみたいだ。


 う~ん?


(現在、町にいる人を把握するためかな)


 どこに誰がいて、誰がいなくなったか、国として管理するためかもしれない。


 兵士さんは、


「では、登録魔刻石を見せろ」


「あ、はい」


 ガサゴソ


 僕は、首から提げていた冒険者の証の石を、服の下から取り出す。


 兵士さんは、石を見る。


 胸ポケットから、小さな端末を出し、


 ピッ


 端末を石に当てる。


 数秒後、端末の水晶部分を確認し、


「ふむ、薬草採取か」


 と、頷いた。


(お……)


 どうやら、石に登録された情報を読み取ったみたいだ。


 僕は頷く。


「そうです」


「ふむ、初任務なのだな」


「はい」


「例え、薬草が集まり切らなくても、安全のため、日暮れまでには戻るといい」


「え?」


「何、命があれば、何度でもやり直せる」


「…………」


「がんばれよ、坊主」


 ポン


 軽く腕を叩かれる。


 厳つい顔に浮かんだ笑顔に、僕は目を丸くする。


 すぐに頷き、


「はい!」


 と、答えた。


 門番の兵士さんも「うむ」と頷き、表情を戻す。


「よし、通れ!」


 と、道を空けてくれた。 


 僕は歩きだす。


 ……異世界人情、沁みるな、ちくしょー!



 ◇◇◇◇◇◇◇



 町を出たあとは、南方面の街道を進む。


 草原の中にある街道だ。


 周囲の草地には、まばらに低木が生えている感じで、遠くには森と山脈が見える。


(ふむ……)


 目的地は『南の草原』である。


 僕は、道の先に目を凝らす。


 ヒィン




【南の草原】


・この街道の先にある。


・目的の『白鈴の薬草』の他、たくさんの薬草が生えている。


・距離、約7・2キロ。




 と、文字が浮かぶ。


 約7キロ、か。


(うん、歩いて2時間ぐらいかな?)


 街道は起伏もあるし、クネクネしてるし、しかも、凹凸のある土の道だ。


 多分、それぐらいかかるだろう。


 往復だと、4時間?


 結構、歩くじゃん……。


(ま、仕方ないか)


 目的地までの距離が表示される分、何もないより、気持ち的には楽だろうしね。


 よっし。


 気を取り直し、僕は街道を進む。


 …………。


 …………。


 …………。


 約30分後、


 ヒィン




【南の草原】


・距離、約5・3キロ。




(うん、順調)


 目に見えて距離が減っているのは、地味に嬉しい。


 ふと、周囲を見る。


 景色は、ずっと草原のままだ。


 ただ、町を出た直後は、同じように町を出発した馬車や、すれ違う旅人もいたけれど、今は街道に僕1人だけである。 


「…………」


 この広さで、僕1人。


 なんか、心細い。


 そう言えば、


(昨日みたいな魔物、近くに隠れていないよな……?)


 キョロキョロ


 思わず、周囲を確認する。


 現状、それらしい姿は見えないけれど、茂みとか岩とか木とか、死角も多くて……。


 ドキドキ


 やばい。


 なんか、緊張してきた。


 と、その時、


 ヒィン




【周囲の魔物】


・半径10キロ圏内には、危険度の低い魔物しか生息していない。


・現状は『安全』である。




(お……?)


 し、真眼君……!


 君は、なんて優秀なチートなんだろう。


(うん、そっか)


 現状は『安全』、か。


 僕は、息を吐く。


 ありがとう……おかげで気持ちも落ち着いたよ。


「よし」


 パン


 両手で、軽く頬を叩く。


 異世界初心者にも優しい、頼れる『真眼君』もいることだし、これからも安心していくぞ!


 僕は頷き、


 タッ タッ


 そのまま街道を歩いていく。


 歩きながら、


(そう言えば……クレフィーンさんたち、どうしてるかな?)


 と、ふと思った。


 心に余裕ができたからかな?


 天使な娘の方も、今は1人ぼっち……泣いてないよね?


(う、う~ん)


 少し心配になってくる。


 何となく、クレタの方を振り返る。


 遠い草原の彼方に、白い壁が小さく見える。


 と、その時、


 ヒィン




【ファナ・ナイド】


・宿屋で留守番中。


・現在は、客室で持参の本を1人で読んでいる。




(お……!)


