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チートな真眼の少年は、異世界を満喫する! ~金髪幼女を助けたら、未亡人のママさん冒険者とも仲良くなりました♪~  作者: 月ノ宮マクラ


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103/111

103・女神の使徒

 車窓から、赤、青、白の月が見える。


 時刻は、深夜。


 王都直通便である僕らの竜車は、夜間も速度を落としながら運航を続けていた。


 僕は、


 チラッ


 他の座席を見る。


 3人とも眠っている。


 寝つきの良いアルタミナさんは、速攻で。


 右肩を治したクレフィーンお母様もより回復を促進させるため、早々に眠りにつかれた。


 任意で睡眠に入れるレイアさんも、同じくで。


(う~ん)


 起きてるの、僕だけか。


 あの黒騎士との戦闘の余韻が残っていて、僕は全然眠くないよ……。


 3人とも凄いね。


 眠れる美女たちを眺めながら、何だか感心です。


 …………。


 眠れない理由は、もう1つ。



『――貴様は……女神マトゥの使徒だったのか』



 黒騎士の言葉。


 なんか気になるんだよね?


 最期の瞬間、何を思っての発言だったのかわからない。


 戯言……?


 いや、違う。


 何となく、そう感じる。


 だから、僕は、


(……真眼君、わかる?)


 と、心の中で問いかける。


 答えを聞くのが少し怖い気もするけれど……。


 果たして、


 ヒィン


 目の前の空中に文字が浮かび、真眼君は応えてくれた。




【女神の使徒】


・桐山真一のこと。


・女神マトゥの寵愛を受け、生きる者のことである。




(……あらぁ)


 やはり、僕のことなの?


 でも、


(女神の寵愛……?)


 そんなの受けた覚えがないんですが……?


 僕、困惑。


 すると、


 ヒィン


 再び、文字が更新される。




【失われた記憶】


・貴方は記憶を失っている。


・原因は、次元間転移による影響のため。


・日本からの転移直前、貴方は亜空間で慈母神マトゥに会っている。


・その際、女神マトゥの『頼み』を1つ引き受ける代償として、桐山真一には『真眼』が授けられた。




(へ……?)


 え、僕、女神様に会ってるの!?


 マジで?


 いや、全然、記憶ないんですけど……。


(うう~ん?)


 必死に思い出そうとするけど……駄目だ、何も思い出せん。


 ぬぬぬ……。


 これが、記憶喪失か?


 目が覚めた時、夢の中の出来事を忘れてしまうみたいな感じで、何かあった気はするけど、それが何かまでは思い出せないのと似たような感覚である。


 も、もどかしい……!


 あと、


(女神の頼み?)


 その代償で、真眼が?


 僕、何、頼まれたの?


 いや……、


(そもそも、真眼って何なんだろう?)


 不意に思う。


 両目の下の頬を、指で触る。


 時間も距離も関係なく、何でもわかる万能の目。


 異世界での日々は短いけれど、それでも、この世界でも異質な力なのだと今日まで何度も思い知らされている。


 いったい、この力って……?


 妙な不安。


 ドキドキ


 鼓動も若干、速くなる。


 すると、


 ヒィン


 再度、その真眼が発動し、文字を表示した。




【真眼とは】


・女神との交信機。


・500年前、肉体を失った慈母神マトゥは、神性のエネルギーとして世界全体に拡散している。


・その大いなる女神の知覚を文字として知るのが、『真眼』である。




(ふぁ……っ)


 え、じゃあ、真眼君の正体は、女神様……!?


 僕、愕然。


 だけど、


 ヒィン




【補足】


・現在、女神に自我はない。


・ただ、その知覚能力を利用しているのみであるが、たまに本能的な感情が文字情報に反映されてしまう場合もある。




(…………)


 そ、そうですか。


 感情が……。


 だからたまに、人間臭い時があるんだね?


 でも……うん、


(真眼君は、これからも真眼君でいいや)


 そう思おう。


 よし、と、僕は1人頷く。


 だけど、


(真眼が代償だとして……じゃあ、僕が引き受けた女神の『頼み』って何?)


 それも気になる。


 だってさ?


 記憶がなくても、約束でしょ?


 なら、やっぱり守らなきゃ!


 という訳で、


(それも教えて、真眼君……!)


 と、自分の目に願う。


 ヒィン


 世界に広がる女神様の知覚能力と繋がり、眼前に文字が表示される。


 それは、




【女神の頼み】


・知る必要なし。


・現在、貴方は女神の頼まれごとを叶えている。


・むしろ知ってしまうと、貴方自身に悪影響が生まれ、女神の望みが叶わなくなる可能性が高い。


・今は、そのままでいるべし。




(は……?)


 叶えている?


 僕が?


 今、現在も……?


(……意味、わかんない)


 でも、その意味を知ってしまうのはまずいらしいし……う~ん?


 少々、悩む。


 でも、今まで真眼君は、1度も間違ったことがない。


 なら、


(信じよっか)


 うん、そうしよう、そうしましょう。


 だって、現状で叶えているんなら無理に知る必要ないし、必要になったら真眼君も教えてくれるでしょう。


 ね~、真眼君?


 ヒィン




【その通り】




 と、文字が浮かぶ。


(あは)


 僕は笑った。


 目を閉じ、まぶたの上をポンポンと叩く。


 うん。


 謎は増えたけど、今、気になることは全て知れたかな。


 何だか、すっきり。


 しかし、


(女神の使徒……か)


 なんか、格好いいじゃん。


 ふふっ、僕の厨二心をくすぐりますな。


 チラッ


 ふと、3人の美女を見る。


 穏やかな寝顔。


 それを見ていたら、


(ま、いいよね)


 細かいことはどうでもよくなる。


 だって、僕、現状に満足してるし、幸せだし……うむ、このままこの異世界を満喫していこう!


 僕はまた笑い、


 ギシッ


 座席の背もたれに体重を預ける。


 明日には王都だ。


 あの天使なファナちゃんも待っている。


(……ん)


 何だか、早く会いたいな。


 そんなことを思いながら、僕は再びまぶたを閉じる。


 ゴトゴト


 温かな暗闇の中、車両の振動を感じる。


 その揺れに身を委ね……やがて、気がついたら、僕の意識は静かに眠りに落ちていったんだ。

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― 新着の感想 ―
女神であるマトゥの頼みと引き換えに真眼を授かった? そして「頼まれごとを叶えていて、知ってしまうと悪影響が生まれて女神の望みが叶わなくなる可能性が高い」と・・・? 最初に「忘れてしまう約束」が未だに謎…
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