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チートな真眼の少年は、異世界を満喫する! ~金髪幼女を助けたら、未亡人のママさん冒険者とも仲良くなりました♪~  作者: 月ノ宮マクラ


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116/127

116・回収し、帰路を辿ろう

(よ……っと)


 タ、タン


 僕とレイアさんは、奇岩を降りる。


 身体強化と重力操作の魔法のおかげで、何の問題もなく、風船みたいに砂の地面に着地した。


 周囲は、


(うわぁ……)


 サンドウォームの死骸だらけ。


 体液と肉片が散っている。


 そんな中、『黒獅子公』と『雪火剣聖』の美女2人が、僕らの方へとやって来た。


「お疲れ様」


「いい狙撃でしたよ、シンイチ君」


 と、2人は笑う。


 僕らも笑顔で、


「ありがとうございます。クレフィーンさんもお疲れ様でした」


「アルもね」


 と、言葉を返す。


 全員で軽く腕をぶつけ、讃え合う。


 ちなみに現在のアルタミナさんは、右手に戦斧、左手に黒い大剣の変則的な二刀流だ。


 うん、格好いい。


 ジッ


 僕は『青き落雷の大剣』を見つめ、


「凄い威力でしたね」


 と、言う。


 3人の歴戦の冒険者も頷いた。


「そうですね、あれほどの威力とは……正直、私も驚きました」


 と、お母様。


 レイアさんも同意する。


「ええ、フィンの古代魔法でも通じなかったサンドウォームがたった1発で沈んだもの。相当、高威力の雷撃魔法だったのでしょうね」


「うん、大したものだよ」


 カチャ


 アルタミナさんは、黒い大剣を太陽にかざす。


 パチッ


 陽光に煌めき、青い放電が散る。


 彼女は笑い、


「ふふっ、本当に掘り出し物だったね。今回、実戦で試せて良かったよ」


(…………)


 少し獰猛な笑み。


 白い牙が見えて、まるで本物の獅子みたいだったよ。


 ま、それでも、美人なんだけど……。


 しかし、新武器を手に入れて、『黒獅子公』は更にパワーアップしたらしい。


 今後、どこまで強くなるのか、


(う~ん?)


 楽しみなような、怖いような……今までも充分、強かったもんね。


 ま、いいか。


 その牙が僕らに向くことはないし、本当、頼もしいクランリーダー様でございます。


 僕らの前で、


「くふふっ」


 彼女は黒い大剣を眺め、その金色の瞳を嬉しそうに細めた。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 ザクッ


(お、あった)


 僕は『初心の短剣』を使い、裂いたサンドウォームの胴体から小さな結晶を取り出した。


 魔力結晶石だ。


 直径、5センチほど。


 歪な球状の半透明な青紫色の石である。


 軽く布で拭いて、大きな皮袋にしまう。


 カチャン


 小さな音が響く。


 袋の中には、すでに集められた魔力結晶石が何十個も入っていた。


 さすがに、他の冒険者に素材回収を頼むのも難しい。


 きっと放置し、頼んだ冒険者が来てくれる前に、砂漠に生きる他の生物に食べられてしまうだろうからね。


 なので、


「魔力結晶石だけ、回収しよう」


 となったんだ。


 でも、数が数だ。


 全部で327匹分――損傷が激しい分を引いても、多分、200匹以上はある訳で、


(大変だよぅ)


 と、嘆きたい。


 でも、他の3人は黙々と作業する。


 ……偉い。


 先輩のその背中を見せられると、僕も文句は言えません。


(……がんばろう)


 ザクッ


 と、覚悟を決め、次のサンドウォームに短剣を刺していく。


 ザクザク


 しばらく、作業に没頭する。


 途中、身体強化と耐熱と冷却の魔法をかけ直し、水生成した水を飲んだりする。


(冷却した水、美味しい……!)


 ザパッ


 残りは頭から被る。


 ん、気持ちいい~。


 美女3人は驚き、顔を見合わせると僕の真似をした。


 ザパパ


「ん……っ」


「冷た……!」


「でも、案外、悪くないわね」


 なんて言う。


(あらま)


 水も滴るいい女。


 僕は目を丸くし、そして、4人で一緒に笑ってしまった。


 その後も、作業は続く。


 特に、あの巨大サンドウォームの『魔力結晶石』を取り出すのには苦労したけれど、4人で力を合わせて何とかなった。


 やれやれです。


 で、出てきたのは、50センチぐらいの大玉。


(わぉ……大きいね)


 布で擦り、こびりつく肉片と体液を落としていく。


 ゴシゴシ


 表面が見える。


 うん、綺麗な紫色だ。


 半透明で、濁りらしいものも見られない。


(……ん)


 僕は頷く。



 ――呪詛の汚染はないようだ。



 その事実に安堵する。


 最近、邪竜関連の出来事が多かったから、少し警戒してたんだよね。


 杞憂でよかったよ。


 ほっ。


 それも布袋にしまう。


 ガシャッ


 う……重い。


 200個以上の結晶石に、巨大結晶石、相当の重量になった。


 身体強化なければ、持てなかったかも。


 でも、これらは『討伐証明』にもなるから、持ち帰るのが必須なんだよね。


(証明するのも大変だ)


 ともあれ、作業も終了。


 気がつけば、2時間ぐらい経過していた。


 皆で、奇岩の陰で休憩。


 で、更に20分もすると、約束していた迎えの大亀が来てくれた。


(わ~い)


 お礼を伝え、僕らは結晶石などの荷物を積み込む。


 ちなみに御者さんは、周囲に散乱するサンドウォームの死骸の数と、1体だけいる巨大サンドウォームの大きさに驚いていたよ。


 うん、驚きますよね。


 そして、僕らは再び大亀に騎乗する。


 で、約4時間経過。


 ザス ザス


 甲羅に設置された座席で揺られながら、やがて、無事に『オアシスの街』に帰り着く。


 時刻は、夕暮れ。


 赤い景色の中、今夜は宿屋で1泊。


(ぐ~……)


 と、疲れていたのか、僕は朝まで爆睡してしまう。


 翌日、お母様に起こされ、起床。


 寝起きに見るお母様は、


(うん、眼福)


 まるで優しく微笑む女神様みたいで、心の中で拝みたくなる美しさでした。


 その後、宿の食堂で4人で朝食。


 食事のあとは、部屋で身支度を整え、早朝の涼しい内に再び大亀に乗ってオアシスの街を出発する。


 青空の下、砂漠の移動が続く。


 やがて砂が減り、植物が見えてくる。


 砂漠に変わり、赤土の大地が現れる。


 大河も流れ、自然も豊かに。


 ドス ドス


 砂漠と違い、位置がわかり易い街道を進み、半日ほどが経過する。


 そして、午後2時半頃、


(あ……)


 遠くに、巨大な城壁が見えてきた。


 僕らは瞳を細める。


 その日の日暮れ前に、僕らは無事、王国第2の都市――南都フレイロッドへと帰り着いたんだ。

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― 新着の感想 ―
何事もなく無事クエスト完了。証明は大変だけど、身体を慣らしていくしかないよね・・・
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