 町の上に、そんな表示。


 そっか、ファナちゃん、読書中か。


 よかった……少し安心。


 ちゃんと1人でお留守番、がんばってるんだね、偉いぞ。


 しかし、この距離でわかるなんて、真眼、本当に凄いし便利だなぁ。


 じゃあ、


(クレフィーンさんは……?)


 と、目に集中。


 ヒィン


 町と少しズレた空中に、文字が出る。




【クレフィーン・ナイド】


・7分前に、クレタの町を出発。現在、北の街道を北上中である。


・アルタミナ、レイアも同行中。




(おお、視えた)


 なるほど、もう町を出てるんだ?


 あの2人も一緒らしい。


 きっと魔物が目撃されたっていう『北の山岳地』を目指してるんだな。


 なるほど、そっか。


(……うん)


 あの母娘もがんばってる。


 僕もがんばろう。


 今、僕は1人だけど、でも、1人じゃない感じ。


 なんか、勇気が湧く。


 僕は前を向き、


「よし」


 再び、足を踏み出した。


 タッ


 歩く足にも力がこもる。


 そうして僕は、目の前に続く街道を歩いていったんだ。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 町を出て、約2時間後。


 僕の目の前には、広大な草原があった。


 ヒィン




【南の草原】


・距離、0。


・到着している。




 そんな文字が空中に浮かんでいる。


(つ、着いたぁ)


 日本だと2時間も歩くことなんて滅多にないから、足、ちょっとガクガクだよ。


 帰りが怖いぜ……。


 でも、ま、


「無事、辿り着けたのは嬉しいね」


 と、笑ってしまう。


 しかし、広い。


 街道のある草原と地続きで、特に区切りがある訳じゃないけれど、急に視界が開けたと思ったら、地平線まで草の大地が広がってるんだ。 


 波打つような起伏もなく、ほぼ平地。


 端まで、何キロだ?


 ヒィン




【南の草原の端】 


・約11キロ先。


・オルクト森林に隣接している。




(わぉ……?)


 11キロだって。


 クレタの町からここまでの距離の、約1・5倍だよ。


 とんでもないね……。


 サクッ


 街道を逸れ、草の中に入る。


 足元は、30~50センチほどの植物に埋め尽くされている。


 種類も豊富。


 たくさんの草が混じっているみたいだ。


(う~ん?)


 しばらく見つめ、


 ガザゴソ


 僕は肩提げ鞄を漁り、中から依頼書を取り出した。


 依頼書には、依頼内容の文章の他に、目的の『白鈴の薬草』のイラストが描かれている。


 先端の房が膨らみ、鈴みたいな形状の草だ。


 結構、特徴的だと思う。


 けど、


「…………」


 顔をあげ、周囲を見る。


 複数の草が重なり合い、1本1本の形は、間近で確認しないと全然わからない。


 こりゃ、大変だ……。


(なるほど)


 大変だからこそ、依頼になる訳だ。


 依頼の指定は、薬草10本。


 たかが、10本。


 されど、10本。


 この広大で雑多な草たちの中から、その10本を見つけるのは相当難しいだろう。



 ――僕以外なら。




「ふふふっ」


 僕は目を閉じ、不敵に笑う。


 そして、


 カッ


 大きく瞳を見開いた。


 いくぜ、真眼――発動!


 ヒィン




【白鈴の薬草】


・鈴のような房のある植物。


・土中の魔素成分を吸収し、魔力を宿している。回復ポーションの原料の1つ。


・食用、可。


・距離、228メートル。




(おっしゃ!)


 ガッ


 僕は、ガッツポーズ。


 草原の先の空中に、そんな文字が浮かんでいる。


 あそこだね?


 真眼、最高だ……!


 このチート能力は、本当に探し物とかには便利だね。


 キョロ


 視線を巡らす。


 ヒィン




【白鈴の薬草】【白鈴の薬草】【白鈴の薬草】【白鈴の薬草】【白鈴の薬草】【白鈴の薬草】【白鈴の薬草】【白鈴の薬草】【白鈴の薬草】【白鈴の薬草】……




 草原の各所に、文字が見える。


(うむ)


 10本以上あるぞ。


 こりゃ、楽勝ですな。 


 よっし、


「それじゃあ、集めるぞ、おー!」


 1人、気合の声をあげ、


 ガササッ


 青空の下、僕は浮かぶ文字の方へと草原をかき分けていった。

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― 新着の感想 ―
鑑定系のスキルの使い処。これがあるのと無いのとでは全然違うよね、これで移動手段として馬が手に入れば良いんだけど・・・というかこの世界、馬のレンタルとかあるのかな?
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